『銀河鉄道の父』の恵那市特別試写会に豊田裕大と成島出監督が登壇!

  • 名古屋

役所広司主演・映画『銀河鉄道の父』が絶賛上映中。岐阜県恵那市をメインロケ地として撮影されたことから、恵那市民、撮影に協力いただいた方々へ向けた特別試写会を恵那文化センターにて開催。上映前の舞台挨拶に、豊田裕大、成島出監督が登壇した。


まずは皆様にご挨拶をお願いします。

豊田 賢治の弟、清六役を演じました豊田です。恵那市に帰って来れて嬉しいです!清六、帰ってきました!

成島監督 成島、帰ってまいりました。映画の中で同じ賢治が同じ挨拶をします。温かい応援の中で胸いっぱい、目はうるうるです。今日は楽しんでください。

撮影は昨年5月から6月にかけて行われたとのことですが、およそ1年ぶりに恵那市に帰ってこられていかがですか?

成島監督 上映会で全国を回っていますが、本当に帰ってきた感じがします。銀河鉄道の旅と言いますが、2018年から映画化を進めてきて、ようやく目的地に辿り着いたようで感無量です。

豊田 役者を始めて最初に決まったお仕事なので、僕の中でもとても大切な作品です。早く皆さんに観ていただけると嬉しいなという気持ちでいっぱいです。


ロケ地に恵那市を選んだ理由を教えてください。

成島監督 江戸時代なら京都などで撮影ができるのですが、明治時代や大正時代はなかなか場所がなくて。全国探して、ここ恵那で通りも家もお借りしました。ぜひこの景色は文化庁にお願いして50年100年と遺産として残してもらいたいです。市民のみなさんも好意的で、エキストラとしてご協力もいただき、感謝申し上げます。

豊田 恵那市の皆さんは温かい方ばかりで、撮影までは来たことなかったのですが、どこか懐かしさを感じる雰囲気で、とても思い出深い街です。

宮沢賢治の弟、清六についてはご存知でしたか?

豊田 実はよく知らなくて。お話をいただいて調べていくうちに、自由な賢治に対して堅実で真面目な弟なんだなとわかりました。清六がいなければ、宮沢賢治作品が世に知られなかったので重要な人物ですよね。

憧れの俳優である役所広司さんと菅田将暉さんと共演されていかがでしたか?

豊田:まさかこんなに早く共演できるとは思っていなかったので嬉しかったです。映像で見ている時とはまた違って、人間力やパワーを感じ、いつか自分もそうなりたいと思いました。役所さんは現場でずっと台本を開いていたり、菅田さんは目のパワーがものすごく強かったり、お二人の佇まいを見習わせていただきました。

豊田さんは撮影がない日も現場に足を運んでいたんだとか。

豊田 勉強はもちろん、大切な思い出を心のメモリに刻みつけたかったんです。

成島監督 豊田くんは清六と同じようにしっかり者で真面目です。宮沢家の皆さんにお話を聞くと、賢治はすぐどこかに行ってしまうから、清六が凧みたいに糸を持っていたと。清六が賢治の死後、全く無名だった賢治の原稿を整理して、爆発的にヒットさせました。ゴッホも生前は絵が1枚も売れなかったことで有名ですが、彼も弟が支えていましたよね。自由な天才の兄としっかり者の弟という図式はよくあるのかもしれません。真面目で誠実な清六は、もともと誠実な豊田くんにぴったりですね。


今だから言える恵那市での思い出はありますか?

豊田 撮影中は僕と菅田さんが同じ坊主頭だったので、僕が歩いているとみなさんに「菅田くーん!」と声をかけられ、「豊田です」と返すというやりとりを100回ぐらいしました(笑)。最終的には豊田裕大を覚えてもらえたので嬉しかったです。ちなみに、監督も僕と菅田さんを何回も間違えていました(笑)。あと、昼休憩中に五平餅を差し入れしていただいて。疲れている中で美味しいものを食べるとまた頑張ろうという気持ちになりますね。

成島監督 エキストラの皆さんには朝から夕方まで長時間お付き合いいただきました。恵那市は僕たち映画監督にとって本当に貴重な町なので、また映画を撮りに来たいですね。

それではここで、恵那市観光協会の阿部伸一郎会長と小坂喬峰市長にもご挨拶をいただきます。

阿部会長 成島監督が明治大正昭和の撮影ができる街並みや恵那市の皆さんの心に感動して、「こんなロケ地は他にない、日本のハリウッドだ」と絶賛してくださいました。「ロケ地と言えば、恵那」「ロケ地めぐりと言えば、恵那」。今日は観光恵那の新たな船出です。

