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フライング・ポストマン・プレス 名古屋版

2018/09/05

舞台『死神の精度』で主人公の死神・千葉を演じる萩原聖人にインタビュー

 

 

メイン画像のコピー

 

伊坂幸太郎原作の『死神の精度』。2009年に和田憲明の脚本演出により、伊坂作品として初めて舞台化された。それから9年舞台『死神の精度』が9月13日(木)にアートピアホール(名古屋市青少年センター)で再演される。本作で主人公の死神・千葉を演じる萩原聖人に舞台の見どころから日本の演劇文化まで、30年以上舞台に携わってきた俳優としての生の声を聞いた。

 

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—和田さんとタッグを組むのは「演劇集団アーリータイムリーズ」公演の『アーリータイムブルース〜母なる夜に抱かれて~』(1991年/作・演出:和田憲明)と『クローズ・ユア・アイズ〜ライカでグッドバイ〜』(1992年/作・演出:和田憲明)以来ですね。

前回、和田さんとご一緒させていただいたのは今からもう四半世紀も前なんです。お互い変わったところもあれば変わっていないところもあって。僕自身、年間に2作品も舞台があると体力的にもかなりきついものがありますが、今回また和田さんの元で演じられるということは、「死ぬ気でやれ。」という“死神“からのお告げなのかもしれませんね(笑)。

 

サブ1

 

—“死神”からのお告げを受け取った(=出演が決まった時の)率直な感想をお願いします。

不安と恐怖ですね(笑)。和田さんって、ものすごくストイックでこだわりも強く、感情を前面に出す方なんです。でも、この厳しさが今の自分にとってはチャンスだと思っています。年齢を重ねていくにつれて、キャリアが過大評価されることで、自分の枠の中だけで演じがちになってしまう。だからこそ、自分では引き出せないものを引き出してほしいと思っていたので、こうして和田さんと再会して1つの作品を作り上げる機会をいただいて、この試練を乗り越えた先に僕の残りの俳優人生においてどのような景色が見られるのか、今から楽しみですね。

 

—『死神の精度』を舞台で演じる魅力は何ですか?

原作を読んで、伊坂さんは現実世界の中にファンタジー要素を取り入れた作品を書かれる方である、という印象を受けました。伊坂さんの描く虚構と事実の融合と和田さんが生み出すハードボイルドな世界観の絶妙なマッチを楽しむことが出来るというのが舞台だからこそ魅力だと思います。

 

サブ2

 

—ズバリ作品のどこに注目してもらいたいですか?

人間の姿だけど人間ではない。でも、人間が死神を演じている。この状況を皆さんがどう感じてくれるのか気になりますね。そもそも死神と人の違いは何か。この辺りの境界線みたいなものがチャーミングに伝わったらいいのかな。4人のキャラクターのうち、僕の演じる千葉以外みんなカッコいい役どころなので、そこにも注目してください(笑)。

 

—死神という人間とは異なる存在を演じる上で苦労されたことはありますか?

僕の描く死神像と和田さんの描く死神像は全く違ったので、人間とは異なる死神ならではの違和感をどう表現するか、生身の人間が出す死神らしさとは何か、これは最後まで悩み続けるんじゃないかな。普通の人間の感覚で死神を演じてしまうとこの2つの存在の間に矛盾が生まれてしまいます。ファンタジーはどうしても演じている中で矛盾が生じやすいジャンルです。それはどうしようもないことなのですが、確信を持って堂々と演じることで、説得力やリアリティを出すことができると思っています。

 

—今作の大きなテーマの一つは「死生観」ですよね。

僕の持っている「死生観」はどちらかといえば千葉に近い感覚ですね。どんなに努力しても、お金を持っていても、絶対に死は避けられない。だからといって、好きに生きればいいというほど楽観的にもなれない。真面目に考えだすと、自分の存在すら分からなくなってきますね(笑)。この作品の副題は「7Days Judgement」ということで、8日後には生死が決まります。しかし、明日やらなきゃいけない日常が決まっている中で、本当に「人はいつか死ぬ。」と考えて生きることは正直難しいですよね。

 

—30年近く舞台に関わってきた萩原さんの考える舞台の魅力は何ですか?

生でお届けしているので隠し事が一切ないところですかね。昨今の舞台は派手な作品が増えてきていますが、本作ではまるで小劇場で繰り広げられているような王道の演劇を楽しめるのではないかと思っています。

 

—最近は2.5次元の舞台など様々な演劇が存在していますね。

今作で共演している植田圭輔君は2.5次元の舞台を中心に活躍されています。ああいう舞台は芝居ではないように見え方をすることもあるのですが、実際に彼と共演してみて、2.5次元俳優の凄さを実感しました。確かに様々なジャンルの舞台が増えましたが、その本質は変わっていないのではないかと思います。演劇ならではの生の面白さはいつまでも変わりませんね。僕が演劇に携わる上での「やりたい人とやる。」というスタンスも一生変わりません。ただ、劇場数がだんだん減ってきてしまっていることは悲しいですね。

 

—名古屋では名鉄ホールも2015年に閉館してしまいました。

名鉄ホールは、薬師丸ひろ子さんと共演した舞台『すうねるところ』など、様々な作品をやった思い出の場所です。舞台は実際に劇場まで足を運んで観ていただくものなので、演者としては観る価値のある舞台を提供し続けなくてはいけないと考えています。『死神の精度』は自信を持って「来てください!」と言える作品ですので、ぜひ生の4人を観に来てください。

 

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<舞台情報>

舞台『死神の精度』

原作:伊坂幸太郎『死神の精度』(文春文庫刊)

出演:萩原聖人、植田圭輔、細見大輔、ラサール石井

会場:アートピアホール(青少年文化センター)

9月13日(木) ①14:00開演(アフタートークあり) ②19:00開演

料金(全席指定・税込)=6800円

※開場は開演の30分前

※未就学児入場不可


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