2014年に公開され大ヒットを記録した韓国映画『最後まで行く』。ひとつの事故を発端に、極限まで追い詰められていく刑事の姿を描いた本作を『新聞記者』('19)、『ヤクザと家族 The Family』('21)、『ヴィレッジ』('23)などを手掛ける監督・藤井道人によって日本でもリメイク。絶体絶命、極限の4日間の物語を圧倒的な緊張感とスピード感、そして思わずクスっと笑ってしまうコミカルさをスパイスにノンストップ・エンタテインメントとして描かれている。
悪夢のような災難が降りかかる刑事・工藤祐司を岡田准一、工藤を追う冷徹なエリート監察官・矢崎貴之を綾野剛が演じた映画『最後まで行く』。5月19日(金)の公開を前に、主演の岡田准一、綾野剛、藤井道人監督が道頓堀に登場し道頓堀川で「『最後まで行く』大阪まで行くイベント」が5/10(水)に実施された。当日は、本作の公式ホームページなどで募集された4,000人も参加したスペシャルなイベントの模様をお届け!
「13年かかってやっと共演が実現。特別な縁を感じている」(岡田)
――本当にたくさんの方にお越しいただきありがとうございます。(黒と黄色にラッピングされタイトルをあしらった特製の船が、今か今かと待ちわびている観客の前に登場。岡田、綾野、藤井監督の3人が船上に姿を現し、観客の歓声が沸き上がる)。(盛大な拍手に包まれる中)早速、皆さんから一言ずつご挨拶をお願いします。
岡田 皆さん、こんにちは! ひらパー兄さんです。「おま!」(綾野も岡田と一緒にふたりで)「おま!」。ひらパー兄さん、新しい映画が完成しました。大阪を代表して東京で仕事しておりますが、そんなひらパー兄さんの自信作で面白い映画ができたと思っています。藤井監督のもと、綾野剛さんと一緒に皆さんに楽しんでいただける映画が完成いたしました。それを発表できるのをとても嬉しく思っております。
綾野 大阪の皆さん、こんにちは。(岡田)准一さんと(藤井)監督とこうして大阪の舞台に立ててとても興奮してます。短い時間ですがよろしくお願いします。
藤井監督 本当に大好きな兄貴ふたりと最高の映画を作りました。自分で"こんな面白い映画が作れるんだっけ?"と思うぐらいいい映画を作れたと思うので楽しみにしていてください。今日はよろしくお願いします。
――今日はこちらに大阪の方もたくさんいらっしゃいますので、大阪の印象を聞かせていただけますか?
岡田 大阪は地元なので、大阪の皆さんから映画の良さを話題の中心として広げていってもらいたいという思いがあります。
綾野 (大阪は)とにかくあったかくて、愛情をすごく感じています。大阪のパワーから初日を迎えられたら最高だと思っています。
藤井監督 岡田准一さんを生んだ町なので、間違いないと思っております。
――枚方出身の岡田さんが園長を務められている遊園地「ひらかたパーク」では、これまで岡田さん主演の映画公開に合わせてコラボレーションポスターが実施されていますが、このコラボレーションシリーズとしては今回初めて共演者の方とご一緒されたんですよね?
岡田 綾野さんにひらパーのコラボポスターに出ていただきました。実は現場でお話をしていた時にひらパーの話題になって、綾野さんが「出たいです」と言ってくれて実現しました。
綾野 ひらパー兄さんのコラボポスターは僕たちの中でも結構話題になっていて、「准一さん、誰かと共演しないんですか? 今回やりましょうよ!」と言ったら、准一さんが本当に叶えてくださいました。すごく嬉しかったです。
岡田 ひらパー側に「綾野くんが出てくれるって言ってるよ」と伝えたんですが、「嘘でしょ」って誰も信じてくれなかったんですよ(笑)。「一度、事務所に聞いてみた方がいいですよ」と言ったら、本当に(綾野君の事務所に話を)繋げてくれて、すぐオッケーが出て実現しました。
綾野 即日オッケー出しました(笑)
岡田 ひらパーのコラボレーションポスターはいつも監督に怒られるんじゃないかとヒヤヒヤしているんですけど、今回は監督もノリノリで許可していただいきました。今回、『最後まで行く』にかけて「背後まで行く」というポスタービジュアルを作ったんですが、僕がバリカンを持って後ろから近づいていく「サイドまで刈る」と競っていたんです。結局「背後まで行く」が勝利しました(笑)
――監督はポスタービジュアルをご覧になられていかがでしたか?
