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フライング・ポストマン・プレス

2018/03/07

【インタビュー:THE STARBEMS】結成5年目 これまでの歩みと新作『STAY PUNK FOREVER』に込められた真意。

「“STAY PUNK FOREVER”って

モヒカンに鋲ジャンの人が出てきそうだけど(笑)

多分、21世紀ってそういうことじゃないんだなって」

 

 

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’13年のスタートから今年で5年目を迎えるTHE STARBEMS。その中心人物は、かつてBEAT CRUSADERS(ビークル)を率い、モノブライトなどにも携わってきた鬼才・日高央だ。1月31日にリリースされたニューアルバム『STAY PUNK FOREVER』では、豊富な音楽知識とパンク~ニューウェイヴを基盤とした音楽性を進化させ、痛快な’18年型パンクロックとして提示。なぜ今、“STAY PUNK FOREVER”を標榜するのか? そこに込められた想いとは? THE STARBEMSの結成から現在に至るまで、その軸となる音楽愛に貫かれた熱い姿勢をフランクに語ってくれた。

 


 

――そもそもTHE STARBEMSは、’11年の東日本大震災の活動支援を通じて誕生したそうですね。

 

「あの震災の後、被災したライブハウスが徐々に立て直されていったので、そこで何かやってくれという要望がすごくあったんです。<東北ライブハウス大作戦>というチャリティ活動を知り合いがやったんで。それを手伝おうと思って、当時は日高央名義のソロとして行ってました。その時に“手弁当でしか出せないけど、それでも一緒にやってくれるか?”って声をかけて、“お金をもらえなくてもいいからやります!”って残ってくれたメンバーがTHE STARBEMSになった。その時、被災して困ってる人に対して何かしたいっていう情熱がすごい大事だと思ったんです」

 

――被災地で感じた日高さん自身の“怒り”が原動力になったというのもインタビューで読みました。

 

「震災で感じた怒りもあるんですけど、THE STARBEMSのスタート時点で一番大きかったのは、音楽の聴かれ方への違和感みたいな怒りですね。例えばあの震災がなかったとしても、ビークルとは真逆のことをやろうと思ってたんです。ビークルはものすごく支持をいただいてうれしかったんですが、売れれば売れるほど、キャラクターだけがウケて、音楽が聴かれてないなって思うようになっちゃって。そうなってしまったのは、いわば“フェス文化の功罪”と言いますか…。フェスってもうスポーツに近くなっちゃった感じがして。お祭りだし、アウトドアのレクリエーションという感じ。そこに出てるアーティストのことを一個一個追求したり、掘り下げたりっていうことが年々薄くなっちゃった感じがすごいしてて。ビークルって、その最たる位置にいっちゃってたんです。そういう状況がちょっと歯がゆかったというか…」

 

――ビークルはメンバー全員がお面をしてるとか、コミカルな印象が強かったのですが、単に面白がられることが狙いではなかった?

 

「ぜんぜん狙いじゃなかった。予想以上にウケちゃって、それはホントに想定外だったんです。そもそも当時の俺はサラリーマンだったからバレないように顔隠してただけなんです。初期のYMOみたいに匿名的な感じになればいいなと思ってて。ビークル自体も実は反抗のユーモアが込められてたんですけどね」

 

――それはカウンター精神のようなもの?

 

「そうですそうです。俺自身のスタートはラフィンノーズなんで、THE STARBEMSも“本来はラフィン・ノーズから始まったおじさんですよ”っていうのが始まりだったんです」

 

――’80年代にインディーズから出てきたパンクバンドですね。

 

「そうそう、ザ・ウィラードとラフィン・ノーズと有頂天は俺にとって神だった。そこから掘り下げていって、ザ・スターリンとかアナーキーにいっちゃって。そういう人間が、フェスで何万人の前で祭り上げられちゃうと、(ザ・スターリンの)遠藤ミチロウがどれだけすごいかとか、(アナーキーの)仲野茂がどれだカッコイイかっていうことを力説しても、(聴いてる人には)届かなくなっちゃったんですよ。そこがすごい歯がゆくなっちゃったんです。こっちはただただ好きな音楽を広めたいだけだったのに。だから、ビークルとは真逆のゴリゴリ、ストイックっていうのを強調してたんです。とにかくウルサイ、速い!っていうことしか追求してなくて。2ndアルバムぐらいまでは、あえてやさしい歌モノはそんなにやってなかったんですが、今回は割と歌モノが多くなってきたかな」

 

 

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――それはバンド内で何か変化があって?

