映画『はざまに生きる、春』宮沢氷魚&葛里華監督舞台挨拶(大阪)「こんなにあたたかい気持ちになれる作品は久しぶり」

  • 関西

映画コンテスト「感動シネマアワード」にて大賞を受賞し、制作された映画『はざまに生きる、春』が5/26(金)より公開される。本作の監督・脚本を務めるのは漫画編集者として数々のドラマ化作品を手掛けながら、自主映画を制作し続けていた1992年生まれの若き才能・葛里華(かつりか)。
天才的な画の感性を持つ屋内透を宮沢氷魚、出版社で雑誌編集者として働く小向春役を小西桜子が演じ、人を好きになること、幸せの定義をそれぞれの胸に問いかける純愛映画が誕生した。
本作の公開に先駆けて4月11日(火)にシネ・リーブル梅田で行われた舞台挨拶付き先行有料上映会の上映前に宮沢氷魚、葛里華監督が登壇した模様をレポート!

屋内徹は宮沢さんを想定して
脚本を書き始めた(葛監督)


——今日はお二方にお越しいただいております。主演の宮沢氷魚さん、そして監督の葛里華監督です。まずは一言ずつご挨拶をお願いします。

宮沢 皆さん、こんばんは。宮沢氷魚です。大阪に来るのは久し振りなので、すごく楽しみにしていました。昨日の夜から大阪に来て、今日1日、大阪の活気と皆さんからエネルギーをもらって、とても楽しい1日になりました。よろしくお願いします。

葛監督 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

——宮沢さん、大阪はお久しぶりなんですね。

宮沢 はい。昨日の夜に名古屋からこっち(大阪)に移動して、今日の朝からずっと取材などを受けていたのですが、皆さんすごく歓迎してくれてやっぱり大阪っていいなと思いました。


——大阪で食べてみたいものや、ちょっと時間があったら行ってみたいところはありますか?

宮沢 そうですね。普通にちょっと街を散歩してみたいという思いもありますし、あとは、本当にベタで皆さん聞き飽きてると思うんですけど、やっぱりたこ焼きを食べたいです。僕、たこ焼きが大好きで子どもの頃によく自分で作っていたんですよ。実家にたこ焼き機があって、電気のやつじゃなくてガスタイプ。

——えー!

宮沢 ちゃんと鉄板で、炎で。なので本場のものを食べてみたいです。

——では、今晩にでもぜひ召し上がっていただけたらと思います。監督はいかがですか?

葛監督 私、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンがすごく好きで年パスを持っているんです。年に4、5回ぐらいUSJのためだけに大阪に来ています。実は今日も行ってきたんです。(会場からざわめきと笑い声)

——え、ちょっと待ってください。宮沢さんはさんは今日はずっと取材で大阪のどこも見ていないとおっしゃっていました、監督!

宮沢 (監督が)昨日スーツケースを持っていらっしゃったので、「なんかすごい可愛いスーツケースですね」と言ったら、「この中にね、グリフィンドールの生徒になるための制服が入ってるの。あ、魔法の杖も入ってるの」って。あっ、本気なんだと思いました。(会場爆笑)

——本気ですね!

宮沢 今日のお昼に行かれたんですよね。

葛監督 そうですね。お昼にちょろっと魔法をかけに。(会場笑)

——すごいですね。さて、今作は監督が「感動シネマアワード」というコンテストに出展されたものが選ばれて映画になったということですが、元々どういうきっかけでお話が出来上がったのでしょうか?

葛監督 私がかつて発達障害の方に恋をしていた過去がありまして、そのことをいつか映画にしたいなと思っていて。その中で、宮沢さんが所属していらっしゃる事務所のレプロエンタテインメントさんが主催する「感動シネマアワード」という企画があることを知って、宮沢さんに屋内徹という役を演じていただきたいなと思って脚本を書き始めて企画を出しました。


——宮沢さんは審査員も兼ねてらっしゃったんですよね?

