役所広司&曽利文彦が語る
『八犬伝』の魅力

　世界に誇る日本ファンタジーの原点「八犬伝」。失明してもなお、口述筆記で書き続け、28年の歳月を費やし106冊という超大作を書き上げた滝沢(曲亭)馬琴の偉業は、日本文学史上最大の奇跡として今なお語り継がれている。

　里見家の呪いを解くため、八つの珠に引き寄せられた八人の剣士の運命をダイナミックなVFXで描く【虚】と、その物語を生み出す馬琴と、浮世絵師・葛飾北斎の奇妙な友情を通じて描かれる【実】が交錯する新たな『八犬伝』。

　10月25日（金）の公開に先駆け名古屋で行われた舞台挨拶に馬琴を演じた役所広司と曽利文彦監督が登壇した。

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映画館の大きなスクリーンと大音響で
さらに盛り上がる物語

──まずはご来場の皆様に一言ずつご挨拶をお願いします。

役所　名古屋の皆さんこんばんは。今日はこの『八犬伝』を観に来てくださり本当にありがとうございます。監督が2年かけてこの映画を仕上げました。僕の髪もようやく生え揃ってきました(笑)。

曽利監督　この映画はなかなか難産で、完成まで長い時間がかかりましたが、皆さんにお披露目できる機会までたどり着けました。上映時間は2時間半と少し長い作品ですが最後までお楽しみください。

──名古屋の印象はいかがですか？

役所　良い印象しかないですね。人間が良い。食べ物はおいしい。映画もよくヒットする。今日は控室で天むすなどをいただきまして、残すところはうなぎ料理の中で一番大好きなひつまぶしだけです。

曽利監督　名古屋は道が広いですね。一度あの広い道でカースタントを撮影してみたいです。

──役所さんは今回馬琴役を演じられましたが振り返ってみていかがですか？

役所　台本を読んだときから…、あ、ネタバレしそうになっちゃった(笑)。【虚】と【実】を行き来する瞬間が心地よく、映像になるのが楽しみでした。最近の若い人たちは小さな画面で倍速再生をして観る方もいるみたいですが、やっぱり映画はこの大きなスクリーンと音が感動を呼び起こしてくれると思います。この物語は映画館の大きなスクリーンと大音響でさらに盛り上がるので、皆さんに劇場で観ていただけるのが嬉しいです。台本の時点で馬琴と北斎のやり取りは非常にユーモラスだったので、そこは丁寧に作っていこうと北斎役の内野(聖陽)くんと話しながら作っていきました。

──監督は八犬伝の映画を長年構想されていたそうですね。

曽利監督　小学校のときにNHKの『連続人形劇 新八犬伝』に夢中になりまして。大人になって映画界に入ってやはり八犬伝を映画にしたいという思いはずっとあったのですが、なかなか成就せず。そんなときに山田風太郎先生の『八犬伝』に出会い、この【虚】と【実】を行き来するという切り口ならば映画化できるんじゃないかと思いました。他の劇場で「え、役所さんは八犬士じゃないの！？」とおっしゃる方がいらっしゃいました。そんなことあるわけないんですけれど(笑)

役所　僕だって特殊メイクで若返って美しい八犬士をやりたかったです (笑)

──先日のジャパンプレミアが最初のお披露目でしたが反響はいかがでしたか？

曽利監督　本当に温かい言葉を沢山いただきました。観客の皆さんにどのように受け止められるかはすごく気になるところです。ジャパンプレミアでは素晴らしい感想をいただけて少し安心しましたが、今日お集まりのみなさんの目にはどう映るのか、本当にドキドキしています。

──本作を観るにあたり、必要な心構えなどはありますか？

役所　本当に面白いの？くらいの気持ちで構えず観てください(笑)。童心に返って楽しんでいただければ。

──最後にこれから本作を観る皆さんにメッセージをお願いします。

曽利監督　スタッフ、キャスト一同一生懸命作り上げた作品です。ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。もし気に入ってくださったら周りの方にも勧めて、また劇場に起こしください。

役所　今日は大人の方が多くて、八犬伝はみなさんにとって思い出深い物語なんだと思います。キャッチコピーに「正義で何が悪い」とあるように、正しい者が報われる世の中でないといけないというメッセージを含んだ、大人も子どもも楽しめる作品です。ご家族で観ていただくと、お子さんと正義について会話をして盛り上がれる作品です。企画宣伝部もすごく頑張っていて、監督も僕もあちこち連れ回されて大変ですが(笑)、もう少し頑張りますので、みなさんも周りの方に勧めるなど、お力もお貸しください。