藤井監督 今回はどんなバージョンのひらパーコラボポスターができるのかなと、撮影中から楽しみにしていたら剛さんも出てくれて。コラボポスタービジュアル、大好きです。
――岡田さんは、ひらパー兄さんをするために映画に出演されているとお聞きしたんですが…?
岡田 否めないですね(笑)。ひらパーから「地元から元気になって欲しい」とお話をいただいたのがもう10年以上前なんですが、大阪ではひらパー兄さんの方が有名になってきていて「ひらパー兄さんが映画に出てる!」と言っていただけるのを誇りに頑張っています。
――綾野さん、コラボポスタービジュアルをご覧になった時の感想をお聞かせください。
綾野 本当に感激しました。ひらパーファミリーに少しでも入れたという喜びと、兄さんと一緒に写真が撮れてめちゃくちゃ嬉しかったです。
岡田 綾野君、ひらパーのために日を作って写真を撮ってくれたんですよ。撮影日に綾野君が「今からひらパーの撮影に行ってきます。すごいやる気を出して頑張ってきます!」みたいなメールをくれて、僕も「悔いなく頑張ってね」って返して。そんなに気合を入れてくれるなんて嬉しいですよね。
――今回岡田さんは藤井監督の作品に初出演されますが、藤井監督について「邦画映画界の希望」だとおっしゃっていたとお聞きしました。
岡田 映画界では、こんなに役者さんに愛されている監督もいないと思います。映画界の希望と言われている監督で、普通に並んだら5年待ちとも言われていますし、監督はもちろんスタッフも全員すごく優秀なんです。綾野君とは、『SP(野望篇)』('10)でちょっとだけご一緒していただいて以来「(一緒に)やりたい」と言っていただいていて、13年かかってやっとここで一緒にやれるんだという、特別な縁を感じた作品ではあります。
――綾野さんは憧れだった岡田さんと一緒に本作に出演されて、どのようなお気持ちでしたか?
綾野 もう毎日幸せでしたね。目の前で見る准一さんのお芝居はもちろんですけど、アクションとか全てがすごく学びで、ずっと感激していました。役を通して好きな気持ちとか、リスペクトしている気持ちが漏れてしまわないようにすることが一番大変でした。でも、撮影する時はワンチームでやっていますから、いろんなディスカッションをしながら作っていく過程も、宿泊してるホテルに戻って疲れを癒している最中もどんな時も“今日も1日楽しかったな”という思いでした。
――綾野さんはこれまでにも藤井監督の作品に出演されていますが、今作は新しい藤井監督の作品という印象でしょうか?
綾野 本当にすごいスピード感の台本だなと。いつもの3倍ぐらいのスピードの速さを感じて、今回これを准一さんと一緒に成し遂げなければいけないというとてつもない難題をご用意いただきました。(監督には)もちろん信頼もありますけど、限りなく0に近い状態から常に一緒に積み上げていくので。そこに今回准一さんという本当に人間力の塊のような方が来てくださったことによって、この組はさらに大きくなるなと思いました。
――藤井監督、今回一緒に撮影されたおふたりの印象を教えていただけますか?
藤井監督 取材でも結構言ってるんですけど、岡田さんは限りなく完璧に近いという印象を受けました。アクションもお芝居もですが、何よりスタッフや映画に向き合う気持ち、心構え、礼節その全てがスタッフたちの士気をすごく自然に上げてくれて、この現場では「兄貴」みたいなところもやってくれましたし、アクションシーンがあったりすると「俺が回すよ」と言ってみんなのフロアディレクターをやってくれたりとか、すごく楽しい時間をいただきました。
――今作における綾野さんの印象はいかがでしたか?
藤井監督 剛さんは『ヤクザと家族 The Family』という映画から兄貴のように一緒に映画を作らせてもらっていますが、今回は「最高に狂った綾野剛さんを撮りたいです」と、剛さんにお願いをして、「オッケー!了解!」と思いっきり狂った演技をしてくださって、毎日モニターの前でニヤニヤしながら狂った剛さんを見ていました。
「准一さんは人間力の塊。真摯に向き合ってくれる姿勢が大好き」(綾野)
――岡田さんの近年の作品は本当に強くて何かを背負っているような男という印象がありましたが、今作はちょっとコミカルな要素もあるように感じました。そこは監督の狙いだったんでしょうか?
