映画『線は、僕を描く』主演の横浜流星が福岡の舞台挨拶に登場!

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現在大ヒット上映中の映画『線は、僕を描く』。水墨画の世界を舞台とした青春芸術小説を実写映画化し、あの『ちはやふる』以来の青春映画の金字塔を狙う意欲作だ。その公開を記念して福岡のT・ジョイ博多で舞台挨拶が行われ、主演の横浜流星、監督の小泉徳宏、そしてゲストとして原作者の砥上裕將も登壇。質問はMCから、そして今回は特別に来場した客席からの質問も受け付けられ大いに盛り上がりをみせた。


……原作者として本作をご覧になられていかがでしたか?
砥上「恐らくこの世の中で私が一番、偏見と既成概念に満ちた人間だと思いますが、本当に言葉にならないくらい素晴らしいなと思いました。もう観れば(その良さが)わかるという感じ、一瞬でした」。
横浜「生みの親の砥上さんからそう言っていただいて…嬉しいですよね、監督?」
小泉「そうですね、頭からすごいヒリヒリする感じで(笑)。でも“観ればわかる”ってすごく名ゼリフですよね」

……最初に映画化の話がきた時、砥上さんはどのように受け止められましたか?
砥上「監督を目の前にして言いづらいのですが、本当にやるの?って思いました(笑)。いくつもの障壁があって、それが容易に想像できて。水墨画の技術的な問題もいっぱいあるので、どうやって撮影をやるんだろうと。これを撮る人は大したもんだなぁという感じがしましたね」

……でも監督、形にしましたね。
小泉「最初、砥上さんにお会いした時、水墨画の手ほどきをしていただいて。映画の中で横浜さんと清原さんが手をとって一緒に筆を持つシーンがあるのですが、実はあんなことを砥上さんにもやっていただいて。あのシーンはそこから生まれました」
砥上「(横浜さんは)しっかりした手をお持ちで、指先の力が先まで伝わっていて素晴らしい筆捌きでした」

……(観客より)撮影で大変だったことはありますか?
横浜「やはり水墨画のシーンですね。霜介の部屋で一心不乱に描いているシーンは、集中力を使い過ぎて、意識が遠のくほどでした。それくらいひたすら描いていました。でも編集の力もあってすごく素敵なシーンにしていただいたので感謝しています」
小泉「横浜さんがおっしゃっているのは最後の畳み掛けるシーンだと思いますが、そのニュアンスを現場に伝えるのが難しくて。でも周りを安心させるために大丈夫、大丈夫と言いながら撮り続けて、それがけっこう大変でした(笑)」

……(観客より)映画を観る前は、水墨画は大人しいものという印象がありましたが、筆使いの映像や音楽に迫力があってすごく感動しました。この作品は日本人だけじゃなく日本に興味がある海外の方にも観ていただける作品だと感じましたが、どこの国の方に観ていただきたいですか?
横浜「水墨画の発祥は中国と伺いましたので、まずは中国の方々もそうですし、先日パリに行くことがあって映画館の支配人とも話す機会がありましたので、この作品を上映してくれたら嬉しいなと思います。この作品が国境を超えて色々な国に広まることを願っています」
小泉「映画の中でもフランスの大臣が登場しますが、わりと水墨画に興味があるお国柄らしくて。今回、水墨画の監修で入っていただいた小林東雲先生は、海外でも水墨画を披露されているのですが、東雲先生にどの国が良いですか?と尋ねた時、フランスが一番適当だと思います、とおっしゃられていました。やはりさすが芸術の国だと。もしフランスで上映される機会があれば、たくさんの方に興味を持っていただけると思いますし、フランスに限らずアジア全域の方々に観ていただけたら嬉しいです」
砥上「私は国ではないのですが、青春と水墨画というものが、これまで小説を書く中で全く結び付かなかったんです。ですからありきたりな言い方ですが、青春を一生懸命に生きようとする皆さんに観ていただきたいと願っています」

……墨の香りや、紙の上を走る筆の音、そして西濱さんの料理もそうですが、五感を刺激される映画でした。私は湖山先生が霜介に言った「水墨画は、君の生きる力になるよ」というセリフが好きで印象に残っていますが、横浜さんにとって生きる力、活力はありますか?
横浜「僕がこうやっていられるのは、周りで支えてくださっている方々や応援してくれる皆さんの力のおかげだと思って日々過ごしています。そのおかげでどんなにつらく、厳しい状況でも救われて最後までやり切れているので本当に感謝しています」


STORY
大学生の青山霜介はアルバイト先の絵画展設営現場で運命の出会いを果たす。白と黒だけで表現された【水墨画】が霜介の前に色鮮やかに拡がる。深い悲しみに包まれていた霜介の世界が、変わる。巨匠・篠田湖山に声をかけられ【水墨画】を学び始める霜介。【水墨画】は筆先から生み出す「線」のみで描かれる芸術。描くのは「命」。霜介は初めての【水墨画】に戸惑いながらもその世界に魅了されていく――。水墨画との出会いで、止まっていた時間が動き出す。

Ⓒ砥上裕將/講談社 Ⓒ2022映画「線は、僕を描く」製作委員会

Ⓒ砥上裕將/講談社 Ⓒ2022映画「線は、僕を描く」製作委員会

『線は、僕を描く』

(上映時間:106分)
原作:砥上裕將『線は、僕を描く』(講談社文庫)
監督:小泉徳宏
出演:横浜流星、清原果耶、細田佳央太、河合優実、矢島健一、夙川アトム、井上想良/富田靖子、江口洋介/三浦友和
主題歌:「くびったけ」yama produced by Vaundy