エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 名古屋版

2017/11/18

11月25日(土)公開!映画『光』大森立嗣監督インタビュー

候補1

 

 

徹底的に人間の闇を描き、ファンの中で特別な評価を得る三浦しをんの小説「光」を、『さよなら渓谷』、『まほろ駅前』シリーズの大森立嗣監督が熱望し映画化。主演の井浦新、瑛太のふたりの狂気と怪物性、長谷川京子、橋本マナミの色気と母性が吸い込まれるような情熱を放ち、観るものすべてが善悪を超えた場所へと誘われる映画『光』。大森立嗣監督に、映画に込めた想いを聞いた。

 

 


 

 

 

――演技や音楽、映像のすべてに引き込まれました。映画化はどのように進められたのでしょうか。

 

『まほろ駅前』の取材を、原作者の三浦しをんさんと一緒にしているときに、「光」を撮りたいんですとお話をしました。小説が面白くてずっと心に残っていたんです。映画化をするには難しい内容だからこそ、挑戦しがいのある小説だと思いました。

 

――三浦さんから何かリクエストはありましたか?

 

小説は3.11の前に書かれたものなのですが、津波の後に殺人事件が起こるというストーリーなんです。3.11以降に映画化をするので、「津波のせいで殺人事件が起きるという誤解がないようにしたい」と、三浦さんはおっしゃられて。映画では津波と事件の順次が逆になっています。ラストシーンも三浦さんのリクエストも取り入れるなど、小説から受ける印象とはまた違ったものになっていると思います。よくある男のヒロイズムではないラストにしてみました。

 

――信之役の井浦さんと輔役の瑛太さんの濃厚なぶつかり合いは強烈です。キャスティングはどのように決められたのでしょうか?

 

新と瑛太とは、以前にも一緒に作品を撮ったことがあったので、2人に対して根本的な信頼感みたいなものがあるんです。『まほろ駅前』シリーズはオファーを受けた作品だったのですが、『光』は僕が自分からやりたいと言い出した作品でもあって、僕にとって大事な映画。なかなか今は、こうした暴力が全面に出る映画を撮るのは難しい時代なのですが、そんな中で勝負をかけて撮りたいと思った時に、『まほろ駅前』で演じた真面目な多田とは違う役に挑戦したいと話していた瑛太と、ドラマの現場で「瑛太君と共演してみたい」と話していた新、それぞれが頭の片隅に残っていたんですよね。それで2人が良いなと思って。普通なら事務所にオファーの連絡をするものですけど、直接2人に電話で出演をお願いしました。そうして始まった作品なので、僕の思い入れが伝わったのではないかなと思います。

 

――お2人も大森監督を信頼しているからこその演技ではと感じました。

 

そうですね。頭で思っていることを言葉にするというのは結構難しいものなのですが、信頼関係があれば、言葉がなくてもコミュニケーションが取れる。俳優さんがお芝居をしやすいように現場の雰囲気を作っていることなどから、彼らは何かを感じ取ってくれますし、彼らには、特に何も言う必要がありませんでした。ちょっとやってみてとテストをして、そのまま撮っていく。僕の現場は、上手くいっている時はそんな風に静かに進んでいきますし、反対に、僕が細かいことを言ったり怒鳴ったりという時は、現場があまり上手くいっていない時なんですよね(笑)。

 

――出演者の皆さんそれぞれにハードな挑戦だったと思います。現場ではいかがでしたか?

 

新と瑛太は、大変さを見せもしなかったですね。長谷川さんは、撮影の日数が短かったので大変だったと思います。映画の後半の大変なシーンを、彼女は二日間で撮影しなければならなかったので、僕も厳しく演出をつけた部分もあるのですが、僕としては「皆が知っている長谷川京子のままでは終わらないぞ」という気持ちがあった。結果的に、凄くいい表情を撮ることができました。橋本さんは、この中では演技経験が少ない方ですが、彼女は僕のワークショップの生徒として演技の勉強をしていたので、どういう芝居をするか、どんなことができるかということは、なんとなく分かっていたので心配はしていなかったですね。

 

――橋本さん演じる信之の妻・南海子は唯一過去が描かれない役。立ち姿だけで想像を掻き立てられるものがありました。

 

この人物にはこういう生い立ちがあって、ということを俳優さんに説明をする演出家もいるとは思いますが、僕はそういったことはしないですね。そういうことは頭で理解すること。それよりも、俳優と俳優が向き合った時に相手がどういう呼吸をして、相手がどういうトーンで、どんな表情でセリフと言ったか、ということに対して自分の身体で反応してもらうように作っています。目を伏せた表情や、着ている洋服といった積極的に見せようとしている部分ではなく、溢れ出てきてしまうものを映画では見せていかないとダメだと思っています。

 

――美花の少女時代役の紅甘さんも存在感がありますね。

 

美花役はオーディションで、結構な人数の中から選びました。紅甘は独特なんですよね、色気があるんです。色気というのはセクシャリティということではなく、人間としての色っぽさ。演技もすごく頑張ってくれてとても良かったですよ。

 

――FLYING POSTMAN PRESSの読者にメッセージをお願いします。

 

この映画は、頭で観ないで全身で観て体感していただきたいです。取っ付きにくい作品ではないですし、刺激を求めている若い読者さんが多いと思いますので、楽しんでいただけると思います。

 

 

 

 


 

<キャスト>

井浦 新 瑛太 長谷川京子 橋本マナミ

梅沢昌代 金子清文 中沢青六 足立正生 原田麻由 鈴木晋介 高橋 諒

笠 久美 ペヤンヌマキ 福崎那由他 紅甘 岡田篤哉 早坂ひらら

南 果歩 平田 満

■監督・脚本:大森立嗣(「まほろ駅前」シリーズ)

■原作:三浦しをん(「光」集英社文庫刊)

■音楽:ジェフ・ミルズ

■配給:ファントム・フィルム

■公式サイト:http://hi-ka-ri.com

©三浦しをん/集英社・©2017「光」制作委員会

(R15+)

 

11月25日(土)より伏見ミリオン座ほか全国ロードショー!!


PR
2017.11.20号
monthly cover artist
デジタルブックを立ち読みする

フライング・ポストマン・プレス HOME