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『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』舞台挨拶in名古屋

  • 名古屋

待つことの大切さを伝えたい
ルビッチが再びプペル出会うまでの物語

 ⽇本アカデミー賞受賞、国内動員196万人の大ヒットを記録したオリジナルアニメーション『映画 えんとつ町のプペル』。大人も泣ける大ヒット冒険ファンタジーシリーズ最新作の『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』が公開中だ。

公開に先駆け名古屋で行われた舞台挨拶に、製作総指揮・原作・脚本を担当した西野亮廣と、主人公ルビッチ役に扮した永瀬ゆずなが登壇した。

西野 どうでしたか?ルビッチ役をやってみて。

永瀬 声優はほぼ初挑戦でした。映像のお芝居は表情や仕草で気持ちを表現できますが、声だけで表現するのはとても難しかったので、家で自分の声を録音して、たくさん練習してから挑みました。あと、マイクに声を拾ってもらうために体を動かしてはいけないのですが、ルビッチが映像の中で見回すシーンは私も横を向いてしまって、声が撮れていないこともありました(笑)。

西野 本人は横を向いてと言っていますが、実際はそれどころじゃなくて、完全に後ろを向いていました。でも僕はそれがいいなと思ったんですよ。ルビッチが今回千年砦というところに迷い込むわけですが、やっぱり永瀬ゆずな本人がそこに行かないとお客さんを惹きつけることはできないので、ゆずなちゃんにはルビッチになりきってもらいたいなと思っていたら、後半は本当に…、マイクガン無視やもんね(笑)。

永瀬 本当に千年砦に行ったみたいになっちゃいました。

西野 もはや記憶がごっちゃになってるんですよ。それが面白いですよね。10年くらい前の記憶って、結構捏造しちゃってるじゃないですか。盛って喋っているうちに記憶が曖昧になっちゃうことってあると思うんです。でもゆずなちゃんがそれくらい役に入り込んでくれたのは作り手としてとてもありがたいなと思います。お気に入りのシーンはありますか?

永瀬 いっぱいあるんですけど、モフとルビッチが宿の二段ベッドの上を取り合ってジャンケンをするシーンですね。モフがグー・チョキ・パーどれを出しているのかわからないっていう。

西野 モフ本人はわかってるんですけどね。人間には猫が何を出したかはわからないっていう。僕もあのシーンは結構好きです。今回、全体を通して旅をしてほしいなと思ったんです。みなさんに観終わった後にまるで千年砦に行ってきたみたいな感覚が残るといいなと。スクリーンの中で起きていることを観ているというより、実際この世界の中に行ってきたような状況を作るためにはどうすればいいのか考えました。だからお前それストーリーに絶対いらないんじゃないかっていうシーンがいくつか入れています。例えばモフとルビッチが宿に入ったときにルビッチが「暗くない?」と言うのは海外の宿あるあるです。その後にモフが冷蔵庫を開いて「これタダかしら?」というシーンも絶対いらないんですよ。でも旅のとき、みなさんそういう経験をした心当たりありますよね。そういう体験と重ね合わせていただけると思います。

西野 『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』にはベースとなるお話がありますので、これは今日ちゃんと喋っておかないとなと思っています。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、僕はキングコングというコンビでキャリアのスタートを切りました。運に恵まれて、世に出させていただいたのが結構早かったんです。最初は実力がないまま出てしまっているので、行く先々でさほど結果が出せませんでした。そんな中、梶原さんが精神的に病んでしまって、失踪しちゃったんです。3日後ようやく見つかったときには会話もままならない状況で。吉本のほうからキングコングの無期限活動休止が発表されて、キングコングの時計の針は止まってしまいました。数ヶ月経っても、梶原さんの病状は回復せず、改めて吉本から「西野ひとりでいくか?」という提案がありました。でもここで僕がひとりでスタートを切って、万が一上手くいってしまうと梶原さんが戻って来る場所がなくなってしまうかもしれないのが嫌だったんです。ふたりで漫才をするのも話しているのも楽しかったので、待つという選択をしました。自分の人生を振り返っても、あれほど覚悟を振り絞った瞬間はありません。そんな個人的な経験からスタートした物語ですが、これって僕だけの話ではないと思います。例えば子育てをしている親御さんたちは、子どもたちが失敗するなと思うとき、「やめておきな」といいたくなる気持ちをグッと堪えて、失敗させてからフォローすることで成長させることがあります。お父さんお母さんも子どもの成長を信じて待つということをされています。会社などのチームでも同じです。若手スタッフも成長速度はそれぞれ違います。成長速度が遅い子を切り捨ててしまうとチームとして成り立たない。待ってあげないと成長はないんです。そう考えるとこのテーマはキングコングだけの話ではなく、全員にとって大切なことだと思います。ゆずなちゃんはまだ10歳ですが、待つという経験はありましたか?

