エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス

2011/09/09

映画紹介『家族X』

(C)PFFパートナーズ

【story】
主婦・路子(南果歩)は毎日手作りでバランスのよい食事を作り、ワイシャツをきれいにアイロンがけし、庭のガーデニングにもぬかりがない。しかし顔には生気がなく、夫・健一(田口トモロヲ)と息子・宏明(郭智博)とのコミュニケーションがないことで心がすり減っている。なんとか見せかけだけは平穏な家庭を保ってきた路子だったが、奇行が目立ち始め…。


『川の底からこんにちは』を送りだした「ぴあフィルムフェスティバル(PFF) スカラシップ」の最新作『家族X』。PFFアワード’08年にて、『症例X』で審査員特別賞を受賞した29歳の新鋭監督・吉田光希のデビュー作だ。

『症例X』では、統合失調症と若年性痴ほう症の母と向き合う息子、その過酷な在宅介護の日常について描いた吉田監督。今作でも前作同様に“家族”をクローズアップ。「この映画を通して、自分と家族の関係を見つめ直す場となることをめざした」と監督が語るように、本作では現代の家族のあり方に真摯に向き合っている。

閑静な住宅街に並ぶ一軒家に住む、どこにでもいる普通の家族。その“普通”がはらんでいる不安定さや危うさを、独特のカメラワークで表現。路子が崩壊していく様をそのカメラワークでじっくりとあぶり出し、緊迫感たっぷりに映し出す。
その次第に不安定になっていく路子を南果歩、現代を象徴するような会社にも家庭にも居場所のない夫・健一を田口トモロヲが好演。物語に圧倒的な真実味を与えている。

本作が語るのは希望なのか、絶望なのか。観た後に家族や現代社会にさまざまな思いを巡らせたくなるような、社会派の良作が誕生した。



【映画情報】
『家族X』
www.kazoku-x.com
’10年/日/90分
監督・脚本:吉田光希
出演:南果歩、田口トモロヲ、郭智博、筒井真理子、村上淳、森下能幸、他
※9/24(土)より、ユーロ―スペース他、全国順次公開




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