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フライング・ポストマン・プレス 名古屋版

2018/06/08

本日公開!映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』李闘士男監督インタビュー

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「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。どういうことなのでしょうか?」。

2010年、「Yahoo!知恵袋」に投稿された質問がたちまち話題を呼び、ついに映画化! メガホンを取ったのは、日本を代表するコメディ映画監督、李闘士男監督。撮影の裏話からご自身の夫婦観までたっぷりと話を聞いた

 

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★妻ふり_main1_s©︎2018「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」製作委員会

 

—榮倉奈々さん演じるちえの死んだふりからラストシーンまでの流れが絶妙でした!

僕のシナリオの作り方は、まず全体のハコとなるような大きなあらすじ、構成を考えます。次に場面ごとに具体的なエピソードを組み込んで、最後にセリフを入れます。ハリウッド式と言われる作り方を韓国で教わりました。今回、構成やエピソードは僕がメインで考えましたが、最後に脚本の坪田文さんが素敵なセリフを書いてくれました。

 

—「月が綺麗ですね。」というちえのセリフが印象的でしたが、これも坪田さんが書かれたものなのでしょうか。

あれは僕が考えたんですよ(笑)! ちえの安田顕さん演じるじゅんへの気持ちを急に言うと嘘っぽく聞こえてしまうので、「月が綺麗ですね。」でその思いをほのめかしつつ、ちえのミステリアスな世界観を壊さないように心がけました。

 

—劇中ではちえとじゅん以外にも様々な関係性の夫婦が登場します。

ちえとじゅんの加賀美夫妻中心に描いてしまうと、2人のキテレツさからどうしても、その存在が浮世離れしてしまうので、いろんな夫婦の形やあり方を描くために、大谷亮平さんと野々すみ花さんの佐野夫妻や八百屋の夫妻を描きました。でも僕は、『妻ふり』のテーマは「夫婦」ではなく、「優しさ」であると思っています。優しさの正体は相手を思うことだからこそ、相手のことを考えすぎて苦しんだり誤解が生じたりしてしまう。それでも夫婦である以上コミュニケーションを取り続けなくてはいけない。そのコミュニケーションの取り方として、ちえは死んだふりをするという突拍子もない行動を選んだというだけですね(笑)。人間関係ってストレスに感じることがあると思うけど、その分、人間関係からしか喜びって生まれないんですよね。だから、「相手を思いやることは、邪魔くさかったり誤解が生じたりすることでも、こんなにも素敵なことなんだよ」というメッセージが伝わっていると嬉しいです。こういった生きていく上で大切なことは、偉い人から学ぶより、どこか抜けている人から学ぶことの方が響いたりするんですよね。浅野和之さん演じるじゅんの上司、蒲原みたいな何か抱えている人が放つ言葉の重みって大きい。ちえとじゅんはそういった言葉から大切なことを感じ取ることが出来る夫婦だと信じています。

 

—脇役の個性も光りますね。

脇役大好きなんですよ! 1番命をかけているのは脇役のシーンと言えるくらい(笑)。例えば八百屋の夫婦にはモチーフがあります。高校まで大阪に住んでいたんですけど、電車の中である年配の女性グループがが「あんたな〜何がな〜何して何やねん」って話していて。それで会話が成立する関係性って驚きますよね(笑)。ちえの「あれ」で通じる“あれあれ夫婦”への憧れを表現するために八百屋の夫婦のシーンを取り入れました。

 

★妻ふり_sub1_s—それぞれの夫婦の描き方で苦労した点はありますか?

ちえとじゅんの関係性ですね。結婚3年目を迎えた特に、このまま夫婦でい続けるのかどうかを決めるという約束をした2人。キテレツな行動をとるけど決してバカではないちえと、バツイチで“結婚3年目の約束”に対する不安で遠慮がちになるじゅんがどういった夫婦になっていくのか。漫画はちえの死んだふりをするというエピソードだけなので、その間にはどういった関係性が隠されているのか考えましたね。ちえとじゅんがベタッとしたラブラブな夫婦だとあまり共感は呼べないと思うので、3年目を迎えていよいよこれから本当の夫婦になるという過程を丁寧に描きました。

 

—榮倉さんが演じるちえはいかがでしたか?

