FLYING POSTMAN PRESS

この夏観たいアクション+αな映画

新感覚の青春バトル・アクション

 製作は『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(2013)、『ベイビー・ドライバー』(2017)などを手がけてきたワーキングタイトル。これが長編デビュー作となるニダ・マンズールが監督と脚本を務め、恐ろしい陰謀に巻き込まれた姉を救うべく戦う高校生の姿を描き、英国インディペンデント映画賞最優秀新人脚本賞を受賞した。

 新星プリヤ・カンサラが演じる主人公の少女リアは、ロンドンのムスリム家庭に生まれ、スタントウーマンをめざしてカンフーの修行に励んでいる、という設定。そのリアのバトルシーンは格闘ゲームさながらにポップにハイテンションに展開していく。ボックスプリーツスカートというキュートな制服姿で回し蹴りを披露したかと思えば、カラフルなパキスタンの民族衣装を身にまとい、舞うように戦う。ニダ・マンズール監督はジャッキー・チェン映画やボリウッド映画、『マトリックス』(1999)などを観て育ったというが、それも納得。ジャッキー・チェンのカンフーのようにキレ味抜群かつコミカルで、ボリウッド映画のようにアクションとダンスが融合し、『マトリックス』のアクションのように斬新でスタイリッシュ。すべてひっくるめて“新しい”ものになっている。


アクション+シスターフッド

 本作の+αポイントはシスターフッド。これが熱いドラマを生み出している。学校では頭の固い先生や意地悪な同級生に目をつけられ、両親にはスタントウーマンになる夢はあきらめ、堅実な道に進むよう説教される。そんな日々を過ごすリアにとって唯一の理解者は姉のリーナだった。その姉を救うべく無謀な戦いに挑もうとするリアを助けてくれるのが、女友だちだ。リアは姉のリーナと、そして女友だちと時にケンカしながらも助け合い、やがては、彼女たちを型にはめようとする世の中を蹴散らしていく。熱きシスターフッドが根底にあるからこそ、本作のアクションは心動かされるものになっている。

 今までにない<カンフー×ボリウッド×シスターフッド>なアクションヒーロー、ここに誕生。彼女の戦う理由と反骨精神にグッとくる。


『ポライト・ソサエティ』

https://transformer.co.jp/m/politesociety/

2023年/イギリス/104分

監督・脚本 ニダ・マンズール
出演 プリヤ・カンサラ リトゥ・アリヤ ほか
配給 トランスフォーマー

※8月23日(金)より新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン 池袋、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開

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