FLYING POSTMAN PRESS

この夏観たいアクション+αな映画

たぎる、心弾むアクション
+αで夏の映画がさらに面白くなる

 今年の夏も、スクリーンにはド派手なアクション・エンタテインメントが多数お目見え。なかでも存在感を放つ、アクション+αで魅せる3本を紹介する。



主人公は影のヒーロー=スタントマン

 『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)や『ブレット・トレイン』(2022)を手がけるデヴィッド・リーチ監督による、影のヒーロー=スタントマンを主人公にした限界アクション。

 ライアン・ゴズリング演じるコルト・シーバースは、腕利きのスタントマン。アーロン・テイラー=ジョンソン演じるアクションスター、トム・ライダーのスタントダブルとして第一線で活躍してきたが、ある日、完璧にこなしたはずの落下スタントになぜか失敗し、身も心もぼろぼろになって一線を退いていた。しばらくして復帰作のオファーを受けるも渋っていたところ、エミリー・ブラント演じる元恋人ジョディ・モレノの初監督作と聞き、がぜんやる気に。アクション大作の撮影現場にカムバックし、その後、主演のトム・ライダーが失踪したことを知る。復縁とキャリア復活を狙うコルトは、撮影現場ではジョディの心を取り戻したい一心で危険なスタントに果敢に挑戦。一方でトムの行方を追い、事件に巻き込まれてしまう。

 さすがスタントマン出身のデヴィッド・リーチ監督作、しかもスタントマンが主人公の物語とあって最初から最後まで超ド級、陸・空・海のすべてを使ったアクションシーンが展開される。トレーラーに引きずられながら高速道路を爆走するカーアクション、約70m強(※劇中では約80mの設定)の圧巻カージャンプ、飛行中のヘリコプターへの驚愕ダイブ、迫力とスタイリッシュさを兼ね備えた格闘戦と、もはや見本市状態。キャノンロールというカースタントも観られるが、これを担当したスタントマンのローガン・ホラデイは車を8回半回転させ、ギネス世界記録を更新したというあたり、レベルの高さを物語っている。

 撮影のために落ちるに飽き足らず、恋にも罠にも落ちる、まさに“フォールガイ”なコルトだが、落ちるたびに這い上がってくる不屈の男でもある。撮影現場でも事件現場でも限界突破しまくるコルトから目が離せない。


アクション+ロマンティック・コメディ

 本作の+αポイント、それはロマンティック・コメディとしても楽しめるという点だ。コルトはスタントマンとしては超一流だが、恋人としては落第生。仕事で失敗して落ち込んだ挙句、恋人ジョディの前から姿を消して1年半。自らそうしたにもかかわらず、コルトはジョディに未練たらたらで、なんとか彼女にアピールしようと奮闘することとなる。

 一方のジョディも内心穏やかでない。長年映画の裏方スタッフとしてがんばってきて、ようやく念願の監督業に挑むことに。その撮影現場で、元恋人のコルトに思いがけず再会したわけだ。プロフェッショナルな仕事相手として接したいし、コルトのことは吹っきったつもりでいたが、彼との間に“恋の化学反応”が起きてしまうことはどうにも止められない。

 とりわけ、恋情が乗った“映画撮影シーン”はド迫力のスタントに目を奪われつつ、映画監督とスタントマンの仕事上の会話の体をとった“痴話ゲンカ”に思わず笑い声をあげてしまうはず。ふたりの恋情は撮影現場のみならず事件現場にも波及し、ストーリーを大きく動かすことも。事件と恋路、それぞれの行方に注目しながら満喫したい。


『フォールガイ』

https://fallguy-movie.jp

2024年/アメリカ/127分

監督 デヴィッド・リーチ
出演 ライアン・ゴズリング エミリー・ブラント ウィンストン・デューク アーロン・テイラー=ジョンソン ほか
配給 東宝東和

※8月16日(金)より全国公開

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