CINEMA
妻夫木聡が『宝島』をプレゼン
- 名古屋
宣伝アンバサダー・妻夫木聡が 観客の前で作品の魅力をアピール
6月21日(土)、ミッドランドスクエアシネマで、映画会社の宣伝担当者がイチオシの自社作品について本気でプレゼンを行う「予告上映&宣伝大会」が開催された。各映画会社がわが社の映画こそ、としのぎを削る中、映画『宝島』からは反則級のオファーで妻夫木聡、大友啓史監督が登壇。ロケ地43か所・撮影期間106日間に及ぶ、“すべてが規格外”の撮影を振り返り、映画『宝島』に込めたこだわりを熱く語った。
観終わったあとに、 命の鼓動を感じられる作品。
妻夫木 本イベントは「予告上映&宣伝大会」ということで、宣伝アンバサダーの妻夫木自ら監督にもお話を伺いながら、映画『宝島』を宣伝させていただければと思います。最初のキーワードは「きっかけは初主演作」です。最近映画の宣伝といえば、テレビ番組に出演させていただくことが多かったのですが、今回は僕が宣伝部の方に直々にお願いをして、キャラバンという形で全国をまわることになりました。初主演作の『ウォーターボーイズ』のキャンペーンで全国をまわったのですが、その時、行った先々でお客さんや映画館の方に作品が愛されていくのを目の当たりにしました。みなさんと顔を合わせて届けることで、宣伝がただの仕事ではなく、「一人でも多くの方に届けたい」という思いになって行くんです。プレゼンってこんな感じで大丈夫ですか? すごく緊張しています(笑)。次のキーワードは「復帰っ子からのアメリカ統治下」です。
大友監督 私はNHKに勤めていた頃、『ちゅらさん』というドラマを担当していました。1972年生まれの恵里ちゃんが主人公で、沖縄が本土復帰した日に誕生し、“復帰っ子”と呼ばれている彼女が都会に揉まれながら成長していくお話です。その撮影をしているころから、復帰以降の姿だけでは沖縄を描いたことにはならないのではないかという思いがありました。沖縄の方々はとても優しいですが、その背景には復帰前の時代があるので、いつか復帰前の沖縄を描きたいと。それから約20年、この原作と出会いました。アメリカ統治下の沖縄でどんなことがあったのか、どんな思いで人々が生きてきたのかを我々も共有すべきであるという強い信念で撮影をしました。コロナの影響で撮影が頓挫しかけたこともありましたが、妻夫木くんを含めキャスト全員、誰一人諦めようとしませんでした。皆さんが知らない、今となっては沖縄の若い世代も知らないであろう時代になにがあったかを、ぜひ追体験してください。
妻夫木 続いてのキーワードは「運命、親友、思い」。本作は沖縄のコザという町を舞台にしています。約20年前に参加させていただいた映画『涙そうそう』もコザが舞台でした。そこに運命を感じて出演させていただくことを決めたのですが、今回も約20年前にできた親友たちにとても助けられました。役作りをしていく中で、沖縄を知ることが大切です。親友たちに連れていってもらった佐喜眞美術館で「沖縄戦の図」を観たときに、色んな感情が押し寄せてきました。教科書に書いてあることだけでは学べない、リアルな声が心の中に入ってきたようでした。知ることに囚われすぎて、感じることを忘れているんじゃないかと絵に言われたような気がして。その絵が僕の基盤になって、覚悟を持って撮影に挑むことができました。そして、本作は2回公開が流れてしまって、三度目の正直で戦後80年である今年公開となりました。これは運命ではなく必然だと、僕は確信しています。次は「全てが規格外 構想6年 2度の延期 総製作費25億円 撮影期間106日 沖縄ロケ41日 ロケ地43箇所 エキストラ延べ5000人 希少アメリカンクラッシックカー50台」です。
大友監督 アメリカ統治下時代の町並みは今現在残っていない。この時代の沖縄が描かれて来なかったのは、それが理由のひとつだと思います。それをしっかり再現するために、美術、照明、衣装、メイク…、様々なことにこだわりました。コザ騒動の際には沖縄の人たちは車をひっくり返し、燃やしました。それを再現するためにアメリカンクラッシックカーも世界各国から集めました。そうすることで俳優の皆さんに当時の沖縄の世界へ入り込み、そこから出てくる感情を表現してもらうようにしたんです。なので、どうしたって予算も規模も大きくなっていき、こんな数字になりました。もうひとつ、上映時間191分という数字も…。
妻夫木 沖縄を語るうえで、やはり2時間では難しかったですよね。
大友監督 沖縄の20年間、登場人物一人ひとりのドラマを描くには最初5時間の脚本を作りました。
妻夫木 5時間は流石にお客さんが困ってしまうので、勘弁してください(笑)。
大友監督 長くて申し訳ないですが、無駄な時間にはなっていません。
妻夫木 それでは最後のキーワードです。「ただの映画で終わらせたくない」。
大友監督 これは完成披露試写回での妻夫木くんの言葉です。
妻夫木 映画というものは、理屈でいうと観終わったらそれまでです。でも、その先にある希望を、この映画を観たお客さんには感じていただきたいです。映画はお客さんに観ていただいて、はじめて完成します。本作を観終わったあと、お客さんが想像する登場人物たちの未来の姿は、おそらくみなさん自身なんです。沖縄を描いた作品ですが、僕たちがどう生きるべきか、子どもたちにどんな未来を残せるかというお話でもあります。スタッフもキャストもみんな心を込めてこの作品を作りました。観終わったあとに、命の鼓動を感じていただけると思います。どうか皆さん、本作をよろしくお願いいたします。
『宝島』
https://www.takarajima-movie.jp
2025年/191分/日本
出演 | 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太 塚本晋也、中村蒼、瀧内公美、栄莉弥、尚玄、ピエール瀧、木幡竜、奥野瑛太、村田秀亮、デリック・ドーバー |
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監督 | 大友啓史 |
原作 | 真藤順丈『宝島』(講談社文庫) |
配給 | 東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント |
9月19日(金)より全国公開
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会