エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 関西版

2018/12/14

【インタビュー:柴田淳】6年ぶりの全国ツアーを前に“柴田淳節”を出し尽くした新作とライブに懸ける思いを率直に語る

SPECIAL_INTERVIEW

shibatajun_topshibatajun_main

JUN_SHIBATA

shibatajun_read

 

shibatajun_01

 

 

 

――今作は『ブライニクル』というタイトルがとても印象的です。“ブライニクル”とは、南極の海中で起こる自然現象のことで、触れた生物を死に至らしめる“死のつらら”と呼ばれているそうですが、インスパイアされたきっかけは?

 

「“ブライニクル”というのは創作中に知った言葉なんです。創作中は誰とも連絡を断っていて、テレビも一切見ないんですけど、映画やYouTubeは観ていたので、サイエンス系の番組でこんな恐ろしい自然現象があるのかと衝撃を受けたんです。神秘的で現実と思えない映像でもあったんですけど、それと私自身の状況がリンクしてしまったというか…」

 

――それはどういった状況だったのでしょう?

 

「創作中、私が殻に閉じこもっている時に誰かが間違って連絡しちゃったりしたら、キーってなっちゃうので(笑)。それが、触れたら凍りついちゃうっていうブライニクルのようだなと…。あと、今回のアルバム全体が心の中が空っぽで冷え切ってるような、悲しみすらも慣れてしまったような歌が多いので、愛とか恋を感じる自分の心の温かい優しい部分というのを凍らせてしまってるところがあって…」

 

――なぜそのようなことに?

 

「もうすぐ42歳になるんですけど、仕事は順調でも、プライベートが全然充実していなくて…。愛したい、愛されたいとか、恋をしたい感情と向き合っちゃうと苦しくなっちゃうんですね。諦めたわけじゃないんだけど、一生懸命それを気にしないようにしようとしている自分がいて。いちばん大事なものが未だに手に入れられてないっていう自分を認めてはいるし、認めることが辛かったことも慣れてしまっていて。恋愛することなしに生きていくにはどうしたらいいかということばっかり考えていたので、そういう曲ばっかりになっちゃったんですよね。『あなたが泣いてしまう時は』と『嘆きの丘』、『不釣り合い』なんかはまだウォーミーな部分があるな…とは思うんですけど。あとは凍りついてるなって感じはすごくします(笑)」

 

YouTube Preview Image

 

――聴いていると胸に刺さってくるような切なさがあり、それぞれの歌に出てくる主人公には深い悲哀が感じられますが、ラストの『嘆きの丘』を聴き終わった時、救いのようなものを感じました。

 

「『嘆きの丘』というのは自分が求めている癒しを自分で書いちゃったような感じですね。これを書くためにこの1枚があったのかなっていうくらい、この曲が今の自分から出てきたっていうのはうれしかったです」

――『嘆きの丘』は、聴き手にも向けられてるよう感じました。

 

「そうですね。私はここで待ってるから、何かあった時は目を閉じて、いつでもここにおいでっていう歌なので」

 

――今作は、ご自身ではどのようなアルバムになったと思いますか?

 

「最初はちょっと攻撃的なアルバムになってないかなと思ったんです。恋愛ソングなんだけど、棘があって、そういうつもりはなくても、誰かを見下してるように聴こえないかな…と。落ち着いて聴き直してみると、そうでもなくて、ちゃんとアルバムとしてまとまっているなと思いました」

 

shibatajun_sub02

 

shibatajun_02

 

――今回のアルバムは、“とにかく好きな音楽をそのまま作ってみるというコンセプトで始めた”と、HPのライナーノーツに書かれていましたが、そういう風に作られたのは今回が初めてですか?

 

「そうですね。急かされることもなく、時間はあったので。とりあえず自分の好みの曲をどんどん作っていったらいつの間にか10曲、20曲となってて、それでアルバムにしようと思いました」

 

――柴田さんは日常的に曲作りをしているタイプではなく、作る時は集中して曲を作られるんですか?

