ムファサはディズニー史上
最も温かく、切ない物語

　壮大なアフリカの大地を舞台に“生命”をテーマに描き、映画、演劇、音楽と頂点を極めた一大叙事詩『ライオン・キング』。アニメーション映画として1994年に誕生した本作は、映画賞、音楽賞を総なめ。奇跡の映像美や圧巻の楽曲、心震える感動の物語は全人類を熱狂させた。2019年にはリアルを超えた超実写版『ライオン・キング』として全世界で公開し、『美女と野獣』、『アラジン』を超え、ディズニー映画で世界歴代映画興収No.1を記録。まさにキング・オブ・エンターテイメントとして君臨し続けている。

　12月20日（金）に公開される映画『ライオン・キング：ムファサ』は、息子シンバを命がけで守ったムファサ王と、ムファサの命を奪った“ヴィラン”スカーの若き日の兄弟の絆を描く、『ライオン・キング』原点にしてはじまりの物語。冷酷な敵ライオン、キロスから群れを守るため新天地を目指す旅の過程で孤児から王へ運命を切り拓くムファサと、彼の運命を変える“弟”タカ（若き日のスカー）。血のつながりを超えた≪兄弟の絆≫に隠された驚くべき秘密を心ゆさぶる楽曲にのせて超実写版で描く。

　本作の超実写プレミアム吹替版で、孤児から王へ自身の力で運命を切り拓くムファサと、王の血筋を受け継ぐ“弟”タカ（若き日のスカー）を追い詰め、彼らの運命を左右する重要キャラクターである“冷酷な敵ライオン”キロス役を演じるのは、渡辺謙。公開まで残り1か月余りとなる中、作品の大ヒットを祈願して、渡辺謙が、獅子（ライオン）にゆかりのある大阪・難波八阪神社を訪問した。

──まずはご挨拶をお願いします。

渡辺　こんにちは。すごく良い天気で良かったです。先月から『ライオン・キング：ムファサ』キロス役を何度かに渡って収録して、ちょうど今朝も最終チェックのセリフ直しを終え、大阪へやってきました。車から獅子の頭が見えたときに、いかに大きいかということを実感しましたね。

──11月18日はミッキーマウスのお誕生日とディズニーの記念すべき日ですが、超実写プレミアム吹替版“キロス”役発表イベントが行われた10月21日は渡辺さん自身のお誕生日でしたね。

渡辺　たまたまそういう日に当たったので、『ライオン・キング：ムファサ』の大きなケーキでお祝いしていただきました。

──渡辺さんは今回初めてディズニー作品に参加していますが、本作の魅力はどこにあると思いますか？

渡辺　アニメーションの頃から何度も作られている作品で、もちろん動物がメインの話だけれども、ある意味人間社会を投影しているような深いメッセージが隠されていますよね。老若男女、そしていつの時代にも通用する、心に刺さる作品。だからこそ、そのはじまりはどこにあるのか？をテーマにした作品が今回作られたと思っています。

──予告編を観ると、小さな可愛らしい兄弟・ムファサとタカ（後のスカー）がどうして…と切なくなりました。

渡辺　今までの作品をご覧になった方々は、最後ムファサとスカーがどういう結末になるのか分かりながら、このプロセスを一緒に体感していくという、結末が見えているだけに非常に切ない物語になっています。ディズニー史上最も切ない話というのがこの作品の肝かもしれないですね。

──ムファサとタカを追い詰める冷酷な敵ライオン“キロス”に対して、渡辺さん自身はどんな思いを抱いていますか？

渡辺　キロスは、ただ悪いことを考えているキャラクターではなく、社会から疎外されているキャラクターなんです。血のつながりからくる憎しみだけでなく、自分たちの存在意義すら壊されてしまう。そんな苦しみや悩みを背負いながら、守るべきものを守ろうとしているんですよね。

──キロスが歌唱する劇中歌『Bye Bye』はリン＝マニュエル・ミランダさんが作曲しています。

渡辺　彼は、私がニューヨークで出演していた舞台『王様と私』にたまたま観に来ていただきましたし、私が彼の舞台を観に行った時も寛大に迎えてくれて、一緒に写真を撮っていただきましたよ。劇中歌『Bye Bye』はかなり苦労しましたね。字幕版の声優を演じるマッツ・ミケルセンの想いも汲み取り、アフリカっぽいノリの良い曲だけど、憎しみを込めるような歌なので、軽いノリというよりは念を込めてネチっと歌いました。

──最後に、本作を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

渡辺　12月20日（金）より『ライオン・キング：ムファサ』劇場公開が始まります。関西の皆さま、ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います。