 

「この5年で変わったのは、メンバーの意見がデカくなったことです。今作の『Stay Punk Forever』なんかは曲調がやさし過ぎだろうって、最初ボツにしようと思ってたんです。でもメンバーから、“元ビークルって言わなくても、みんなわかってくれるようになったし、音楽性がビークルに戻ったからって、リスナーは怒ったりしない。日高さんのいいことろをどんどん出してくださいよ”って言ってくれたんで、1曲目に入れました」

 

――今作『STAY PUNK FOREVER』は全11曲で30分に満たないというコンパクトさもいいですね。アルバム1枚をじっくり鑑賞できない人でも一気に聴けちゃいそう。

 

「敢えて短くしました。フルで聴かれることは少ないだろうと思って。多分、今のリスナーはストリーミングがメインなんですよ。ギターの(菊池)篤が、“新譜を聴く時は、頭5曲ぐらいで判断します。だから、頭5曲で畳み掛けたアルバムにしましょう!”って言ってくれ、曲順を決めました。その辺は今の時代に対応してますね」

 

――ギターサウンドに関しては、ネオアコに通じるような瑞々しさを感じます。

 

「西くん(越川)がまさにジョニー・マーにはまってたので。その辺の音作りは楽しんでましたね。越川がレコーディングのエンジニアもやってるんで」

 

――曲によってはファンクやスカの要素も入ってますね。

 

「『Saturday Night We Must be Allniters』のようなスカの曲は前のアルバムまでだったらボツになってたと思うんですよ。今回、たまたまできちゃって、メンバーに、“どうする?”って聞いたら、“2ndぐらいまででビークルと真逆にふり切るテーマはちゃんとやれてるし、スカっぽい曲入れてもいいんじゃないですか”って言ってくれたんで入れました。あの曲は裏打ちのギターを西くんが先に入れて、後から篤がサックスみたいなフレーズのギターを弾いてくれた。そういう篤なりの発明も入ってて、それがすごいよかったですね。メンバーによって2TONEから90′Sスカまでいろいろ聴いてるから、ちょっとずつアイデアを出してまとめていった感じですね」

 

――個人的にはニューウェイヴ寄りの『Funky Control』とか『Laugh Until You Die』あたりが特にツボにきてしまうんですが(笑)。『GO-GO Sensation』なんかのアイデアはどういうところからきてるのかなって?

 

「これはそもそもはウルトラヴォックスみたいにしようと思ってたんです。ちょっと耽美な暗さを持った曲にしようと思ってたら、ギターの越川とかベースの山下は、“これはノイズギターが入ってる(町田)町蔵さんみたいなテイストでやりましょう”って。例え最初の設計図通りに着地しなくても、みんなで演奏して楽しければ俺もそっちの方がいい。『Laugh Until You Die』とかは最初、インエクセスみたいなイメージだったんだけど。結局メンバーみんな自由な解釈でやったらこういう形になって。ベースの(山下)潤がけっこうTHE ピーズ好きなんで、ちょっと泥臭いエッセンスを入れてくれるんですよね。カチッと作ろうとせず、曲ができたら後は演奏する人にお任せしちゃうんです。ライブで同じように再現しなくてもいいし、再現できないようなアレンジの曲もあるので」

 

――自由度が高いですね。そういうサウンドやアレンジを楽しみつつ、改めて歌詞を見ると、そこから発しているメッセージにグッと熱くなったり、身が引き締まる思いがしたり、勇気付けられたりします。

 

「ありがとうございます。説教ジジイみたいで申し訳ないです」

  

――全然説教臭くは聴こえないです。

 

「英語で歌ってるっていうのもあるしね」

 

――こういうやり方もあるのかという発見もあります。

 

「うん、その自由さこそがパンクでいいのかなって、こういうタイトルにしました。“STAY PUNK FOREVER”って言うとモヒカンに鋲ジャンの人が出てきそうですけど(笑)。多分、21世紀ってそういうことじゃないんだなって。この5年ぐらいやってて感じたんで。もちろんそういう鋲ジャンでモヒカンのパンクも大好きですけど、パンクって聞いて、30代はAIR JAMを想像するだろうし、10代20代だったらもっと違うものを連想すると思う。そういう含みのあるタイトルにしたかったんです。俺はフランク・オーシャンとかも、パンクっぽいなと思っちゃうんですよ。盤(CD)も出さないけど、iTunesのチャートで1位になって億万長者になっちゃう。そういうやり方ってすごいとんがってる。パンクってあまり定義しない方がパンクっぽいというか。だから、そういう意味でアンチテーゼとしての“STAY PUNK FOREVER”なんですよ」

