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フライング・ポストマン・プレス 名古屋版

2016/11/21

12月10日(土)公開、映画「アズミ・ハルコは行方不明」主演・蒼井優、監督・松居大悟スペシャルインタビュー

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地方都市の独身OL安曇春子(28)の失踪事件の背景と行く末を、“アラサー、ハタチ、女子高生“の三世代の女の子たちの生き方を浮き彫りにしつつ描いた山内マリコの青春小説を映画化。

映画「アズミ・ハルコは行方不明」は、今の日本映画を担う、若き作り手たちの才能がぶつかり合い、胸がザワつくエネルギーと愛に満ちている。

名古屋市内で行われた会見で、主演の蒼井優さんと松居大悟監督に、本作への想いを聞いた。

 

 

—この物語に出会われた時、どんな点に惹かれたのでしょうか。

松居:三年前、同年代の監督と僕ら世代にしかできないことがやりたいよね、という話をしていたときに、この原作小説が出版されました。主人公の安曇春子が、当時の自分と同じ28歳で。そこでぐっと入り込んで読んだときに、春子は行方不明になるんだけれど、グラフィティアートによって、存在がどんどん拡散されて増幅していくという描写が映像的だなと思いまして。もちろん文字で読んでも面白いけど、これは動いている絵として想像した時に、何か可能性を感じると思ったんです。「行方不明」という言葉も、ネガティブではなく、そこには爽快感があって。今の日本では、悲しいニュースだけ発信して終わりになってしまうけれど、この作品では、その向こう側を描ける気がしました。

蒼井:私は、自分の話だと思ったんです。この作品が、ちょうど30歳になる年の最初のオファーで、私は安曇春子と同じ経験をしたことがないのに、安曇春子が味わっている感覚は全部味わってきたぞと思ったんです。そのことを現場の女性スタッフに話したら、みんなも自分の話だと思ったと言っていて、春子が経験したような過去の恥ずかしい話なんかをして盛り上がったんですよね。

 

 

—蒼井さんと監督とプロデューサーが同い年という、このチームでの映画作りはいかがでしたか?

蒼井:それまでは俳優部で同年代の仲間を見つけていたけれど、そうじゃない部にも仲間を見つけられて、すごく嬉しいと思ったし、この心強さがあればどこまでも飛べるぞと思ったんです。

何よりも今回の作品は、私たち世代が作っていく映画という、これまでよりも広い目を持って取り組むことができました。自分は映画界にいる人間なんだなということを、初めて実感した経験でした。

 

 

—三世代の女性を描くということに難しさは?

松居:監督という立場上、現場を引っ張っていかなければならないので、「女性ってこういうもんだ」とか、僕が決めた方がみんなも動きやすいのですが、今回は反対に、決めつけないということをすごく意識しました。

女性というものが男だから分からないという部分もあるけれど、各世代の女性がどういう痛みを持っているのかを、凄く理解したいと思って、現場でスタッフ達から受けるものを一緒に背負っていきたかったんです。決めなきゃいけないのに決めない、指示しなきゃいけないのに相談する。そういう感じで、とにかくみんなと肩を組んで、走っていく方向へ連れて行ってもらうという感覚はありました。

女性スタッフ達が、この作品を自分の話だと思っているからこそ、はね退けられないくらいの圧で来るので(笑)、その中で判断をしていったことが、この映画の力強さになったんだと思います。

 

 

—これまで以上に攻めた作品だと感じますが、一番の挑戦はどんなところでしょうか。

松居:製作が危ぶまれた時期があって、これがもしダメだったら自主製作でもやろうとクランクインに踏み込んだ時は、めちゃくちゃ攻めましたね。その想いに共感してくれた人が集まってくれて、綺麗に纏めてしまったら失礼だなと思ったからこそ、前のめりに作ることも出来ました。信頼できる仲間がドラクエみたいに集まってきて、この人たちとなら死ねるなと思って。だからこそ海に出ようという感覚でした。

蒼井:信じられないくらいの熱量が最初の顔合わせの時からあったんです。プロデューサーが名乗るのも忘れて、「とにかくこれはビジネスとかではなく、想いだけで最後まで作ります!」と熱い気持ちを伝えてくれて。あれはすごくいい体験でした。

私が挑戦したのは、何もしないということでした。とにかく「安曇春子は自分だ」と、私が思ったように、台本を読んだスタッフ達も同じように思っているから、そこに自分が要素を足したらみんな「私じゃない」というふうになってしまうと。それだけ面白みが減ると思っていたので、なるべく引ける限り引いて、ただカメラの前に立つという。これは結構怖いんですけど。

松居:普通だったら足し算してカメラの前に立った方が安心するんですよね。その中で、どんどん引いていったから丸腰だったよね。

 

 

—「名古屋」や「ドラゴンズ」といったキーワードが、効果的に登場するのも面白いです。

松居:春子の同級生の今井さんがドラゴンズの人と結婚したり、愛菜の同級生のユキオも一度は名古屋に行ったけれどうまくいかなくて地元に戻ってきたり。名古屋は憧れの街というか…東京だと分かり易すぎるので、名古屋の空気を知らない物語の中の人達にとって、煌びやかで、凄く近いようで凄く遠い憧れの街として、名前をお借りさせていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

■映画「アズミ・ハルコは行方不明」

監督:松居大悟

原作:山内マリコ「アズミ・ハルコは行方不明」(幻冬舎文庫)

出演:蒼井優 高畑充希 大賀 葉山奨之 石崎ひゅーい 

菊池亜希子 山田真歩 落合モトキ 芹那 花影香音/柳憂怜・国広富之/加瀬亮

配給:ファントム・フィルム

12月10日(土)よりセンチュリーシネマほかにてロードショー!


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