最初に自分が描いていたちえ像を大きく上回ってくれました。僕の中では、ちえはもう少し不思議ちゃん度が高かったのですが、榮倉さんの演じるちえは前半と後半のバランスが素晴らしかったです。前半は死んだふりを思いっきり楽しく振り切って演じていて、後半は夫婦のドラマを丁寧に表現していて。ちえという同一人物を見事に演じ分けていたんですよね。それは、自分の役を客観的に見て、役を深く理解して、演技をコントロール出来る榮倉さんだからこそです! しかも、ちえが顔に墨を塗ってパンダになるシーンがあるのですが、そこでも「自分でやります!」と自分から墨を塗っていたんです。普通はメイクさんがやりますからね、本当にすごいわ〜。あ、こんなに褒めていてもお金とか一切貰ってないですからね(笑)。

 

—コミックの実写化というハードルはありましたか?

コミックは、読者が自分の好きなタイミングで言葉を読み進めていって、行間を読んで登場人物の心情を掴むことが出来るけど、映画はすべてを映像化して届けなくてはいけない。例えば、バークリー音楽大学の学長が、「自分の演奏が上手くなりたいなら、人の演奏を聴きなさい」という趣旨のことを言っています。人の演奏に的確に反応できてこそ、自分の音楽の世界観を高めることができると思います。じゅんが発するちえの死んだふりへのウケ方や苦悩、つまり相手の演技への的確な反応が、「分かる、分かる、大変だよね」と周りの共感を呼ぶんです。安田さんの絶妙な受けがコミック実写化というハードルを乗り越えてくれました。

 

—3年目の夫婦に焦点を当ててみていかがでしたか?

どの夫婦も3年目の危機って訪れると思うんですよ。僕だったらじゅんに「死んだふりなんかするちえなんてやめておけ」で終わりだけど(笑)、じゅんはバツイチということもあって「俺に問題があったのかな」と悩んでしまう。夫婦って、自分たち2人だけのルールをつくっていく、ということなんですよね。僕の妻は洗濯物に柔軟剤を入れないんですけど、俺は入れてほしい。でも、何回言っても柔軟剤を入れてもらえないので、もう諦めました(笑)。そう、女の人ってミステリーなんですよ。大奥は無いけど、小さな奥、小奥はどの家庭でもある。僕は自分の嫁のことなんでも知ってるって思ってたけど、まだわからないところが出てくる。大阪のおばちゃんてテレビと喋れるでしょ? 嫁は東京の人だし喋るような人じゃなかったんだけど、最近喋るようになったんだよね。明らかに「あーあ、やっちゃった」ってテレビに向かって喋ってるのに、聞くと「喋ってないよ?」って言う。なんで喋るようになったのかわからない(笑)。ちえを始め、女の人はミステリーですね。

 

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映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』

 

結婚3年目夫婦の独特なコミュニケーションを描く、ハートフル・コメディ!

サラリーマンのじゅんが仕事に疲れて帰宅すると、玄関で妻のちえが口から血を出して倒れていた!慌てて介抱するじゅんだが、傍らにはケチャップ。「ククク……」と倒れていたちえが笑う。「驚きましたか??」ちえは死んだふりをしていただけだったのだ。ホッとして理由を問うも、からかうように笑うだけのちえ。それからというもの、家に帰るとちえは必ず死んだふりをするようになった。ある時はワニに喰われて。ある時は銃で撃たれて。またある時は頭に矢が刺さって…。次第にエスカレートしてゆく「死んだフリ」。最初は呆れるだけだったじゅんだが、何を聞いても「月が綺麗ですね」と笑うだけのちえにだんだん不安を覚え始める。寂しいだけなのか、何かのSOSのサインなのか―。

 

キャスト:榮倉奈々 

     安田顕 

     大谷亮平 

     野々すみ花 

監督 : 李闘士男 

脚本 : 坪田文 

 

映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』は、本日6月8日(金)より全国ロードショー!!

公式サイト

 


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