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2013/09/05

珠玉の“選挙ドキュメンタリー”! 映画『立候補』がロングラン公開中

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“泡沫候補”という言葉をご存知だろうか。

選挙に立候補したものの、当選する見込みの極めて低い候補者。特殊候補。インディーズ候補とも呼ばれる人々のことだ。本作はそんな泡沫候補たちを捉えた選挙ドキュメンタリー。その中心に据えられるのはマック赤坂。これまで幾度となく選挙に立候補し、その度に惨敗を喫してきた、筋金入りの泡沫候補だ。

選挙の時、ピンクでまとめたド派手な衣装に身を包み、街頭でヘンテコなダンスを踊っている人と言ったほうが思い出しやすいかもしれない。肩書きはスマイル党総裁。アメリカ西海岸のセレブスマイルをモデルに、インドのヨガのテイストを加えたメソッド“スマイルセラピー”を普及させるために活動している…と説明すると大抵の人はこう思うはずだ。

“怪しさこの上ない”と――。

 

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マック赤坂は立候補の届け出の時から選挙管理委員会の委員長に不平不満を訴え、大阪府庁前でディスコミュージックをBGMに踊り、NHKで流れる政見放送を観て「俺が観ておもしろいんだから、これはおもしろいだろう」と、なぜかマニフェストではなく“おもしろ度”に執着する。そんな序盤の彼を冷笑する人、「真面目にやれ!」と怒る人、「観てられない」と目を背ける人…さまざまいるだろう。

それでも、断言できることがふたつある。

・序盤で彼を「がんばれ!」と応援したくなる人はいないだろうこと。

・それでも悔しいかな、引き込まれるであろうこと。

 

ドキュメンタリー映画においては、監督がどれだけ対象人物の人生に踏み込み、それを観客に説得力を持って届けられるか、そこがすべてと言ってもいい。

本作の指揮をとった藤岡利充監督はその点、見事に対象を捉えきっている。マック赤坂本人だけではない。彼を支えるスタッフや家族の心の内も丁寧に捉えることで、マック赤坂という人間の輪郭をさらにはっきりと映し出し、マック赤坂自身が語らない彼の心の奥底に潜む真実をも浮かび上がらせている。

さらに特筆すべきはその編集力だ。笑いと涙が入り交じる“選挙エンターテインメント”に仕上がったのも、監督の巧みな編集があればこそだろう。

 

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いいドキュメンタリーには、ドラマがある。

思いっきり笑い、バカにして観ていた人たちこそ、本作のクライマックスで必ずガツンとやられるはずだ。そのドラマに心震え、涙が溢れ出るはずだ。

選挙を題材にしているからと言って、むずかしいことはなにもない。泡沫候補を捉えているからと言って、胡散臭いことなんてない。選挙に関わる人々の強烈なドラマが、そこには確かに広がっていた。

 

 

 

映画『立候補』

http://ritsukouho.com/

’13/日/100分

監督:藤岡利充

出演:マック赤坂、羽柴秀吉、外山恒一、他

※ポレポレ中野 他全国順次公開中

(C)2013 word&sentence

 


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