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2012/03/02

映画紹介】『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

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’79年、初の英国首相の座についた女性マーガレット・サッチャー。強く厳しいその姿勢から“鉄の女”と呼ばれていた彼女は政界から退き、86歳になっていた。子どもたちは独立し、夫は8年前に他界。ひとりで晩年を過ごすマーガレットは夫の幻想にとりつかれ、遺品整理をすることができないでいた。

ある日、自叙伝にサインをしていた彼女は、ふと自分の人生を振り返る。自分が育った家庭、オックスフォード大学を卒業したこと、夫からのプロポーズ、そして政治家としての歩みを…。



3度の総選挙を勝ち抜き、一時期は73%もの支持率を誇った元英国首相マーガレット・サッチャーの人生を映画化。現在も健在ではあるが、’08年に実の娘の手による回顧録で認知症に苦しんでいることが発表され話題を呼んだ。“鉄の女”と呼ばれた彼女も、普通の人間であり、老いて弱くなるという事実に衝撃を受けた脚本家が本作を執筆。頂点に上りつめた人間が権力を失うことの寂しさに焦点を当てながら、マーガレットの政治家人生を情感豊かに描いている。


野心溢れる政治家だった当時には気付かなかった、子どもと夫に強いた犠牲について考える晩年のマーガレット。後悔の念と共に頭をよぎるのは、 “夫は自分と結婚して幸せだったのか?”という疑問。彼をもっと大切にすべきだったという、すでに届くことのないその想いから夫の亡霊にとりつかれているのだ。現実と幻想との境界があいまいになった晩年のマーガレットと、政治家としてのし上がっていく頃の彼女が交錯させることで、老いによる喪失感と孤独がより際立っている。


そのマーガレットを迫力たっぷりに演じるのは、ハリウッドきっての演技派女優メリル・ストリープ。アカデミー賞ノミネーション最多17回という前人未到の記録を持ち、本作ではなんと30年振り3度目となるアカデミー賞主演女優賞を受賞した。アメリカ人の彼女はマーガレットの微妙なイギリス英語のアクセントに始まり、仕草や見た目も完全にコピーしており、その姿はマーガレットが乗り移ったかのよう。そして、政治家としてステップアップするごとにみなぎる自信、ただの人として老いていく悲しさなど、波乱万丈な人生の中の細やかな心情の揺らぎを見事に演じきっている。今作でのアカデミー賞受賞も納得の、圧巻の演技を堪能して欲しい。



【映画情報】

『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

http://ironlady.gaga.ne.jp/

’11年/英/105分

監督:フィリダ・ロイド

出演:メリル・ストリープ、ジム・ブロードベント、アレキサンドラ・ローチ、ハリー・ロイド、アンソニー・ヘッド、リチャード・E・グラント、他

※3/16(金)より全国公開



(C)2011  Pathé Productions Limited , Channel Four Television Corporation and The British Film Institute.



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