宮沢 審査員というほどの大役ではないんですけど。当て書き作品を募集して、想像以上にたくさんの脚本が届いて、最終的に3、4作くらいに絞られました。実際、僕も目を通したのですが、その中で葛さんの書かれた『はざまに生きる、春』という作品が一番印象に残っていて。というのは、僕は葛さんにまだお会いする前でどんな人かも知らない状態で脚本を読んでる時に、登場人物への愛情がすごく深かったんです。それが文面からも伝わってきて、この方はたぶん僕が演じた屋内透くんと小西桜子ちゃんが演じた小向春ちゃんのことを本当に大事に愛していて、この作品を愛しているところで、僕はこの方なら信頼できるし、ぜひこれだけの情熱を注ぎ込んだ作品を映画化して、僕たちの力でこう皆さんに観て欲しいなと思ったところから全てが始まりました。

葛監督 ありがとうございます。

——監督、選ばれたとお聞きになった時はいかがでしたか?

葛監督 すごく嬉しかったですね。今、宮沢さんが話してくださったように3、4作に絞り込まれた時に、リモートで宮沢さんとレプロの方たちとお話しする機会があったんです。その時に「どうして映画を作っているのか」「どうしてこの作品を作ったのか」みたいな話になって。宮沢さんが作品に対してもたくさん質問してくださってすごく興味を持ってくれてるのかなと思ったので本当に嬉しかったです。

——実際に撮影が始まって宮沢さんと葛さんでいろんなお話をされたと思うのですが、最初はどういうお話から?

宮沢 そうですね。発達障害の特性を持っている透くんをどういう風に作っていこうかという話はふたりで話し合いました。役作りの段階でも監督とビデオ監修の先生と、あと障害の特性を持っている方とお話をしたり、あと僕は参加できなかったんですけど、監督は発達障害のいろんな方に取材をしていて動画を撮ってくださっていたので、僕は家でその動画を見て障害の方の言葉の出し方や動きをいろいろ吸収しました。

——先ほど、実際に恋をした経験があったというお話でした。監督の実話が入っている部分もありますか?

葛監督 その時に私が感じた気持ちをベースに宮沢さんにどういう風に演じていただきたいかなというところから脚本を作り始めたので、キャラクターや出来事に関してはフィクションの部分も結構多いです。


——宮沢さんは透さんというキャラクターのことをどのように思っていらっしゃいますか?

宮沢 皆さんもすぐに気づくと思うんですけど透さんは本当に真っ直ぐで嘘がなく、ただ人とのコミュニケーションが特別得意ではないので、自分の思ったことをそのまま言葉にして伝えますし、逆に伝えて欲しいしというところで、いくつもの壁にぶつかったりもするんですけど、その純粋さというかピュアさが透くんの見どころだと思うので、ぜひそういうところも見て欲しいなと思います。

——監督が宮沢さんを演出する時にこだわったところがあれば教えていただけますでしょうか?

葛監督 元々宮沢さんに演じていただきたいと思って屋内透というキャラクターを作ったので、そもそも宮沢さんが放つ透明感というか澄み渡った優しさというか、そういうものを前面に出せるようなキャラクターになったらいいなと思っていて。あとは発達障害の特性というところで言葉を扱うことがちょっと苦手なキャラクターでもあるので、そういうイライラや言葉がうまく出てこない時に、彼がどういう風に身体とかそれ以外のことで表現するのかっていうところをよくふたりで話して作りましたね。

宮沢 そうですね。手の動きがあるんですけど、これは心の中でうまく言葉が出てこないとか、伝えられない時にそのモヤモヤを手で表現したんです。絵を選んだひとつの理由としては透くんは天才的な画家で、本当に素晴らしい絵を描くんですけど画家は手を使うじゃないですか。自分の感情というか、思いが一番伝わるのは手とか指先なんじゃないかなと思って、そういう演出というかお芝居をしました。

——すごく印象に残ってるシーンをネタバレしない程度に教えていただけませんか?

