メガバンクを舞台にした池井戸潤の傑作小説を映画化した『シャイロックの子供たち』。主演・阿部サダヲ、本木克英監督が来福!

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累計発行部数60万部を突破する作家・池井戸潤による傑作小説『シャイロックの子供たち』が実写映画化。メガバンクの支店で起こった現金紛失事件をめぐり、さまざまな銀行員の奮闘を描く群像劇として、昨年秋にはドラマ化もされ話題を呼んだが、今回の映画は小説ともドラマとも異なる完全オリジナルストーリー。池井戸原作には初参加にして主演を務める阿部サダヲ、そしてメガホンをとった本木克英監督が、T・ジョイ博多の舞台挨拶に登壇。持ち前のキャラクターで会場を大いに湧かせてくれた。

……おふたりが福岡に来られたのは何年振りになりますか?まだどんな印象を?
阿部「3年前くらいに博多座で舞台をやらせていただきましたが、それ以来ですね。その間に東京ですごく話題になっているドーナツ屋さんがあって、お客さんが多くて食べることができなかったのですが、先日、初めて食べてすごいなって思っていたら、実は福岡が発祥だと聞いて。福岡ってすごいなと思ったのが印象に残っています(笑)。福岡は本当に美味しいものが多いですよね」
本木「福岡には親しい友人がいまして、昨年5月くらいに福岡PayPayドームでソフトバンクホークス戦に行きまして、その時、東浜投手がノーヒットノーランを達成した試合だったんです。それもあってちょっと飲みすぎた思い出があります(笑)」


……阿部さんは池井戸作品には初出演とのことですが、主人公のベテラン銀行員・西木役の役作りではどんなことを取り組まれましたか?
阿部「原作と今回の映画の脚本が違う完全オリジナルだったので最初驚きましたが、原作を読んでから映画を見ても面白いし、その逆でも楽しめる作品でよくできているなと思いました。役作りは、西木という人が銀行員っぽくない人物像で謎を暴いていくようなタイプだったので、特に銀行員としての役作りをすることはなかったですね。自分の中では、池井戸潤さんの作品の熱血なイメージと少し違うように見えたら良いなと思いました」

……オリジナルストーリーにおいて、監督はどのようなことを意識されましたか?
本木「まず脚本作りに1年以上かかりましたが、色んな方向性に向かえる原作だったのでオリジナルというよりは池井戸潤さんの原作を皆さんに観ていただくために、より魅力的にするにはどんな映画が良いかということを考え続けていました。(オリジナルストーリニーすることで)阿部さんが主演のイメージで脚本は作ることができました。原作を読んでからでも、お読みにならなくても楽しめる作品です」


……池井戸潤さんとはこの映画について何かお話しされましたか?
本木「池井戸潤さんからは「原作は騙し合いのコンゲームを意識して書いたんだけど、本木さんは人間ドラマとして撮られていたので、不思議な魅力を放つ作品になりましたね」とご評価いただき、とてもありがたい思いでした」
阿部「(池井戸さんが)ゴルフに例えられて、違う方向に行ったけど最終的にグリーンに乗っかったから良かったみたいにおっしゃっていましたけど、僕はさっぱり分かりませんでした(笑)」
本木「撮影もコロナ禍ですごく大変で、本番前のギリギリまでマスクしているから、本番の撮影をご覧になって「あ、阿部サダヲが出てる」と驚いていました(笑)。すごい俳優さんたちもたくさん出演いただいて、僕は楽しんで最後をまとめ上げるだけでしたね」

……主演級の方々が揃う豪華なキャスト陣ですが、撮影中はどんな雰囲気でしたか?
阿部「撮影時がコロナ禍の真っ最中でマスクをしているから、あんまり喋られなかったんですよね〜」
本木「ただ、本当の銀行を借りられて、その中に毎日大勢の人が集まって、やりとりできたのは良かったです。信頼できる俳優の皆さんでしたので、それぞれで役柄を考えてこられていました。中でも柄本明さんは、こんな人、本当にいるのかな?と思うような衣装を発案されご自分で用意されていて、僕は止めることができませんでした(笑)」
阿部「(柄本明さんは)映画だけに登場するオリジナルのキャストで、僕は柄本さんいつ着替えるんだろうなとずっと思っていたら、それが衣装でした (笑)」

STORY
東京第一銀行の小さな支店で起きた、現金紛失事件。ベテランお客様係の西木(阿部サダヲ)は、同じ支店の愛理(上戸彩)と田端(玉森裕太)とともに、事件の真相を探る。一見平和に見える支店だが、そこには曲者揃いの銀行員が勢ぞろい。出世コースから外れた支店長・九条(柳葉敏郎)、超パワハラ上司の副支店長・古川(杉本哲太)、エースだが過去の客にたかられている滝野(佐藤隆太)、調査に訪れる嫌われ者の本部検査部・黒田(佐々木蔵之介)。そして一つの真相にたどり着く西木。それはメガバンクにはびこる、とてつもない不祥事の始まりに過ぎなかった―。

『シャイロックの子供たち』
原作:池井戸潤「シャイロックの子供たち」(文春文庫)
監督:本木克英
出演:阿部サダヲ、上戸彩、玉森裕太、柳葉敏郎、杉本哲太、佐藤隆太、柄本明、橋爪功、佐々木蔵之介、他
https://movies.shochiku.co.jp/shylock-movie/
※2/17(金)より全国公開