“ALL名古屋 MADE IN 名古屋” にこだわって制作されたOUTRAGEデビュー35周年記念映画『鋼音色の空の彼方へ』の魅力とは

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名古屋が世界に誇るヘヴィ・メタルバンド“OUTRAGE”。そのデビュー35周年を記念して制作された映画『鋼音色の空の彼方へ』は5月20日(金)に名古屋先行公開となる。“ALL名古屋 MADE IN 名古屋”にこだわって制作された本作について、山田貴教監督、OUTRAGEの丹下眞也、阿部洋介、出演者の秋田卓郎、岡陽介、そして「変態仮面」の作者でありOUTRAGEを主人公にした漫画「アウトレイジだがや」も手掛けた漫画家のあんど慶周に話を聞いた。


デビュー35周年、そして映画の公開おめでとうございます。

丹下:ありがとうございます。『鋼音色の空の彼方へ』は随分前からスタートしていた企画なので、ようやく皆さんにご覧いただけるのが嬉しいです。

本作はただバンドの歴史を辿る映画ではなく、その撮影をする若者たちの物語となっています。

丹下:俺たちのことをかわいがってくれている伊藤政則さんが、ある日突然「丹下、映画を作るぞ!」といい出したんです。より多くの人達に興味を持ってもらう為には、音楽だけをしていてもだめだと。そこで以前ドキュメンタリー映画を作っていただいた山田監督に話を振ってみました。

山田:制作にあたり、メンバーにインタビューを行い、OUTRAGEの青春ストーリーにしたいと思ったのですが、それだけでは面白くないので、なにか鋭角な切り口はないものかと脚本家の成子さんに相談をしたところ出てきたアイデアが劇中劇だったんです。OUTRAGEの映画だけれどOUTRAGEのメンバーが主演ではないのが逆にいいねと、満場一致でこのアイデアを採用することにしました。

キャスティングはどのように行われたのですか?

山田:メンバー役を演じる俳優の役なので、オーディションでトータル的な雰囲気を重視して決めました。

岡:ヘヴィメタルのこともOUTRAGEの皆さんのことも詳しくないままオーディションに参加して…

山田:役のまんまだね。

岡:そうなんですよ。しかも、ご飯を食べた感想を名古屋弁でイキりながら言ってくださいと監督に言われて、「でら美味ぇがや!」と言ったものの、何だそれ!?と。よくわからないまま帰ったので、受かった実感がなかったです。

秋田:僕は突然「上半身脱いでくれる?」と言われましたよ。上半身裸になって倒立をしたら「はい、いいね。OK!」と。何がいいのかわからなかったです(笑)

岡さんはNAOKIさん役のネット配信歌手・前田徹、秋田さんは丹下さん役ののサブカル俳優・山内聡を演じられています。

岡:まず NAOKIさんの映像資料をみて、とにかく真似をすることからスタートしました。前田は僕に近しいキャラクターだったので、とても演じやすかったですね。

秋田:僕はまず、純粋な好青年である山内を軸にして、そこから逆に振り切ることで自然に丹下さんに近づけるようにしていました。

丹下:撮影現場に顔を出して見ていると、なぜか劇中劇の中の丹下ではなく、山内の方に感情移入してしまいました(笑)

阿部:演奏シーンの再現度の高さは印象的でしたね。これは努力なしにはありえない。

丹下:秋田くんにドラムの指導をしたのですが、たった一時間の間にみるみるドラマーっぽくなっていくんです。役者さんって本当にすごい。

あんど:客観的に見ても演奏中の動きはみなさん本当に似ていましたね。ギターやベースを弾く手の動きも自然で。

山田:コピー用の動画を用意して、どのフレットを抑えるかも確認してもらったんですよ。

本作は“ALL名古屋 MADE IN 名古屋”にこだわって制作されたということもあり、作品から名古屋、とりわけ大須に対しての愛が伝わってきます。

丹下:大須にフィーチャーした作品というと松下由樹さん主演の「ただいま大須商店街」がありますが、それに対抗できるレベルのものができました。大須で生まれ育った人間としてとても嬉しいです。

阿部:真矢みきさん主演の「全力離婚相談」にも並んだよね。大須三部作だ(笑)

山田:ロケ地は名古屋スタッフがアイデアを出し合って決めました。全員地元なのですごく盛り上がって。

岡:文殊小路という細い路地での撮影があったのですが、とても大須らしい雰囲気が出ている場所で印象的でした。

山田:あそこは絵的にとてもいいところなので、あえてカット割をせず、長回しで長台詞を撮りました。

そんな名古屋愛だけではなく、ヘヴィ・メタルに対する愛も詰まっていますね。

山田:本作のキャッチは“「ヘビメタ」じゃない、「ヘヴィ・メタル」だ”ですが、それって一般の方からしたらどうでもいいことじゃないですか。でもメタル好きの人たちはそういうところにこだわりを持っている。そういう要素を小道具などにもふんだんに入れたつもりなので注目してほしいです。衣装のバンドTシャツも通販で簡単に買えるものではなく、レアなものを集めました。

