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フライング・ポストマン・プレス 名古屋版

2019/05/24

本日公開!映画『空母いぶき』西島秀俊・深川麻衣・若松節朗監督・小滝祥平プロデューサーが語る平和への想い

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「沈黙の艦隊」「ジパング」などで知られる巨匠・かわぐちかいじ氏の同名コミックを実写化した映画『空母いぶき』が本日より公開。戦後初の航空機搭載型護衛艦《いぶき》とその乗員たちを中心に、政府やメディア、そして国民たちが、それぞれの立場、それぞれの思いで、この国が保ち続けた平和を守ろうとする熱き闘い。そのとき彼らは何を考え、如何なる選択をするのか。そして手にした力はどのような形で使うべきなのか。

 

本作に出演している西島秀俊と深川麻衣、そして若松節朗監督、小滝祥平プロデューサーが本作について語ってくれた。

 

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―本作は漫画原作ということで、そのまま映像化するのは難しい部分もあったのではないかと思います。

小滝プロデューサー「4年半前からかわぐちかいじ先生が原作をお描きになられているのですが、僕はその前からファンで、交流もありました。『亡国のイージス』や『聯合艦隊司令長官 山本五十六』など、自衛隊や海軍が出てくる映画を撮影し、日本のCGのレベルが上がっていくのを感じていたので、そのスケール感も表現できるのではと思い、若松監督に相談をしました」

 

―確かの本作のCGはスケールの大きさと当時にリアルさも感じました。CGを使用する際に監督がこだわっていることはありますか?

若松監督「CGでかなり大きなスケール感を表現できると思います。ただ、CGアニメーションだけで戦うのではなく、戦闘機にしろ、ミサイルを打ち合う船にしろ、そこ人間が介在してほしいというのが僕のこだわりです」

 

―監督はプロデューサーから「未来の命に平和な世界を残しましょう」とオファーを受けたとお聞きしました。

若松監督「オファーを受けた時期にシリアの内戦のニュースがたくさん入ってきました。爆撃で両親を失った子供たちが泣き叫ぶような映像を見て、この子どもたちは将来どんな武器を持って報復するのだろうと考え、これは大変なことだと感じました。そしてこの映画は必ず作らないといけない、残さないといけない作品だと思いました」

 

―艦の上でのシーンだけでなく、官邸やコンビニ、ネットニュース社のシーンも描かれていますね。

若松監督「艦の上のシーンだけでは飽きてしまいますし、様々な要素が入っていた方が映像的に面白いですよね。それぞれ葛藤している人たちが、最後にはまとまるのがこの映画の魅力だと思っています」

 

―西島さんと深川さんは本作に参加されて、いかがでしたか?

西島「自衛官の人が実際どういう人たちで、どういう任務についていらっしゃるのかは、知らない人も多いと思います。災害の時にお世話になったりはしますが、そのお人柄が見えてこない。秋津は少し特殊なのですが、本作に出てくる自衛官のキャラクターは非常に人間的で、葛藤し最前の道を模索していく。まさに役作りの中でお話を聞いた、大変な任務にも関わらず家族にも言わず、最善を尽くす自衛官の方々の姿が表れています。本作のテーマである「平和」や「手に汗を握る戦闘シーン」とはまた違う、大切な部分だと思っています」

深川「大先輩である中井貴一さんとお芝居をさせていただきました。中井さんは本読みのときから、作中でキーワードとなるメッセージカードの中身をこうした方がいいんじゃないかと監督とお話されていたり、カメラが回るたびにアドリブが飛び出してきたり。積極的に作品をもっと良くしていこうとしている姿を拝見することができ、とても勉強になった共に嬉しかったです。学んだことはこれからのお仕事にも繋げていきたいと思っています」

 

―撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

西島「いぶきの撮影現場では防衛出動がどれだけ大きなことなのか、相手を撃墜するとはどういうことなのかをみんなで共有しながら撮影していて、非常に真剣な毎日を過ごしていました」