藤井監督 キュートな、そして愚かな、常に戸惑ってる岡田さんが撮りたいと思っていました。僕は今36歳なんですが、『木更津キャッツアイ』(’02)とか「学校へ行こう!」(’97-‘05)に岡田さんが出演されているのをリアルタイムで見ていて、あの時のキュートな岡田さんも自分だったら撮れるんじゃないかという思いで今回ぶつかっていきました。
岡田 僕は若い頃はコメディ(作品に出演すること)が多かったんですが、やっぱり笑いが一番難しいですね。(『最後まで行く』は)笑っていたらどんどん狂気にもなっていくし、狂気だったのが笑いにもなっていく、怖い映画でもなく、本当に笑える映画なので。大阪の人ならわかっていただけると思うんですけど、笑いってひっくり返ったら狂気になるような紙一重なところがあるよねという関西人のツボをついている映画になっていると思います。
――アクションシーンは、岡田さんも監督とともにコーディネートされていったのでしょうか?
岡田 そうですね。アクション監督と監督と一緒に全体的に一緒に相談しながら作っていきました。
――本作のアクションシーンは、生身の人間の戦いに近いというか、リアルファイトに近いような感じですよね。
岡田 そうですね。僕らは特別な強い人というより、普通の警察官という役だったので、アクションも超人的じゃない生身のあり方というところと、「トカゲ」というワードが役の中に結構出てくるので、トカゲっぽい地面に這いつくばって戦うような描写が多いとは思います。
――綾野さん、岡田さんとアクションシーンを一緒にされた際は緊張しなかったですか?
綾野 もう胸を借りる思いだったので、むしろ安心してやっていました。
――先ほどから気になっていたのですが、綾野さんは岡田さんのことを「准一さん」とお呼びになるんですね。
綾野 そうですね。
岡田 不思議なんすけど、ジャニーズのグループでは皆さんに「岡田」って呼ばれるんですけど、役者さんには「准一くん」とか「准一さん」とか下の名前で呼ばれるんですよ。
――綾野さん、岡田さんと一緒にがっつり向き合って芝居することによって、岡田さんの印象は変わりましたか?
綾野 昔から人間力というか、その眩しさみたいなものはずっと変わってないですね。むしろそれを地でいっているところが本当にすごいなと思いますし、技術やアクションなどいろんなことに対する学びを振りかざしたりするわけでもないですし、ただただ真摯に向き合ってくれる姿勢が僕は大好きです。
――逆に岡田さんは今回綾野さんとご一緒されて、綾野さんの印象は変わりましたか?
岡田 何かに本気で向き合うことは、しんどい作業だったりすると思うんですけど、芝居もそうで。でも、綾野くんからはそれに全力で真摯に向き合って傷付き苦しみながら現場に立っているというか、揺るがない背中みたいなのも感じました。綾野君は13年経っても素晴らしい役者さんで一緒にモノを作り合える喜びを感じて、ひとりの役者さんとして眩しかったです。
――今作の見どころを監督からひとつ聞かせていただけますか?
藤井監督 これまでに見たことのない岡田准一さんと綾野剛さんが見られる映画であることは間違いないなと思っています。そして笑って楽しめて、映画館で観るとさらにその魅力が倍増する映画を作れたと思っています。
――最後に岡田さんから、今日お集まりの皆さんにメッセージをお願いします。
岡田 今日はありがとうございます。藤井監督のもと、面白い映画が完成したと思っています。皆さん、生きてく中で日々いろいろあると思いますが、僕らは皆さんがいい時間を過ごせたらと思えるモノ作りを目指して映画を作っています。その中でも胸を張って、皆さんに「おもろいで!」と言える作品ができたと思っております。ぜひ、今日いらした方は「おもろいらしいで!」とたくさんの方に勧めていただいて、初日から3日間以内に劇場で観ていただいて(笑)。「大阪(の映画館)めっちゃ入ってるらしいよ」と言えば全国に広がっていきますので、ぜひ劇場で観てもらえたら嬉しいです。今日はありがとうございます。
VIDEO
『最後まで行く』
監督
藤井道人
脚本
平田研也 藤井道人
出演
岡田准一 綾野剛
広末涼子 磯村勇斗
駿河太郎 山中崇 黒羽麻璃央 駒木根隆介 山田真歩 清水くるみ
杉本哲太/柄本明
配給
東宝
©2023映画「最後まで行く」製作委員会
5/19(金)より全国公開