FLYING POSTMAN PRESS

木村拓哉が“OSAKAタクシー”運転手に

  • 関西

今を生きているからこそ起こりうる
間違いをどう受け止めて前に進むか

 昭和から平成、令和と、日本に生きる人々を長年描き続けてきた山田洋次監督の91本目となる最新作『TOKYOタクシー』が、11月21日(金)より公開となる。舞台は、刻々と変化する大都市「東京」。2022年製作のフランス映画『パリタクシー』を原作に、人生の喜びを謳い上げる感動の物語だ。いよいよ公開を間近に控え、大阪ステーションシネマにて実施された舞台挨拶に、主演の倍賞千恵子、木村拓哉、本作のメガホンをとった山田洋次監督らが登壇。11月13日が誕生日の木村にサプライズでお祝いを実施。本作にかける想いや撮影現場でのエピソードなどを語り、大盛り上がりのイベントとなった。


 

──まずはご挨拶をお願いします。

倍賞 こんなにたくさんの方に映画を観ていただいて、出てくるのがとても恥ずかしいような気がして、舞台袖でモタモタしておりました(笑)。今日はたくさんの方々にお越しいただき大変嬉しく思っております。

木村 今日は500名以上の方にお集まりいただいたと先ほどスタッフから伺ったのですが、たくさんの方に観ていただけたこと、本当にありがたく思います。

山田監督 この映画は今年の早春にクランクインしまして、終わったころにはものすごい暑い夏になって、夏が過ぎてようやく封切りを迎えられます。映画が成功してくれるといいなと心から願っております。今日は本当にどうもありがとう。

──大阪での思い出やお気に入りの場所をお聞かせください。

倍賞 今日たこ焼きをいただいたのですが、とても美味しかったです。私は昭和36年に『斑女』という映画でデビューしたのですが、大阪から家出してきたきゃぴきゃぴの女の子を演じたんです。ポスター撮影の時に大阪城で撮影したのですが、私にとって大阪城は映画界に入るきっかけになった場所のイメージが強いです。今回(大阪城に)伺えたらいいなと思うのですが、行ける時間があるかどうか…。ちなみに、この『TOKYOタクシー』が178本目の映画出演作です。

木村 山田監督の撮影数だったり、倍賞さんの出演本数はホームランの数じゃないですからね(笑)? 素晴らしいですよね。僕は幼少期に箕面に住んでいたこともあるので、皆さんの交わす大阪弁を耳にしていてもスムーズに入ってくるんですよ。大阪城ホールはグループにいた時も個人としてもお邪魔して皆さんと騒がせてもらったんですが、大阪は非常に盛り上がってくれます。その代わり、MCに関してはもの凄く厳しいです(笑)。大阪の皆さんは本作と同じように、あたたかさも厳しさもあって人間味が豊かですよね。

山田監督 僕、一応、大阪出身なんです。なんで一応かと言うと、満州の小学校に入った時に、先生に「雪(↓)が降ってきた」と言ったら「違うよ雪(↑)だよ」と返されたのですが、母親に「あなたは大阪出身だから関西のイントネーションが身についているのよ」と言われたんです。なので僕は大威張りで大阪出身ですと申し上げております(笑)

 そして舞台挨拶が終盤に差し掛かった頃、11月13日に誕生日を迎えた木村へサプライズでお祝い。登場した特大のバースデーケーキは、劇中で木村演じる宇佐美浩二が運転するタクシーを完全再現したデザインだ。さらに、倍賞からのサプライズでバースデーソング生歌唱というサプライズプレゼントも。歌う前に倍賞が突如“HAPPY BIRTH DAY”と書かれたカチューシャを頭に着けると、それを見た木村が嬉しそうに大爆笑。倍賞のチャーミングさに会場からも「かわいいー!」と歓声が湧いた。倍賞は観客と一緒に最後のフレーズを歌い上げ、木村の誕生日を祝福。サプライズ歌唱とケーキのプレゼントに感極まった木村は倍賞と熱いハグを交わした。その場にいる全員が幸せに満ちた表情で、観客からも大きなあたたかい拍手が贈られた。

 その後、会場を通天閣へ移し、タクシーセレモニーが開催された。大阪の観光名所である通天閣の麓から木村が劇中で使用したタクシーの助手席に倍賞を乗せ、沿道を埋め尽くした大勢のファンからの熱い大歓声を浴びながら、ステージまで走行。まるで劇中のシーンが再現されたかのような登場に、会場のボルテージは最高潮に。本作のイメージカラーであるピンクカーペットに到着すると、木村が倍賞をエスコートしながらステージへ。続けて山田監督も登壇し、会場は盛大な歓声と拍手に包まれた。

倍賞 木村さんは本当に運転が上手なんです。(始まる前に)ドキドキしていると話したら「大丈夫です。任せてください」と言ってくれました。

木村 こんなに沢山の方がいらっしゃるなんてとてもありがたいです。たくさんのバースデーメッセージを登壇前に皆さんからいただけたのが凄く嬉しかったです。

山田監督 今夜は一際通天閣がかっこよく、綺麗に見えますね。この映画のタイトルは『TOKYOタクシー』だけれど、今日は『OSAKAタクシー』にしなきゃいけないんじゃないかなと思っております。

──最後に、会場の皆さんやこれから映画を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

倍賞 この映画を観ていただいた方がどんな風に受け止めていただけるのかはそれぞれ違うと思います。ただ、本当に素晴らしいスタッフの皆さんたちに恵まれて一生懸命作りました。皆さんがこの映画を観て、何か心に思う事があったり、もう一回観ようかなと思ったらまた誰かを誘ってこの映画を観に来ていただきたいです。

木村 僕が演じた浩二は劇中でひとつだけ大きな間違いを犯すんですが、それは“今を生きているからこそ起こり得る間違い”だと思っています。観客の皆さんには、浩二の間違いをただ否定するのではなく、苦悩の末に出した答えとして受け止め、この作品が示すように、間違いとして終わらせず本作のタクシーのように、皆さんが前に進み続けるための力になることを願っています。

山田監督 この映画に登場するふたりは決して特別な人ではないんですが、最後に不思議な奇跡が起こります。浩二のようなタクシーの運転手のように、毎日を懸命に生きている人たちが幸せになってほしいという想いを精一杯込めました。今日はとても冷たい風が吹いている中、こんなにも大勢の皆さんが来てくださって本当にありがとうございました。


『TOKYOタクシー』

https://movies.shochiku.co.jp/tokyotaxi-movie/

2025年/103分/日本

出演 倍賞千恵子 木村拓哉
蒼井優 迫田孝也 優香 中島瑠菜
神野三鈴 イ・ジュニョン マキタスポーツ 北山雅康 木村優来
小林稔侍 笹野高史
監督 山田洋次
原作 映画「パリタクシー」(監督 クリスチャン・カリオン)
配給 松竹

11月21日(金)全国ロードショー

©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会