深川「戦闘シーンはお昼以外休憩がなかったと聞いたのですが、コンビニのシーンはみんなでワイワイしながら撮影しました。いつどんなアドリブが中井さんから飛んでくるかわからないので、何が来ても打ち返そうと、ずっとバットを構えているような感覚でした(笑)」

 

―西島さんが演じられた秋津はなかなか本心を見せない自衛官で、かなり難しい役所だったのではないかと思います。

若松監督「原作の秋津竜太というキャラクターは、初めはなぜこんな大変な時に微笑んでいるのだろう、もしかしたら悪い奴なのかと思わせるように描かれています。そういう主人公をお客さんがどう受け取るかというのはすごく気になるところではあるのですが、西島さんが演じていたらきっと悪い人じゃないという前提になりますよね(笑)。この人は何を思っているのだろうと思ってお客さんが観てくれたら大成功です」

西島「順撮りでしたので、今起きていることの重大さなどを確認しながら撮影していくうちにどんどん追い詰められていく気がしました。ですが、そういう演技になると監督はダメだと。秋津は普通の人間ではないので、周りと同じリアクションは取らないでくれ。丁寧に演出をしていただきました。秋津の本心は最後に解ってもらえればいいので、それまでは一切表にださないでと言われ、それを意識しつつ演じていました。」

 

―艦長の秋津、副館長の新波、そして群司令の湧井の関係性がとても魅力的でした。

西島「台本上では群司令のいうことを秋津が押していくように見えるのですが、実際に藤(竜也)さんが演技をされていると、秋津はきっと群司令のことを尊敬しているのだろうなと感じました。新波に関しても、(佐々木)蔵之介さんと演じていく中で、二人はやっぱり同期で、お互い信頼しあっているのだなと。秋津は未来を見ているけれど、新波は現在を見ているので、ぶつかってしまう。台本で書かれている以上にその関係には信頼と尊敬があるというのは、現場で感じられました。」

 

―秋津と新波の信念がぶつかり合うシーンはとてもかっこいいですよね。

西島「蔵之介さんはとにかく簡単な対立軸にしたくないとおっしゃっていました。ただ対立しているのではなく、お互い信頼しあっていて同じ目的に向かっている。二人きりのときは真正面から向かって話すのですが、誰かがいるときは完全に真正面にならないように意識されていたみたいです。秋津も誰かがいるときは二佐と呼ぶのですが、二人きりのときは新波さんと呼ぶ。新波さんと呼ぶときは同期として話しているので、少しだけ本心が出るんです」

 

―艦でのシーンはその閉塞感も相まって、とても緊張感が伝わってきました。

西島「日本は専守防衛を守らないといけないので、相手が攻撃を仕掛けてきてからでないと、攻撃ができない。その中で、相手から仕掛けてきたにもかかわらず、相手を撃墜したことに衝撃を受ける。他の国の映画なら相手を撃墜したらワーっと盛り上がるじゃないですか。撃墜して相手の死に衝撃を受けるのは日本人独特で、密室であるから全員がその空気を共有するというのもとてもリアリティがある。それは他の国の映画にはない日本の映画ならではの表現だと思います。」

若松監督「確かに閉鎖感のある撮影ですが、それぞれの艦の積んでいる武器や艦長のキャラクターの違いが出ればいいなと思っていました」

 

―山内圭哉さんが演じる護衛艦・いそかぜの船長が特に印象的でした。

若松監督「やっぱり、関西弁良いですよね?」

小滝プロデューサー「現実にああいう人いますからね(笑)」

若松監督「「いてまえー!」とか勢いを感じますよね。隣にいる人は「てぇー!」しか言っていませんし(笑)」

 

―撮影で一番印象に残ったシーンは?

