大ヒット公開中の『すずめの戸締まり』から新海誠監督、原菜乃華、松村北斗がT・ジョイ博多の舞台挨拶に登場!

  • 福岡

国境や世代の垣根を超え、世界中を魅了し続けるアニメーション監督・新海誠の最新作『すずめの戸締まり』が大ヒット公開中。そんな中、新海監督、主人公・すずめの声を務めた原菜乃華、さらに草太役の松村北斗の3人がT・ジョイ博多の舞台挨拶に登壇し、オーディションのエピソードや会場からの質問、さらにはアフレコ実演まで披露し、観客を大いに沸かせてくれた。

 

……お三方は、久々の福岡ですか?

新海「僕は6年前の『君の名は。』、そして3年前の『天気の子』でお邪魔しました。3年ぶりとなりますが、その間、コロナがあったりして皆さんも大変だったと思いますが、お元気そうな顔にお会いすることができて嬉しいです」

「私は初めてです…おそらく(笑)。今夜はお鍋をいただきたいと思っています」

松村「僕はたぶん今年も来ていると思うんですよね。ライブのツアーで来たはずなんですが…(笑)。福岡は毎回ツアーで来させてもらっていて、いつもケータリングが美味しい印象です」

 

……岩戸鈴芽役の原さん、宗像草太役の松村さんはオーディションで選ばれた時はいかがでしたか?

「私はサプライズ合格発表という形で最終オーディションだと思って行ったら、新海監督から「すずめ役で」と言っていただいたので頭が真っ白になってしまって。嬉しい気持ちももちろんありましたが、それ以上にプレッシャーや重圧も大きくて魂が抜けそうだったので、自分を取り戻すために大好物の餃子を食べに行った思い出があります。でもその時に限ってはまったく味がしませんでした(笑)」

新海「その発表の時に北斗君も来てくれましたよね」

松村「そうですね。サプライズ発表の直後でしたが、涙を流したんだろうなと察知できるくらいの表情だった記憶があります。すずめって起こることに対して覚悟を持って瞬発力で乗り越えていくタイプなのですが、最初の顔合わせの段階で計算されていたかのようにリンクしている印象でした」

新海「北斗君はその顔合わせの段階では決まっていましたが、最初にオーディションの合格を告げられた時はいかがでした?」

松村「僕はオーディションを受けた後、結果を知らされるまで地獄のような日々でしたね。自分に自信はない、でもVコンテを観させていただいて、ありえないくらい面白い!この作品が世に出ると思うだけでワクワクして演じたい!という思いと、自分なんかではできない…でもオーディションでは新海さんが褒めてくださるから、もしかして…という気持ちもあり、心が行ったり来たりし過ぎて毎日浮き沈みが激しかったです」

新海「それは大変な思いをさせましたね。おふたりとも声優未経験ということもありましたが、初めてのふたりが欲しかったというよりは、こんな風に「自分で大丈夫だろうか」と不安を抱えながらも、まっすぐ役に向き合ってくれる方が欲しくて。その不安ごと欲しかったんです。この作品のふたりは最初どこか不安な状態から始まるんです。だからおふたりが自問自答を繰り返しながら2ヶ月間アフレコしていく中で、少しずつその不安がなくなっていく。それが、このすずめの冒険の行程にそのまま重なって観客に伝わるんじゃないかと思っていたので、まるまるふたりの不安も含めておふたりに出会えて本当に良かったです。ではせっかくなので、皆さんのまでそのアフレコを実演してみましょうか?アフレコをやっている役者の顔を正面から見ることは僕らでもないので、皆さんラッキーだと思いますよ」

(会場から拍手)

(その後観客の質問コーナーに)

……一つひとつのセリフに心から感動しました。キャストのおふたりにおうかがいしたのですが、演じる上でキャラクターに憑依するのか、または憑依されるのか、どちらの感覚ですか?

松村「実写だとそのキャラクターのことを考えることが多かったですが、アニメーションの場合、情報的に積み上げてそれを自分の感情に落とし込んでセリフを言うことが多かった気がします。だから憑依というより構築していくイメージが強かったです」

「私もそうですし、自分の中の経験や似たような感情を出して、すずめになるというよりは、自分というものはありながら、すずめに寄せていったという感覚が近いです」

新海「アニメーションは画も含めて細かく組み立てていくんです。例えばある風景を描いた時に、そこに電線があるのか、ないのかも考えて決めていくんです。セリフも同じで、ふたりにたくさんのテイクを録らせてもらいましたが、その中でこことここの組み合わせだとセリフがまっすぐに伝わるんじゃないかとかをやっていったので、構築していく感じでした。それともうひとつ、オーディションでおふたりを選んだ理由は、声ってその人の姿形と心がそのまま出ていると思うんです。嘘が付けないのが声質なので、北斗君は草太に、菜乃華さんはすずめに、それぞれ似ているように見えたので、このふたりに出会った時点で憑依する、されるというよりは、このふたりがそのまま声を吹き込んであとは構築していけば草太とすずめになると思っていました」

 

……それでは最後に監督からメッセージをお願いします。

新海「この映画は、RADWIMPSの野田洋次郎さんに書き下ろしていただいた「カナタハルカ」にある「僕にはない 僕にないものでできてる 君がこの僕を形作ってる」という歌詞そのままの映画だと思っています。素晴らしいキャストやスタッフにもらった作品ですし、あるいは観客の皆さんに作らせてもらった映画のような気がするんです。『君の名は。』、『天気の子』を作った後、こんな映画を次は観たい!というたくさんの声が、僕を『すずめの戸締まり』まで導いていただいたような気がします。ですので、気に入っていただけたら私も作ることをちょっと手伝ったんだよという気持ちでこの作品に寄り添って頂けたら嬉しいです」

松村「この『すずめの戸締まり』はこれから日本全国、そして世界へと旅立ちます。皆さんには、その旅を温かく見守っていただけたらと思います。では最後に…」

松村「(草太)行こう、すずめさん!」

「(すずめ)行ってくるけん!」

 

©2022「すずめの戸締まり」製作委員会

©2022「すずめの戸締まり」製作委員会

STORY

九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。

扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。

「すずめ すき」「おまえは じゃま」

ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!

それはすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子。逃げるダイジンを捕まえようと3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかける。

やがて、日本各地で次々に開き始める扉。不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。

『すずめの戸締まり』

原作・脚本・監督:新海誠
声の出演: 原菜乃華 松村北斗
     深津絵里 染谷将太 伊藤沙莉 花瀬琴音 花澤香菜 神木隆之介
     松本白鸚
※公開中