永瀬 あります!約束した友だちを公園で待ちました。

西野 ちっちゃい話やな!でも子どもが待つって大変なことですよ。5時間とか6時間とか待ったんでしょ?

永瀬 10分待ちました。

西野 すぐ来たな!でもひとりで待ってたわけでしょ?

永瀬 四人いました。

西野 結構いるな!待ってるほうが盛り上がってるな!でもそれは1月とか寒空の下だったんでしょ?

永瀬 10月です。

西野 待ちやすい時期やな!すみません、これ仕上がっています。各地プロモーションしてきて、名古屋が最後なので鉄板ネタを見せてしまいました(笑)。今回は遠くへ行ってしまった友だちと再び会うまでの物語ということで、ルビッチに新しい仲間ができました。それがモフです。

永瀬 モフはルビッチのお姉さんみたいなツッコミ役です。ルビッチの面倒をみてくれるときもあれば、一緒になってふざけていることもあって独特な子です。

西野 本作は結構アドリブが多くて。ゆずなちゃんがアフレコまでに役を作り込んできてくれたんです。初日から順調に進んだので、こっちも下心が出てきて「何かアクションがほしい」とその場で作って行ったんです。

永瀬 「遠吠えをして」とか(笑)。

西野 ルビッチは犬と全然関係ないんですけどね(笑)。カメラがキャラクターに寄っているときは口の動きがわかるので、それにあわせてセリフを言わなければいけないですが、引いているときはいろいろ試そうと。この後ご覧いただきますが、アクションのときとかは…、あれ?このあとご覧いただくんですよね?

永瀬 もう上映後です。

西野 え!?この後じゃないの?だったらずっとネタバレとか気にしてたけど、大丈夫だ。森に入って行くシーンなんかは脚本には全くセリフがなくて、「適当にお願いします」って。ルビッチの声を先に撮って、それにあわせてモフ役のMEGUMIちゃんがどんどんアドリブで入れてくれました。アドリブにアドリブで返すという応酬になっています。そこが作っていて楽しかったところですね。いよいよお時間なので、ゆずなちゃんから今日集まってくださった皆さんにメッセージをお願いします。

永瀬 ルビッチは最初はプペルとの再会を諦めそうになっていましたが、最後まで走り抜くかっこいい子です。モフを始め、千年砦の仲間たちルビッチを支え、応援してくれました。映画を観てくださった皆さんにも、ルビッチのことを応援してくだされば嬉しいです。

西野 今日はお忙しいなかお集まりいただきありがとうございました。映画は面白かったですか?「待つということは何もしないのではなく、相手のことを信じぬくこと」なんだと気づくまでの物語です。コスパ・タイパですぐに答えを求めてしまう現代の僕たちは待つことが苦手になってきているような気がします。でも待つことができないとチームとして動けないし、手放してはいけないことだということが伝ればと、このお話を作りました。待つのが苦手な人、待っている人、待たせている人、相手の人を信じることが難しくなりかけている人、信じぬきたい人にこの映画が届けばと思っています。2020年の12月に前作が公開になりました。その時はコロナ禍で不要不急の外出禁止、映画館も席を間引いていました。試写会や舞台挨拶もできず、せっかく仲間とともに作った作品なのに「映画館に来てください」と言えなかったんです。なので、今回はこのような機会をいただけて本当に感謝しています。映画が公開したら、また映画館に来ていただけると嬉しいです。

『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』

https://poupelle.com

2026年/98分/日本

製作総指揮・原作・脚本 西野亮廣
出演 永瀬ゆずな 窪田正孝 / MEGUMI
小芝風花 吉原光夫 土屋アンナ 山寺宏一
藤森慎吾 伊藤沙莉 / 東野幸治 錦鯉 / 森久保祥太郎
配給 東宝 CHIMNEY TOWN

全国東宝系にて公開中

©西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会