西島「甲板でのシーンがあるのですが、それはこの映画の中で一番の危機です。そこにいる全員がラインを踏み越えるギリギリに陥ってしまう。どれだけ我慢して人間として正しい道を進んでいても、やっぱりダメかもしれないという葛藤がピークにくるシーンです。緊張感もありましたし、秋津も初めて本当の思いを吐露するんです。そこにいた全員が強い思いを持ってそのシーンに臨んでいた印象です。あと、ものすごく寒い日の撮影だったので、2人の隊員がびしょ濡れだったので、とても寒かっただろうと思います。」

若松監督「あの日は僕のミスもあり、朝方の撮影だったのです。本当に寒かったのですが、それが逆に大成功でした。厳しい寒さの中で、秋津の優しさに溢れたセリフ。西島さん、最高です!」

 

―完成した作品を初めてご覧になった感想はいかがでしたか?

西島「コンビニはクリスマス前で沸き立っていて、政府やマスコミはそれぞれまた別のことを考えていている。それが、全て同じ気持ちで繋がってラストに向かう。ですが、それ以前のバラバラの時でさえ、この作品に入る覚悟をどのシーンからも感じました。」

深川「映画は約2時間の間にいろんなものを見せてくれて、いろんなところに連れて行ってくれるものだと思うんです。そんな映画の力を本当に強く実感しました。日常がいかに恵まれているかを実感し、それを守ってくださっている方々の存在を近く感じられたのはこの作品が初めてです。普段あまりこういうジャンルの映画を見ない若い方や女性に、そして家族でも見ていただきたいです」

 

―本作を観た方にどんなことを感じて欲しいですか。

若松監督「戦争に勝ち負けは関係ないんです。勝った方も負けた方も傷つくんです。本作ではそれを表現しています。秋津と新波が廊下で話すシーンが象徴しているように、未来の子ども達に戦争している世界は残せない、平和な世界を残さなければいけないというメッセージを強く入れ込んでいるので、それを感じとっていただければと思います。」

小滝プロデューサー「今、日本では戦争が起きていませんが、少し間違えるとそういう世の中になってしまう可能性もある。今この国を守ってくれている方々がいる。そこから僕たちは目を背けていたのかもしれない。ですが、怖いものは怖いものとして、ありがたいものはありがたいものとして、そこから目を背けず、一般レベルから戦争を起こさないためにはどうしたらいいかを考えるきっかけになればいいなと思っています。」

 

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『空母いぶき』

 

メイン

©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ

 

〈STORY〉

20XX年、12月23日未明。未曾有の事態が日本を襲う。沖ノ鳥島の西方450キロ、波留間群島初島に国籍不明の武装集団が上陸、わが国の領土が占領されたのだ。海上自衛隊は直ちに小笠原諸島沖で訓練航海中の第5護衛隊群に出動を命じた。その旗艦こそ、自衛隊初の航空機搭載型護衛艦《いぶき》だった。計画段階から「専守防衛」論議の的となり国論を二分してきた《いぶき》。艦長は、航空自衛隊出身の秋津竜太一佐。そしてそれを補佐するのは海上自衛隊生え抜きの副長・新波歳也二佐。現場海域へと向かう彼らを待ち受けていたのは、敵潜水艦からの突然のミサイル攻撃だった。さらに針路上には敵の空母艦隊までもが姿を現す。想定を越えた戦闘状態に突入していく第5護衛隊群。政府はついに「防衛出動」を発令する。迫り来る敵戦闘機に向け、ついに迎撃ミサイルは放たれた……。

 

原作:かわぐちかいじ「空母いぶき」(小学館「ビッグコミック」連載中・協力:惠谷治)

監督:若松節朗

出演:西島秀俊、佐々木蔵之介、本田翼、小倉久寛、髙嶋政宏、玉木宏、戸次重幸、市原隼人、堂珍嘉邦

片桐仁、和田正人、石田法嗣、平埜生成、土村芳、深川麻衣、山内圭哉、他

配給:キノフィルムズ

 


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