エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス

2012/07/27

【インタビュー】矢野顕子、ライブアルバムの決定版を8/8にリリース!

毎回、最大の最善を尽くしているライブ
若い人たちにもぜひ聴いていただきたいな

 

ソロとしては2年半ぶりとなる矢野顕子の新作は、近年ブルーノートなどで収録された音源によるライブベストアルバム『荒野の呼び声―東京録音―』。まるでステージの間近で聴いているような迫力と、スリリングなセッションの興奮に包まれる最高のライブ音源だ。


 

――とても迫力のあるライブアルバムでした!

 

 

ありがとうございます。ライブは毎回、その時々最大の最善を尽くしてやっていますが、今回のアルバムは、その時点での一番いい演奏の中から選んだものになっています」

 

――アルバムの前半は、’09年と’10年に行われたブルーノート東京での音源ですね。


「はい。ブルーノート東京では毎年演奏させていただいてますが、クリス・パーカー(Dr.)とウィル・リー(B.)とのバンドの成熟度は年ごとに上がっていってるんですよ。今回収録されている演奏も、トリオとしての関係性がすごく凝縮されているものになったなと思っています。このバンドは個々のミュージシャンとしての能力もさることながら、この3人でしか出せないもの、3人が合わさった時のバンドの能力っていうのが非常に高いんですね。3人とも、このバンドを心から楽しみにしてるんですよ」

 

――音源を聴いていると、そのテンションやエネルギーまでもが伝わってくるようです。では、後半に収録されているNHKホールでの演奏はいかがですか?

 

「これは私の『さとがえるコンサート』になるんですが、この時のバンドでは、ブルーノートでやってる時とはまた違う音楽の面を使っているので、これはこれで本当に楽しみなんですよね。誰ひとり欠けてもできない、そういう4人の演奏です」

 

――『さとがえるコンサート』(’96年よりスタート)も長く続いていますね。

 

「そうですね。やはりバンドとして、互いのコミュニケーションの質が高くなってきてますし、人間としての信頼も厚くなってますから、音の交換もすごくスムーズになってきましたよね。みんなすごく楽しんでますよ」

 

――『ウナ・セラ・ディ東京』(ザ・ピーナッツのカバー) と『Whole Lotta Love』(レッド・ツェッペリンのカバー) が一緒に聴けるステージは、矢野さんならではだと思います(笑)。

 

フフフ。そうかもしれないわね(笑)」

 

―今回もいろんなカバー曲が収録されてますが、矢野さんのカバーと言えば、ひとつのオリジナル曲のような存在感ですよね。

 

は10代の時にジャズ・ミュージシャンの真似事のようなことをやっていたんですけど、ジャズっていうのは、スタンダードと呼ばれるようなある程度決まった曲があって、それをテーマとして最初に演奏し、それをどのように発展させるか、どのようなソロを繰り広げるかというような技をみんなで楽しむものなんですね。ですから基本的に人の曲をやって当然なわけです。今はそうでもなくなりましたが、オリジナルの曲はレコード会社の人が嫌がるくらい(笑)。それよりも既存の曲をどう料理するかのほうがわかりやすいし、求められていたわけです。そういう土壌があるので、私の場合、カバーだからっていう特別感がないんですよ」

 

――ひとつの曲として、フラットな状態で向き合っていらっしゃるんですね。

 

「そうね。カバーを演奏してるっていう意識もまったくないですし、オリジナルの曲も人の曲も、同じようにかわいい我が子って感じですよ(笑)」

 

――そういう意味で言うと、今回はまた特別に愛おしい“我が子”が加わりましたね。新曲『こんなところにいてはいけない』、素晴らしかったです。

 

「ありがとう(笑)。これは歌詞が糸井(重里)さんとの共作になるんだけど、もともとは5年ぐらい前に彼から届いた詞なの。それに私がちょこちょこと曲を付けた段階で止まってたんだけどそこから震災があって。もう一度見直してみたら、“この曲、いいんじゃないの!?”と。それで一気に完成させたんです」

 

 ――もうライブでも歌われているんですよね。

 

「はい。今回はスタジオ録音ですけど、ライブでは歌っています。この歌は聴いてる人と会話するように、こういうことが言いたい、届けたいという気持ちで歌っていますから、最初に歌ってたくさんの拍手をいただいた時は本当にうれしかったですね」

 

――矢野さんにとって、糸井さんの言葉というのはどういうものですか?

 

「彼は、私の“こう言いたいんだけどうまく言えない”ってことをパパッと言葉にしてくれる人なのよね。いなくなられると困るの(笑)」 

 

――それは私たちも困ります(笑)。

 

「彼は作詞家としてはもう引退したと言ってますけど、私との作業はこうして続けてくれてるのでありがたいです。ちなみに彼とは最初に作り始めた時に、“イトイだから、1101曲作ろう”って言ってますから、あと1000曲ぐらいは作るんじゃないかな (笑)」

 

――楽しみにしてます(笑)! さて、楽しみと言えば今月はたくさんライブがありますね。

 

「はい。今回もいいものにしよう、楽しいものにしようという気持ちでひとつひとつ臨みたいと思います。今回の音源が私の音楽に触れるきっかけになって下さったら、また、若い方にもぜひ聴いていただけたらという気持ちでいます。もしよろしければ、次はぜひ“ライブをライブで”観ていただけたらと思っています」

interview & writing by Kuniko Yamada



 
矢野顕子(やの あきこ)
ニューヨーク在住のシンガーソングライター&ピアニスト。高校時代からジャズクラブなどで演奏を始め、’76年にアルバム『JAPANESE GIRL』でソロデビュー。ジャンルにとらわれないユニークかつ自由な音楽スタイルで、若い世代のミュージシャンからの支持も熱い。

 http://www.akikoyano.com/

 

<矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー and クリス・パーカー>

8/15(水)・16(木) 名古屋ブルーノート

8/18(土)・19(日)、21(火)・22(水) ブルーノート東京

8/24(金)・25(土) ビルボードライブ大阪

 









『荒野の呼び声―東京録音―』

¥3,150

YCCW-10175

※  8/8 on sale




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