MOVIE
映画『軍艦少年』主演の福岡出身・佐藤寛太が本作への思いを語る
- 福岡
「ギャングキング」「セブン☆スター」などで知られるヤンキー漫画界のカリスマ・柳内大樹の熱き青春漫画「軍艦少年」が遂に実写映画化。気は荒いが男気に溢れる主人公・坂本海星役を演じたのは、『HiGH&LOW THE MOVIE』、『いのちスケッチ』などに出演し、劇団EXILEのメンバーとして注目を集める佐藤寛太。共演には加藤雅也、山口まゆ、濱田龍臣、赤井英和、清水美沙、大塚寧々など、フレッシュな若手俳優とベテランの実力派俳優が脇を固める。舞台となる軍艦島では、世界文化遺産登録後初となる映画撮影を敢行。心の拠所とは、魂の救済とは、自身の幸福とは何か。大切な家族を失った親子が生きる意味を見出していく、喪失と再生を描く珠玉の物語がついに動き出す。12月10日の公開を目前に控え主演の佐藤寛太が来福。福岡出身であり長崎にもルーツを持つ彼が、本作を通して得たものとは――。
……実際に原作を読まれてみて、どんな思いを持たれましたか?
「柳内先生の作品は「セブン☆スター」や「ギャングキング」も学生時代に読んでいたし、ワルなんだけど真っ直ぐで自分の心に正直な男たちの物語を描かれている印象だったので、そんなかっこよさを持つ主人公を自分が演じられることが嬉しかったです。今回はオファーを先にいただいたのですが、漫画を実写化した時、僕だったらどんな芝居にするかをイメージしながら意気込んで原作を読んでいたような気がします」
……監督と役について話し合ったことは何かありますか?
「脚本が漫画らしさを残しつつもリアルとして感情移入できるものになっていたので特別何かを相談することや言うことはなかったです。漫画の原作は漫画らしいSF的な魅力もあるし、それをそのまま実写でやることも面白いけど、今回はリアルな人間を描くような脚本にシフトチェンジしてあったので、それを意識して臨みました」
……母の死を機に父と反目しながらも、父への思いが見え隠れする演技が素晴らしかったです。
「普段でも例えば口論になったととしてもやっぱり親だから尊敬はしているし、親だからこそちゃんとしてほしいという思いがあるんじゃないかと。でもそれを意識して表現しようと過度なお芝居を考えていたわけではないので、そんな風に言ってもらえて率直に嬉しいです」
……心の変化がとても絶妙でした。今回は順撮りだったのですか?
「わりと順撮りに近い形でした。髪の毛を染めたり切ったりしているので、そのシチュエーションごとの撮影だったのでやりやすかったし、気持ちの変化も出しやすかったと思います」
……共演した山口まゆさん、濱田龍臣さんの印象はいかがでしたか?
「龍臣は子役時代から経験もあって僕の方が見ている側だったし、まゆちゃんも芯があって自分が思ったことを表現できる俳優さんなので、ふたりとも尊敬していたし、共演して楽しかったです」
アクションシーンもリアリティがあり、惹き込まれました。
「実は「HiGH&LOW」でお世話になったスタッフさんと一緒にアクションを作っていったんですけど、「HiGH&LOW」の場合、アクションがひとつのエンタメであり最大限の魅力でした。一方で今回はもちろんアクションはひとつの見どころではあるけど、元々ヤンキーでもない青年が抱えるやるせなさみたいな心情をどう表現するか。喧嘩はするけどそれによって何かが晴れていくわけではないリアルで痛々しい部分を表現できるように演じました」
……実際に軍艦島に立たれてみての感想はいかがでしたか?
「軍艦島に近づくに連れ、意外にでかいなって思いました。それから上陸してみると一気に静かになって。島の声に耳を傾けるじゃないけど、明らかに人が作った場所なのに、そこには誰もいないという静けさからくる感動みたいなものがありました。厳かな雰囲気というか。それに今回は普段は入れないようなところにまで立ち入って、原作通りのロケーションで撮影することができたので、非現実的な空間で原作の地に立った時の高揚感と感動は今でも覚えています」
……大切な人を失った喪失と再生を描いた本作を通じてご自身の気付きになったことは?
「撮影の時も、もし自分の身の回りの人が亡くなったことを考えていたけど、一緒に出かけたり、ご飯を食べたりそんなありふれた日常を大切にしていかなきゃいけないなと改めて気付きました。その人の生活の中に自分がいること。そうやって寄り添い合っている時間が一緒に人生を歩むということなのかなと思えたし、「一人じゃないよ」ってことを言葉だけじゃなく、一緒にいる時間でお互いに感じ合えたら良いですよね。だから自分の手が届く範囲の人をどうやって助けられるか、自分が大事な人を失ったらどうやって乗り越えていけるか。人生においては避けられないことなので、そういうことをこの作品から学べたことは宝になりました」
……主演としてこの作品を通じて感じられたことは?
「ひとつの同じ目標に向かっていく仕事って意外と少ないんです。でも今回の現場はひとつのカット、ひとつのシーンをスタッフ、キャストが一緒になって作り上げてこられたことは僕にとってすごく良い経験になりました。仕事って言葉がすごく良い響きに感じる素晴らしい現場でした」

Ⓒ2021『軍艦少年』製作委員会
STORY
長崎・軍艦島の見える街で暮らす、親子の喪失と再生を描く魂の物語
長崎・軍艦島の見える街で暮らす、地元の高校に通う海星(佐藤寛太)と小さなラーメン屋を営む父・玄海(加藤雅也)。最愛の母(大塚寧々)を亡くして喧嘩に明け暮れる息子と幼馴染の妻を亡くして酒に溺れる父は互いに反目し、いがみ合っていた。そんなある日、海星は父と母が生まれた軍艦島にふたりの大切な物がある事を知る。一方、玄海は妻が祀られた仏壇に一通の知らない手紙がある事に気付くが…。
『軍艦少年』2021年/日/104分
出演:佐藤寛太 加藤雅也 / 山口まゆ 濱田龍臣 / 柾木玲弥 一ノ瀬ワタル 花沢将人 髙橋里恩 武田一馬 / 赤井英和 清水美沙 / 大塚寧々
監督:Yuki Saito
脚本:眞武泰徳
劇中画:柳内大樹
原作:柳内大樹『軍艦少年』(講談社「ヤンマガKC」刊)
主題歌:卓真「軍艦少年」(UNIVERSAL MUSIC)
制作プロダクション:エノン
製作:『軍艦少年』製作委員会
配給:ハピネットファントム・スタジオ
※12/10(金)より全国公開(PG12)
https://happinet-phantom.com/gunkanshonen
https://twitter.com/gunkanshonen
https://www.instagram.com/gunkanshonen
ヘアメイク:KOHEY
スタイリスト:平松正啓(Y’s C)