エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス

2012/03/30

【映画紹介】『少年と自転車』


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施設に預けられている12歳の少年シリル。父親が迎えに来ると信じている彼は、周囲の言葉に耳を貸さず何度も施設を抜け出し、必死で父に会おうとする。そんな時、偶然出会った美容室を営むサマンサに週末だけ身元を引き受けて欲しいと頼み、共に父親を探し始めるのだが…。



『ロゼッタ』(’99)でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、続く『息子のまなさし』(’02)や『ある子供』(’05)でも数々の賞を受賞している名匠ダルデンヌ兄弟監督の最新作。’03年に監督が来日した際に少年犯罪シンポジウム聞いた日本人の実話である、“親に捨てられ希望をなくした少年”の話にヒントを得て、愛されずに育ったひとりの少年の成長を描いている。


数々の苦難を乗り越え、唯一の心の拠りどころだった父親を探しだすも、父の態度は冷たい。親に見捨てられたことを知り、さらに心を閉ざしていくシリルはサマンサに反抗し、ひどい態度を取ってしまう。しかし、サマンサは根気強く彼のそばにいることを選ぶ。説教はせず、行動を縛りつけもせず、ただ共に暮らす彼女からはシリルのことを本当に心配し、愛情を持って接していることが伝わってくる。

ふたりの関係を通して、どんなに辛い境遇であっても人との繋がりが生きる希望になるということを丁寧に描いた本作。厳しい現実の中に生まれた確かな愛情とやさしさを、淡々とした語り口ながら力強く訴えかけており、観た後には爽やかな感動と幸福感をもたらす。


サマンサを演じるのはフランスを代表する女優のひとり、セシル・ドゥ・フランス。そしてシリルを演じるのはオーディションを勝ち抜き、今作がデビューとなるトマ・ドレ。言葉少なく展開していくふたりの関係を繊細に演じた、その素晴らしいコンビネーションにも注目したい。




【映画情報】

『少年と自転車』

’11年/ベルギー・フランス・イタリア/87分

脚本・監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ

出演:セシル・ドゥ・フランス、トマ・ドレ、ジェレミー・レニエ、他

※3/31(土)より全国順次公開


© Christine PLENUS



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