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フライング・ポストマン・プレス 名古屋版

2018/10/10

10/26(金)公開!映画『あいあい傘』で監督・脚本を務める宅間孝行にインタビュー

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宅間孝行主宰の劇団「東京セレソンデラックス」が2007年に上演し、“幻の名作”と称される舞台『あいあい傘』が11年の歳月をかけ、ついに映画化!本作で監督・脚本を務める宅間孝行が撮影技法から本作の裏話まで語ってくれた。

 

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-『あいあい傘』が映画化されることになった経緯を教えてください。

「2007年に初めて舞台でこの作品を上演したのですが、それを小説にして、さらに映画にもしたいというオファーをいただきました。小説を書いてもらうときに、舞台版の設定は無視していいですと伝えました。小説単体で面白くないと意味がないと思いましたので、読み物として面白くなるのであれば、裏設定などを作っても結構ですと。なので、逆に映画は逆に小説版をあまり意識せず作っています」

 

-では、舞台と映画で違いはあるのでしょうか?

「主役の据え方が違います。舞台は群像劇のようになっていますが、映画は父親の六郎と娘のさつきを中心に描いています。舞台空間からロケでの撮影になったことで、演出も変わっていますが、違ったものを作っているという感覚ではなくて。舞台も映画もそれぞれ制約があるなかで、同じものをどう見せるかという違いです」

 

-本作はワンカットのシーンが多いですが、監督のこだわりでしょうか?

「10年前に初めて長編映画の監督をさせていただいたときに、映画の作り方について考えました。その後、ショートフィルムやテレビドラマも撮らせていただいくうちに、カット割るという意味や理屈をわかっている人は日本にどれだけいるのかと疑問に思う様になったんです。厳しい話をすると、海外に比べて日本の映画は劇的に遅れている。日本の作り手は勉強していないんじゃないかと思います。今作を作るにあたって、昔の日本映画を研究しました。例えば山田洋次監督の『男はつらいよ』は画作りもすごく面白くて、シネスコの使い方がうまい。小津安二郎も典型的なフィックスローアングルのワンカットが素晴らしい。フィックスのワンカットは映画が原点なので、僕はそこに映画らしさを感じるんです。テレビはカットを割るけれど映画は割らない。それはフィルムが勿体無いので、いい芝居があったら、カットは割らないというのが基本です」

 

-役者のいい芝居をそのまま見せればいいということですね。

「カットを割るのは役者が説明できないことを補完するためですが、それを日本人は本当にわかってやっているのか。役者の感情が途切れさせてまで、カットを割って演出を加えることで得られる効果を優先するべきなのか、常に疑問に思っています。それに、カットを割って切り返すと、美術や照明は両方向飾らないといけないですが、フィックスのワンカットだと一方向だけで済みますよね。つまりカットを割るごとに倍、3倍と時間が掛かるんです。ワンカットだと役者もスタッフも力を分散させず、集中させることができるので、一枚の画の力が強くなります。その中で、役者の感情を途切れることなく見せられるのであれば、デメリットは一つもないですよね。それをもし役者さんがこれを演劇的だと感じているのであれば悲しいです。テレビドラマに素人が出てきて何もできなくても、カメラを動かして、驚いているようにも、泣いているようにも、楽しんでいるようにも見せることができるというのがカット割りです。ならば俳優が演じるとは何なのかということを、役者は立ち返らないといけないですよね」

 

-ワンカットで撮影されたシーンの中でも特に居酒屋でシーンが印象的でした。

「6分半くらいのシーンで、作品の中で一番長いワンカットでした。フィックスのワンカットでは常に3層を縦位置で作っていくのがセオリーなんです。居酒屋のシーンでは、机を挟んで手前に力也(やべきょうすけ)がいて、真ん中に日出子(高橋メアリージュン)がいて、奥に清太郎がいる。その3層を跨ぐようにカナちゃんが動いていきます。ここで見せたかったのは、ヒールとしてのヒロインです。愛されるヒロインではなく、若干面倒な女。そこから一気にクライマックスに向かっていく重要なシーンですね」

 

-舞台では監督がご自身で演じられている雨宮清太郎役を、映画では市川隼人さんが演じられていますが、彼を起用した理由はなんでしょうか?

「“男らしさ”です。最近は中性的で綺麗なイケメン俳優は多いですが、男らしさを感じさせる俳優はなかなかいない。その中で、市原くんはイケメンですが、男らしさもちゃんと持っています。彼は奥から走って来るというシーンが多いのですが、毎回全力で走ってくれたりと、楽しんで演じてくれました。そのおかげで、清太郎は可愛らしさもあるキャッチーなキャラクターになりました」

 

-ヒロインのさつきを演じた倉科カナさんについてはいかがですか。

「この年代の女優さんはすごく層が厚いですが、カナちゃんは僕の舞台を観にきてくれていたりと以前から縁があって、ご一緒できたらいいなとずっと思っていました。本作への出演が決まって衣装合わせでお会いしたときに、さつきと自身の境遇が似ているという話を聞きました。僕より彼女の方がさつきの気持ちはわかっていたと思います。なので、このシーンではこういう部分を見せたいというのはしっかりと伝えましたが、それ以外は彼女に委ねています」

 

-撮影の裏話を教えてください。

「居酒屋のシーンは昼間撮影したので、明かりを綺麗に見せるために煙をたくさん焚いたのですが、6分半の間に煙が綺麗に無くなっちゃって(笑)。俳優の演技に集中していると気づかないかもしれないですが最初と最後では全然違うので、そういうところにも注目していただければと思います」

 

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STORY

思い出すのは、遠くはなれた家族のこと。

生き別れてしまった父と娘の切なくも心に沁みる5日間の物語

 恋園神社のある小さな田舎町。年に一度の祭りが近づいた日、さつき(倉科カナ)は、25年前に姿を消した父の六郎(立川談春)を探しにその町へやって来た。宿に向かう途中、偶然にも六郎を知るテキ屋の清太郎(市原隼人)と出会い、祭りの取材をしたいという嘘をついて町を案内してもらうことにする。

 散策しながら次第に明らかになる現在の六郎の生活。さつきは意を決して、父の新しい家族――奥さんの玉枝(原田知世)と彼女の一人娘に会いに行こうとする。会いたくても会えなかった父と娘の本当の想いは届くのか……。

 

『あいあい傘』

出演:倉科カナ 市原隼人 トミーズ雅 立川談春 原田知世

監督・脚本:宅間孝行

主題歌:竹内まりや『小さな願い』(ワーナーミュージック・ジャパン)

配給:SDP

©2018 映画「あいあい傘」製作委員会

公式ホームページ

 

映画『あいあい傘』は10/26(金)より全国ロードショー


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