「公園内にあることの恩恵は素晴らしい」11月1日(火)オープンのジブリパーク メディア向け内覧会で宮崎吾朗監督と大村秀章知事が会見

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11月1日(火)、愛知県長久手市の「愛・地球博記念公園」内にいよいよオープンするジブリパーク。開園に先駆け、10月12日(水)・13日(木)にメディア向け内覧会が開催され、「ジブリパーク」の制作現場を指揮するスタジオジブリ・宮崎吾朗監督と事業主の愛知県・大村秀章知事が会見に登壇した。

大村知事からのご挨拶

今日からいよいよジブリパークの本格的な内覧会が始まります。ジブリパークは、2005年に愛知万博を行った愛・地球博記念公園内にオープンします。愛知万博とスタジオジブリさんには、「人・いきもの・地球に対する愛」という共通の理念があり、見事にシンクロしています。そこで一緒に未来に向けてメッセージを発信していこうと、この構想がスタートしました。2017年の5月に合意を発表し、そこから5年5ヶ月という日本でも最速ではないかと思える短期間でオープンまでたどり着いたことを、とても嬉しく思っています。それもこれも、スタジオジブリのコンテンツがぎゅっと詰まったジブリパークを1日でも早く皆様にお届けしたい、お見せしたいという思いからのことです。

ジブリパークはスタジオジブリさんのテーマパークでありながら、愛知県の公共公園施設でもある。このようなハイブリットな施設は日本で初めてではないでしょうか。日本中の皆さんはもちろん、世界中の皆さんにもぜひお越しいただきたいです。

今回オープンする「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」という3エリアに加え「もののけのエリア」「魔女の谷エリア」も2エリアで建設中です。これからもどんどん発展・進化していく予定です。

日本を代表する、そして現代日本が産んだ文化の最高峰であるスタジオジブリさんのコンテンツをギューっと濃縮して詰め込んだジブリパーク。11月1日から、多くの皆さんに楽しんでいただけることを心からお願いを申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。

宮崎吾朗監督からのご挨拶

我々が知事から最初のお話をいただいてから、5年以上の月日が経ちました。 5年経ち、今ここに立たせていただいていることをとても嬉しく思います。 最初に「どのくらいかかりますか」と大村知事に聞かれたときに「5年くらい」と答えたのですが、その約束を守ることができました。

このジブリパークを作ろうと思ったひとつのきっかけが、宮崎駿監督の長編作品からの引退発言でした。スタジオジブリはもう長編映画を作らないという状況中で、ジブリ作品をどう後世に残していこうかと考えていたときに、ジブリパークのお話をいただいて。ジブリ作品のいろいろな魅力を詰め込んだパークを作ることで、多くに人に忘れられないようにしたいという思いが当時の私にはありました。
ところが、宮崎駿は今長編映画を作っておりまして…(笑)。
梯子を外されたような感じはありますが…(笑)。
1期工事が終わりホッとしたのも束の間、2期工事がすでに架橋に入っています。2期工事も無事にスケジュール通りオープンできるように、そして多くの方に楽しんでいただけるように引き続き頑張っていきたいと思います。

質疑応答


建築資材などで拘られたところがあれば教えてください。

宮崎監督 愛知県という場所で公共工事として行うので、愛知県産の木材だったり、特産品の焼き物で作った瓦やタイルだったり、可能なものは地場のものを使うということを心がけてきました。 この「ジブリの大倉庫」の中央階段にはたくさんのタイルが使われているのですが、そのタイルも、地元の瀬戸や常滑のタイル屋さんと一緒に作ったものです。愛知の魅力が詰まった建物になっていると思います。

エリアを拡大していく計画と伺いましたが、パークへの今後の期待や持続可能性などについてどのようにお考えかお聞かせください。

宮崎監督 まずは、作ったものをきちんと維持していくということだと思います。我々が最初に関わったのは、愛知万博のパビリオンとして建てた「サツキとメイの家」。このジブリパークのお話が始まったのも、その「サツキとメイの家」がきちんと残っていたからだと思うのです。あんな小さな家ですが、毎年かなりの方が訪れてくださって、それが今回のジブリパークにつながっているのだと思います。 あまり拡大主義に走らずに、今あるものを良い状態で維持していくことを大切にしたいです。 そしてこれから先に関しましては、大村知事や、愛知県のみなさんから、ご要望をいただけたら…、3期も4期もと続いていくのかなと思います。

今後の計画、愛知県の観光地としての期待などを聞かせて下さい。

大村知事 ようやく5年でオープンに漕ぎ着けることができました。まずはそれを嬉しく思います。そして同じ規模の第2期の工事がすでに始まっているので、ここもしっかり完成させるということに力を注ぎたいです。先々のことですが、スタジオジブリさんのコンテンツは膨大ですし、これからも新しい映画が産まれていきますので、さらに進化・発展していけたらいいなと、そうあるべきではないかなと思います。そのためにも、まずはスタートするものをきちんと維持・運営していかなくてはいけないと思っています。 愛知県内外、そして世界中の皆さんから多くの反響をいただいています。 ぜひ世界中のみなさんに、ここ愛知県でジブリの世界、ジブリの作品を楽しんでいただけるように、作り育て上げていきたいです。

三鷹の森の美術館とジブリパークとの連携など何かお考えがありますでしょうか。また、愛知県にできたということで、関東圏などからのアクセスについて、立地も含めてどのように魅力を伝えて遠方の方の来場に繋げようと考えていらっしゃるのかをお聞かせください。

宮崎監督 ジブリ美術館というのは僕らにとってはひとつの本山として大切な場所です。この美術館は、ジブリ作品を扱っているというよりも、“アニメーション映画を作るというのはこういうことだ”というのを宮崎駿が表現している空間だと思います。ジブリ美術館発で行う展示もたくさんありますので、それをより拡大や拡張した形で、ジブリパークに持ち込むというような連携が取れていくといいなと思っています。 それでいうと、この「ジブリの大倉庫」を作ったきっかけというのが、スタジオジブリの様々な展覧会で、いろんなものを創ってそれが溜まっている、ジブリ美術館で何か展示会をするたびに造形物を創ってしまいそれが溜まって困っている…というのが原点なんですね(笑)。 なので今後もジブリ美術館で新たな造形物が作られ、それがここジブリパークに持ち込まれるという連携がなされると思います。 立地についてですが、仕事も含めてしょっちゅう東京愛知を往復していると、日帰りでも十分行き来できる距離で、実はとても近いと思う。大村知事のご協力もいただいて、そのあたりをしっかりアピールしていけたらと思います。泊まる場所もたくさんあるといいですね!

ジブリの作品では自然と環境が大きな要素となっていますが、この公園と映画、そして自然との関係性についてはどのようにお考えですか?

宮崎監督 まず、愛・地球博記念公園内に作るにあたり、ジブリパークがすでにある公園の機能をどかしてしまったり、やたらと木を切ったり地形を変えてはいけないと考えました。そこで、なるべく影響が少なくすむ場所を選び、どうしても木を切らなければならない場合は別の場所に移植するなどしています。建物は建物としてあるだけで美しいのではなく、横に木が一本でもあることで初めて風景になると、宮崎駿は常々言っており、私もそう思っています。今回、改めて周りに木々があることで建物が引き立って見える、まるで昔からそこのあったように見えるという、公園内にあることの恩恵は素晴らしいと感じました。ですので、我々が自然や環境に気を使ったのではなく、助けてもらったというのが正確だと思います。



ジブリパーク

第1期開園日 :2022年11月1日
所在地 :愛知県長久手市茨ケ廻間乙1533-1 愛・地球博記念公園内

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