 

――それに今また、70~80年代のパンク/ニューウェイヴが再評価される傾向にもありますよね。

 

「あると思います。自分たちで聴き直しても新しい発見ってあるので。そういう感じをうまいこと今の解釈でやれたらいいなと思いますけどね。それをわかりやすく提示できたらいいなと」

 

――歌詞にはDIYというパンク精神が貫かれてますね。

 

「そうですね。なぜそこにこだわっているかというと、ただただ根拠のない前向きな単語だけ並べちゃったかつての“青春パンクの功罪”っていうのも感じてて。モンパチ(MONGOL800)やゴイステ(GOING STEADY)は根拠のない前向きなメッセージだけを歌ってるわけじゃない。でも、その後に出てきたバンドはだいたい根拠がない感じだったから。もちろん応援歌もいいんですけど、最終的には“自分で責任取ってね”っていうことを歌わないと嘘じゃないかなとずっと思ってたんです」

 

――その確信はどこから来るんですか?

 

「だって、俺が今まで好きだった人たちは、“自分を信じてやってみるんだ!”っていう風には誰も歌ってなくて。そこが一番カッコイイ!って思ってたところだったんです。前向きなメッセージをくれるから好きなわけじゃなく、やってるアートがまずかっこよくて、歌詞を読むとさらに深みがあった。ファッションとか生き様、ジャケット、全部含めて総合芸術としてカッコイイ。多分その責任は自分で取らなきゃダメなんだってことがなんとなく全体像で伝わってたからです」

 

――そういうことも含め、THE STARBEMSとして提示し直そうという思いがあったと?

 

「そうです。だから、ビークルの時のお客さんはすっかりいなくなっちゃっいましたけど、それでいいというか。同じノリで来られても、多分ああいう面白さはないと思うんで」

 

――敢えてお聞きしますが、そんな日高さん自身がTHE STARBEMSでやっている音楽やメッセージを届けたい人というのは?

 

「中高生だった時の自分みたいなヤツに聴いて欲しいですね。10代の時からミュージシャンになりたいっていうヤツはいるかもしれないけど、なれるとは思ってないでしょうし。自分もそうでした。10代の時って指標がなくて、くすぶってる子っていっぱいいると思う。将来自分はどういう風になればいいのか、どういう風にするのがカッコよくて楽しいのかっていうのが、わかんないような子に聴いて欲しい。間違ってもEXILE好きには届かないだろうなと思いますけど(笑)」

 

――今年、THE STARBEMSとして5周年を迎えて、今後はどんな風に活動していこうと?

 

「今年ついに50歳になっちゃうんで。もっとうるさくなりたいなと思います(笑)。普通、50からの音楽人生って、だいたいレイドバックするじゃないですか。そういうのに全然興味がないんですよ。リトルフィートみたいな音楽も好きだし、円熟したことをやりたくないわけじゃないんですけど。予想がついちゃうことは全然面白くない。予想をいい意味で裏切りたいですね。急にはっぴいえんどみたいなことをやるとか(笑)」

 

――裏切り続ける(笑)。

 

「そうですね。意地悪なバンドでありたいなと思います」

 

Interview & Writing  by エイミー野中

 

 

THE STARBEMS / ザ・スターベムズ


メンバーは日高 央(Vo.)、菊池 篤(G.)、 越川 和磨(G.)、山下潤一郎(B.)、高地 広明(Dr.)
東日本大震災の支援活動を通じて、2013 年に産声を上げた PUNK ROCK バンド。メンバーそれぞれの思う PUNK を、熱い思いと共に鳴らすそのサウンドは POP かつアグレッシブ、ファストかつエモーショナルで唯一無二。時代 に迎合する事なく、あえて MC や FUN な要素を排した ライブ アクトも独特で、エモ さと多幸感が共存するその空間 は他に類を見ない。 2018 年に結成5年目を迎え、1月31日に1 年ぶりのフルアルバム『STAY PUNK FOREVER』をリリース。
前作ミニアルバム『NEWWAVE』でみせた、 独自 のニューウェーヴ解釈が更に進化。

http://www.thestarbems.com

 

 

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『STAY PUNK FOREVER』

¥3,333(税込)

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