あんどさんはOUTRAGEの皆さんとは学生のころからのお知り合いだとか。

あんど:そうなんです。学年が違ったので、そんなに交流があったわけではないですが、皆さん当時から目立つ存在でした。

阿部:長髪で学ランだったからね。

丹下:なんでもありの高校だったんですよ。

あんど:僕も当時バンドをやっていて髪が伸ばしたかったのでその学校に入ったんです。

そんな学生時代の印象深いエピソードなどがあれば教えてください。

丹下:作中に銭湯でのシーンがありますが、実際に友だちとよく行って音楽の話をしていました。

阿部:丹下さん、お風呂上がりに「彼女が欲しい」と言いながら靴下を手にはめて叩いてたよね

一同:(爆笑)

山田:なんで手に?そのエピソード、作中に入れればよかったな。

丹下:まぁ、そんな俺のキャラクターが、映画の中では女の子に恋をする山内に美化されたということで(笑)

最後に、皆さんの思うヘヴィ・メタル、そしてこの映画の魅力を教えてください。

岡:この作品に出演して、ヘヴィ・メタルに対する印象がガラッと変わりました。聴いていると体が勝手に動くようなパワーを感じます。

秋田:デビューから35年。こんなに長くバンドを続けてこられたのは、OUTRAGEのみなさんに腐らない心があったからだと思います。僕は役者をしていますが、一度折れた身なので、この作品を通してそんな見習うべき姿を見せていただくことができました。ヘヴィ・メタル=OUTRAGE=青春!

丹下:本作はヘヴィ・メタルの映画でもありながら、若者が葛藤する姿を描いています。人生にはいいこともあれば悪いこともある。それを全て表現した人間愛映画と言える作品です。


ミッドランドスクエア シネマで先行プレミア上映会が開催


4月25日(月)、ミッドランドスクエア シネマにて先行プレミア上映会が行われ、舞台挨拶に山田監督、丹下、阿部、秋田、岡が登壇した。

撮影中の印象に残っているエピソードを聞かれた秋田と岡はそれぞれ丹下とNAOKIによる直接指導を受けたときの様子をモノマネを交えながら披露。ドラム未経験だった秋田は演奏シーンに不安があったが、丹下の「バッチリ!もう俺にしか見えないからそのままやって」という言葉に救われたと語った。

また、OUTRAGEのメンバーが出演しているシーンについて、阿部は「うちの愛犬がスクリーンデビューしました」と嬉しそうな様子を見せる一方、丹下は「目の前でとんでもないことが起こっていたので、挙動不審になっている姿が映っていると思います」とコメントし、会場の笑いを誘った。

最後に山田監督が「名古屋スタッフ、名古屋キャストにこだわって作ったので、名古屋から全国に火をつけていきたい」と意気込みを語ると、会場は大きな拍手に包まれた。



【STORY】

デビュー35周年を迎えた名古屋大須発のヘヴィ・メタル・バンド“OUTRAGE”結成から現在までの歴史を振り返る映画制作が堂々決定!プロデューサーに抜擢されたのはヘヴィ・メタルへの愛と熱意がとにかく強い女性プロデューサー朝倉みどり。“OUTRAGE”メンバー4人にキャスティングされたのは、メタルとは全く無縁のサブカル俳優・山内聡(Dr.丹下役)、ネット配信歌手・前田徹(Vo.NAOKI役)、若手芸人・佐久間駿(G.阿部役)、新人俳優・加藤優馬(B.安井役)。
いざ映画制作が開始するが、案の定ヘヴィ・メタルがなかなか理解できない…。
悶々としながらも、プロデューサー朝倉や、山内が一目惚れするバンド好きの共演者・可那子に導かれ、ヘヴィ・メタルと役作りに没頭していく。
やがて“OUTRAGE”が経験してきた過酷な日々を演じる中で、彼らは自身の立ち行かない本業や燻る気持ちが交錯し、いつしか真摯に己と向き合うように。
“OUTRAGE”役の自分と、現実の自分がどんどんシンクロし、自分を変えたいという気持ちへと変わっていく。
こうして、苦悩や葛藤を抱えながら映画制作は進行していくが…。
泥臭くて無茶苦茶で、だけど仲間に恵まれた『OUTRAGE』な熱い世界を通して、はたしてイマドキの若者たちは何を感じ、何を求め、何を掴むのか!?

『鋼音色の空の彼方へ』
出演 秋田卓郎 岡陽介 兼平勝成 安藤悟
近藤久美子 山中裕史 末永桜花(SKE48) 三根孝彦 酒井直斗 梨伽 高井泉帆 憲俊 野々田奏(祭nine.) 上田定行
特別出演 【OUTRAGE】NAOKI 阿部洋介 安井義博 丹下眞也
原案 伊藤政則
監督 山田貴教
脚本 成子貴也
配給 スターキャット

5月20日(金)名古屋先行 / 6月3日より全国順次公開