宮沢 確か予告にも入っていたんですが、雨の中、「雨だ! 雨だ!」って言って嬉しそうにはしゃぐシーンがあるんですけど、僕このシーンが大好きで。子どもの頃は雨が降っていたりとかするとべちょべちょになるんですが、楽しくてちょっとテンションが上がって、後先考えずにその瞬間を楽しむ自分がいて。ただ今は、傘も合羽も持たない時に、雨が降ってくると、もうなんでだよ、めんどくさいなとかって思っちゃう自分がすごくショックで。あの時の純粋な何事も楽しめた自分はどこに行ってしまったんだろうと。だから、透くんみたいに目の前のことを100%で楽しんで、いろんなものを吸収して、感動できるってところに、僕はなんかすごく羨ましいなっていうか、そんな人間でいたいなと思ったのであのシーン僕は大好きです。


——監督はいかがですか?

葛監督 雨のシーンも確かにすごい印象深いんですけど、透くんが光を閉じ込めたかったと言って、壁に絵を描いているシーンがあるんです。実際に手を使って絵を描いているんですけれど、その時の宮沢さんの手が…すごい手だけでめちゃめちゃ美しかったので、“こういうカットにしよう!”と決めたシーンです。皆さんじっくり観ていただけると嬉しいです。

——宮沢さんは他にありますか?

宮沢 僕は小西桜子ちゃんとのシーンが多かったんですよ。桜子ちゃんは結構感情的なシーンが多くて大変だと思ったので、カメラが回ってない時間くらいは気楽に遊ぼうと携帯で変顔に変換するアプリでこっそり桜子ちゃんの変顔を撮ったりとか、撮ると顔が50倍くらいに増えて画面一面顔だけになるみたいな加工やったりとか。メイクさんとそういう遊びをしたりして、オフの時間はもう本当に笑いの絶えない時間が多かったです。

——では、最後に一言ご挨拶をお願いします。

葛監督 今日は皆さん来てくださって本当にありがとうございます。映画は、届く人の元に届いて完成だと思っているので、今日こうして皆さんが観てくださることで、完成することをすごく嬉しく思います。自分はいつも映画を観てくれた人があたたかい気持ちになったらいいなと思って映画を作っているので、観てくださった方が最後あたたかくなってくれたらいいなと思います。ありがとうございます。

宮沢 この作品は本当に美しい作品で、僕の中でもこんなにあたたかい気持ちになる作品は久しぶりです。改めて人と繋がること、人と関係性を持つこと、人とコミュニケーションを取ることの難しさであったり、でも、その奥にある美しさや魅力というものに僕はこの映画を通して改めて気づくことができました。公開はまだちょっと先の5月26日なのですが、皆さんはこれから観てくださるということなので、いろんなところで発信していただけると本当に嬉しいです。 この先もどうぞ『はざまに生きる、春』をよろしくお願いします。


【STORY】 出版社で雑誌編集者として働く小向春(小西桜子)は、仕事も恋もうまくいかない日々を送っていた。ある日、春は取材で、「青い絵しか描かない」ことで有名な画家・屋内透(宮沢氷魚)と出会う。思ったことをストレートに口にし、感情を隠すことなく嘘がつけない屋内に、戸惑いながらも惹かれていく春。屋内が持つその純粋さは「発達障害」の特性でもあった。ただ、人の顔色をみて、ずっと空気ばかり読んできた春にとって、そんな屋内の姿がとても新鮮で魅力的に映るのであった。
周囲が心配する中、恋人に怪しまれながらも、屋内にどんどん気持ちが傾いていく春だったが、「誰かの気持ちを汲み取る」ということができない屋内にふりまわされ、思い悩む。
様々な“はざま”で揺れる春は、初めて自分の心に正直に決断するー。


『はざまに生きる、春』
出演宮沢氷魚 小西桜子
細田善彦 平井亜門 葉丸あすか 芦那すみれ
田中穂先 鈴木浩文 タカハシシンノスケ 椎名香織 黒川大聖 斉藤千穂 小倉百代 渡辺潤 ボブ鈴木/戸田昌宏
監督・脚本葛里華
配給ラビットハウス
©2022「はざまに生きる、春」製作委員会

5/26(金)より全国公開