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フライング・ポストマン・プレス 名古屋版

2017/03/10

映画「彼らが本気で編むときは、」桐谷健太、荻上直子監督スペシャルインタビュー

掲載候補1

 

撮影初日に監督から「少し笑顔が多すぎませんか?」と言われ、

自分はマキオの優しさを説明しようとしていたなと。

きっとマキオは外から見た優しさでは無くて、そっとそばに寄り添うような人。(桐谷)

 

 

『かもめ食堂』『めがね』など、日本映画の新しいジャンルを築いてきた荻上直子監督。5年ぶりの最新作映画『彼らが本気で編むときは、』は、日本でも急速に関心が高まりつつあるセクシュアル・マイノリティ(LGBT)の女性リンコを主人公として物語に取り込んでいる。荻上監督がアメリカから帰国後に感じた身の回りのセクシュアル・マイノリティ率の減少。そんな違和感が映画作りへと向かわせた。名古屋市内で行われた会見で、荻上直子監督とマキオ役の桐谷健太さんに本作への想いを聞いた。

 

 

 

 

―リンコが突飛なキャラクターではなく、とても自然で日常の中に溶け込むように描かれていたことに感動したのですが、一番大切にされたことはどのようなことでしょうか。

荻上:日本では、芸能界や水商売の世界でセクシュアル・マイノリティの方達がきらびやかに活躍していたりはするのですが、日常の中ではほとんど出会う事が無いという現状に違和感を感じたんです。隣に住んでいるかもしれない日常にいるような人たちのことを描きたいと思いました。いないはずは無いので、見えていないだけなんですよね。日常に生きている人を意識して描きました。

 

 

―桐谷さんと生田さんをキャスティングされた理由は。

荻上:映画のきっかけが、トランスジェンダーの女の子にお母さんが偽物のお乳を作ったという新聞記事を読んだことだったのですが、その女の子がとても綺麗なお嬢さんで。そのイメージが強く残っていたので、綺麗な人にリンコをやってもらいたいなと思って、生田さんにお願いしました。リンコのパートナーのマキオには、物理的にも精神的にも大きな人に演じていただきたかったんです。桐谷さんは30歳を超えてから大人の男の色気がすごく出ていて、マキオのイメージにぴったりだと思いました。

 

 

―桐谷さんは、脚本を読まれたときどのように感じられましたか。

桐谷:すごく面白い作品だと思いました。今、オリジナル作品が減ってきている中で、監督が脚本を書かれそれを撮られるということもとても楽しみだったんです。ですから映画になった作品を観たときの感動が大きかったですね。台本を読んだときよりもさらに泣けました。

 

 

―今回のマキオという役柄は、これまでの桐谷さんとは違うイメージを受けました。どのように役作りをされたのでしょうか?

桐谷:トランスジェンダーの友人や監督から話を聞いたりしました。監督の今までの作品からは、空気を撮る人だなと感じたんです。だから借り物の服と言葉でフリは出来ても、血が通っていなければ、全然話にならないだろうなと。ただ座ってるだけでも、その人となりが滲み出る存在であらねばと。マキオがリンコさんを愛する気持ちや、そばにいたいという気持ちは、僕の中にある気持ちと何ら変わらない。それを核にして、話し方や佇まい、マキオがこれまで経験したり感じたことなども混ぜ合わせて、無垢なマキオになっていったという感じです。撮影初日には、監督から「少し笑顔が多すぎませんか?」と言われ、自分はマキオの優しさを説明しようとしていたなと感じました。きっとマキオは外から見た優しさでは無くて、そっとそばに寄り添うような人。監督の一言のおかげで、余分な物が取れて、もっと純正にマキオとして存在することが出来ました。

 

 

―映画の中では美味しそうなリンコさんの手料理も印象的ですね。

荻上:トモはコンビニのおにぎりしか食べていないような子供だったので、フードスタイリストの飯島さんに「食卓に出てきて嬉しくなるような家庭料理をお願いします」とリクエストしました。

桐谷:家庭の温かさを感じるという意味では、食卓のシーンはすごく重要だと思います。斗真に言われてから思い出したのですが、食事シーンで何度か撮り直しがあって、ワンカットで最初から撮ると唐揚げを毎回食べるので、最終的には20唐揚げぐらい食べていました(笑)。でも美味しかったです。この映画を観た時、自分の子供の頃を思い出しました。家族で囲んだ食卓だったり、帰り道の紫色の空の色の感じだとか、そういう雰囲気の匂いのある映画なんです。

 

 

 

 

<STORY>

優しさに満ちたトランスジェンダーの女性リンコと、彼女の心の美しさに惹かれ、すべてを受け入れる恋人のマキオ。そんなカップルの前に現れた、愛を知らない孤独な少女トモ。

桜の季節に出会った3人が、それぞれの幸せを見つけるまでの心温まる60日。

 

 

■出演:生田斗真 / 柿原りんか ミムラ / 小池栄子 門脇麦 柏原収史 込江海翔 りりィ 田中美佐子 / 桐谷健太

■脚本・監督:荻上直子

■配給:スールキートス

©2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

ミッドランドスクエアシネマほか、全国の上映劇場にて絶賛公開中!

 


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