小坂市長 多い時には120人ほど撮影現場に足を運んでいたとのことで、恵那市の皆さん、撮影を快く受け入れてくださって、本当にありがとうございます。

また、恵那市のメインロケ地岩村街で作られた地酒「女城主」の贈呈も。2升半で「一升一升半升で、益々繁栄、銀河鉄道の父、大ヒット祈願」の願いが込められています。


最後に、映画を楽しみにしている皆様にメッセージをお願いします。

豊田 どの世代が見ても感動できてクスッと笑える映画なので、ぜひ楽しんで観ていただけたら嬉しいです。

成島監督 この映画をお届けできることに喜びと誇りを感じます。気に入っていただけたら、全力で応援していただきたいです。ぜひ、大切な人と『銀河鉄道の父』をお楽しみください。

原作と台本を読み込んで
あとは現場で先輩にぶつかっていこうと。


舞台挨拶に加えて、豊田裕大が撮影のエピソードや今後の展望を語ってくれた。

賢治の弟・清六を演じるにあたって役作りはどのように進めましたか?

豊田 お芝居の経験がまだまだ少ないので、清六がどういった気持ちか理解できるまでとにかく原作と台本を読み込みました。あとは現場で先輩たちにぶつかっていこうと。また、菅田さんと兄弟役だったので、この人が僕のお兄ちゃんなんだと刷り込めるように、菅田さんが出演されていたバラエティやラジオにたくさん触れましたね。賢治が生きた時代と現代では時代設定が異なるので方言など難しいかなと思っていたのですが、映画の中で生きている人間の感情は今も昔も変わらないと気づきました。

豊田さんご自身も弟というポジションですが、清六との相違点はありましたか?

豊田 僕も清六と同じように、よく周りから真面目と言われます。そういう見られ方をするだけで、僕自身は真面目だと思っていないんですけど(笑)。ただ清六の場合は、お兄ちゃんがあまりにも自由奔放で、まるで清六が賢治のお兄ちゃんのようにしっかり支えていたので、そこは違うかなと思います。


トシ役の森七菜さんは年齢も近いですよね。

豊田 キャリアは全然違いますが年齢が近いので勝手に心の支えになっていました。森さんはとてもチャーミングな方ですが、飛び込む時は飛び込むというパワフルさを持っていて、僕自身の原動力や活力にもなっていました。実際に苦労されていたかわかりませんが、トシが桜の家で賢治と一緒に物語を読んでいるシーンが大変そうで。それを見ていた時に森さんの「私はやる」という強い覚悟を感じて、末期のトシを実家に運ぶシーンで大切に運びたいなと思いました。

坂井さんや田中さんとの共演はいかがでしたか?

豊田 坂井さんは本当に優しくて、僕が緊張していた撮影初日に話しかけてくださって。僕がバスケットボールをやっていたのでFBAの話から、お芝居のことまでいろいろお話させていただいて、本当に支えられていました。泯さんとは共演シーンが無くて、なかなかお話する機会が少なかったのですが、完成披露試写会などでお会いした際に、うどんをいただきました(笑)。あと、泯さんの「おめぇは、父でありすぎる」というセリフは政次郎のすべてを表していますよね。厳格な父親が主流だった時代に、ちょっと抜けているけど大きい愛に溢れた政次郎のために放ったセリフで、特に印象に残っています。


恵那市での撮影の思い出を教えてください。

豊田 撮影現場近くの「うどん処みつば」という有名なお店で、美味しいうどんをいただきました!最近うどんにもハマっています。

最後に、今後の目標をお聞かせください。

豊田 お芝居が本当に面白くて、今はとにかく続けたいですね。共演者の皆さんのように、演技に余韻を残せる、人の心に残る役者になりたいです。


【STORY】

質屋を営む裕福な政次郎の長男に生まれた賢治は、跡取りとして大事に育てられるが、家業を「弱い者いじめ」だと断固として拒み、農業や人造宝石に夢中になって、父・政次郎と母・イチを振り回す。さらに、宗教に身を捧げると東京へ家出してしまう。そんな中、賢治の一番の理解者である妹のトシが、当時は不治の病だった結核に倒れる。賢治はトシを励ますために、一心不乱に物語を書き続け読み聞かせる。だが、願いは叶わず、みぞれの降る日にトシは旅立ってしまう。「トシがいなければ何も書けない」と慟哭する賢治に、「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」と、再び筆を執らせたのは政次郎だった。「物語は自分の子供だ」と打ち明ける賢治に、「それなら、お父さんの孫だ。大好きで当たり前だ」と励ます政次郎。だが、ようやく道を見つけた賢治にトシと同じ運命が降りかかる──

『銀河鉄道の父』
出演 役所広司
菅田将暉 森七菜 豊田裕大
池谷のぶえ 水澤紳吾 増岡徹
坂井真紀 / 田中泯
監督 成島出
原作 門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社文庫)
主題歌 いきものがかり「STAR」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給 キノフィルムズ

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