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フライング・ポストマン・プレス 名古屋版

2019/02/12

2月15日(金)公開!映画『半世界』稲垣吾郎、阪本順治監督が語る“39歳”という年齢

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40歳目前、諦めるには早すぎて、焦るには遅すぎる。大人の友情と、壊れかけの家族と、向き合えずにいる仕事。映画『半世界』の主演・稲垣吾郎と阪本順治監督にとっての“39歳”とは。

 

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―今作では39歳という年齢に焦点が当てられていますね。

阪本監督「この数年は、映画『エルネスト』でキューバにフォーカスしてみたり、映画『団地』でSFを取り上げてみたりしていたのですが、1度自分の置かれていた状況を表現してみようと思いました。30歳で監督としてデビューして、30代はまだ新人監督で色々甘やかされるというか、下手な部分も許されてきたのですが、40歳になってくるとプロとして求められるものが変わってきました。40歳で新しい自分を見たいと思ったら、30代後半から準備しないといけない。39歳というのは、僕にとってのターニングポイントだったんです。だから、台本を書きながら、何らかの変化を迎える年齢として、主人公の年齢を39歳に設定しました。僕がこの脚本を書いている頃、父が倒れてしまって介護を必要とする状況だったので父の仕事を継ぐか、東京で映画監督を続けるか非常に悩んでいました。絋というキャラクターには僕の悩みや性格が反映されています」

稲垣「僕が39歳の頃はまだ人生の分岐点とは捉えていなくて。10代の頃からずっと同じ仕事をしてきていて、振り返る暇もなかったので、19歳の頃から何も変わっていないというか、これからの人生についてまだ考えていなかったです。40という数字に対する少しの衝撃はありましたが、僕たちの仕事は歳を意識しすぎていけないし、意識させてもいけないと思っていました。その後、環境が変わった42歳くらいで初めて、また新しい半分の世界が始まっていくのかなと思いました」

 

―稲垣さんにとっての阪本監督の映画とは?

稲垣「初期の作品から拝見しています。もちろん、香取慎吾くんの出演している『座頭市』や『人類資金』も。阪本監督のMade in Japanを感じさせる骨太で社会派な作品に僕が携わってもいいのかなと思ってしまうような憧れが今もあります。現場では、スタッフの年齢の幅が広いのが印象的で。ベテランから、映像学校の学生まで、それぞれがプライドをもって尊重し合っている、職人の集まりでした」

 

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―ちなみに、香取さんと草彅さんに本作に出演することを伝えましたか?

稲垣「昔から直接伝えるということはなく、何となく耳に入ってくるんですよね(笑)。時に新聞で知ることもありました。それくらい忙しかったので。でも、今はじっくり話す時間がもてるようになって、お互い慌ただしい時間の中で過ごさなくてよくなった。本作に出演させていただくことが決まった時は、阪本監督とご一緒した経験がある香取くんにすぐ伝えて、「現場はどう?」「楽しくやっているよ」のような他愛もない会話をしましたね。香取くんも草彅くんも映画を観てくれると思うので反応が楽しみです。一緒に横に座って映画を観てみたいなあ(笑)。ただ、2人とも具体的な感想は教えてくれないんですよ。僕が2人の作品を観た時は細かく感想を伝えたのに(笑)」

 

—撮影の前後でお二人の距離感に変化はありましたか?

阪本監督「撮影中は同じ場所に住んでいる感覚にならないと映画を撮ることはできないので、距離はぐっと近くなりました」

稲垣「僕はどの作品でも監督とはある程度距離感をとることが多いですね。でも阪本監督は現場で“吾郎”と呼んでくださって。でも、今日は“稲垣くん”って言っていますよね(笑)?」

阪本監督「撮影前後は適度な距離感を保ちたいんですよね。とは言っても、昨日一緒に飲みましたが。現場中は初対面の俳優でも呼び捨てにしています。「愛情込めて呼び捨てするね」ときちんと承諾を得てからですが(笑)」

 

—本作は紘と家族の距離感の表現が絶妙だなと感じました。

稲垣「オールロケでの撮影で、実際に家に入ると池脇さん演じる妻の初乃や杉田くん演じる息子の明がいることや、スタッフの皆さんが作ってくれた撮影の空気感が僕を父親にしてくれました。絋と明が2人で毛布に包まるシーンはもともと台本に毛布はなかったのですが、監督が提案してくださって。親子のバックショットが綺麗で印象的でしたね」

 

—三重県南伊勢町での撮影はいかがでしたか。

稲垣「南伊勢町は僕にとって初めての土地で、名古屋から近鉄線で通っていました。1週間南伊勢町に行ってまた東京に戻って他の仕事をして…という繰り返しでした。撮影していたのは昨年2月頃だったのですが、南伊勢町は景色も美しくて居心地が良くて。東京生まれ東京育ちの僕にはおっかなびっくりなところもありましたが、滞在することでより絋に近づけたと思います。近鉄線で津を過ぎたあたりからスイッチが切り替わるというか。あとは、ホテルから朝日を眺めることを日課にしていました。撮影のために毎朝5時に起きていたので、暗い空から太陽が昇る風景は何とも言えない絶景でした。撮影の間も、散歩が好きなので川を歩いて港まで行ってみたり。南伊勢町は地元の方も温かくて、エキストラや撮影場所などたくさんご協力いただきました。次は旅行で南伊勢町をじっくり味わいたいですね」

 

―炭焼き職人も未知との遭遇だったと思います。

稲垣「撮影のために窯を貸してくださった森前さんという炭焼き職人にご指導いただき、実際にお手伝いもさせてもらいました。火や熱に圧倒されていましたが、怖くも美しい画を映画に収められてよかったです。備長炭は無くしてはいけない文化で、生活に取り入れていきたいと思いました」

 

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映画『半世界』

脚本・監督:阪本順治

出演:稲垣吾郎 長谷川博己 池脇千鶴 渋川清彦

竹内都子 杉田雷麟 小野武彦 石橋蓮司

製作・配給:キノフィルムズ

 

映画『半世界』は2月15日(金)より全国ロードショー!


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