「“歩いている時に曲が降ってくる”とか、“日々の中でいろんなものが聞こえてきて全部メロディーになっちゃう”とか、1日中ミュージシャンっぽい人っているじゃないですか。私はそういうのは全然わからなくて(笑)。自分を追い込まないと作れないので、締切とかアルバムのスケジュールが立たない限り、曲は一切作らないんです。昔は2週間でアルバムを作ってたんですよ」

 

 shibatajun_sub01

 

――すごいですね! 10曲入りのアルバムとしたら、その曲を2週間で作られるんですか?

 

「そうです。それが普通って教え込まれてたから(笑)。今、デビュー18年目なんですけど、そのおかげで締切は破ったことないんです」

 

――ちなみに、楽曲って何もないところから絞り出せるものなんですか?

 

「元々、私は歌手になりたくて、作詞作曲をするつもりはなかったんですけど…。“これで人生背負う”っていう状況になったら、作詞作曲できるようになりますよ。最初は1年に1曲っていうペースから始めて、2年目は半年に1曲、そして次は3ヶ月に1曲っていう感じで、どんどん作れるようになっていったんです。あとは慣れですね。でも、正直なところバラードはもう歌い尽くした気がしていて、自分自身飽きてきちゃってるんです(笑)。今のスタイルでもやりつつ、もうちょっとテイストを変えていきたいとも思っているんです。次は、一度すべて好きなように作らせてもらおうかなって。“こういうのは柴田淳には合わない”って言われたらどうしよう? とか、そういう邪念や余計な心配はちょっと置いといて。好きなことをやらせてもらえたらなと思っています」

 

――今回も好きなように作ったアルバムではなかったんですか?

 

「今回は、前から憧れていた“サスペンスドラマのエンディングを歌うポジション”で出し尽くしてみたんです。それによって、“柴田淳節”をふんだんに入れたダメ押しの1枚っていうくらいのバラード集になりました。これも好きなことではあるんですけど、もっともっと正直になると、実は私、バラードよりもROCKとかFUNKが好きなんですよ。そっちの友達も増えてきたので。なんかコラボできないかなとか、いろいろ自分で思い描いています」

 

 

――そうなんですね。今後の展開も気になりますが、その前に、この新作『ブライニクル』を引っ提げて、全国ツアー『JUN SHIBATA CONCERT TOUR 2019 月夜PARTY vo.5 〜お久しぶりっ子、6年ぶりっ子〜』が開催されます。6年ぶりということですが、どのようなツアーにしたいと思われていますか?

 

「今回はピアノ、キーボード、ベース、ギター、ドラムと一緒に5人編成で行います。2014年以降まったくツアーをやっていないので、その間のアルバム3枚分はライブをしてなくて。私自身、いろんなアーティストが活躍している姿を見て、嫉妬のような、焦りのような感情を抱いていたんです。曲を作るだけで終わってしまうと、聴いている人に届いてる感があんまりないんですよね。作る時は独りだし、いつものミュージシャンと一緒に地下室にこもって作業して終わりでしょ。私の部屋だけで生きてるような、どうしても届けてるっていう感覚が薄れてきている気がしてて。なんか劣等感に近いものすらも感じていたんです。これってもしかしてライブをやらないからかもって思って」

 

――聴き手の方も、好きなアーティストはやはり生で観たいですから。

 

「そうですよね。やっぱり人に聴かせて感動している姿を見て、拍手をいただいて、ようやく“あー私は歌手なんだ”って感じるので。自分はミュージシャンだ! という自覚を取り戻すためにもライブをやりたいなって思いました。さらに、6年ぶりということなので、全時代の柴田淳を、総復習という感じでやろうと思っています」

 

sgubatajun_0

 

――今月のテーマが“dish”ということで、柴田さんがお好きな食べ物は何ですか?

 

「昔からたこ焼きとお好み焼きがすごく好きなんです。中学の時のお誕生日プレゼントはたこ焼きの鉄板でした。今でも大阪に来るとイベンターさんがいつもたこ焼きをたくさん買って持ってきてくれるし、他の人はお弁当なのに私だけいつもたこ焼きなんです。楽屋に三段重ねくらいでたこ焼きが置かれていたり(笑)。ホテルに戻った時もたこ焼きを買ってきてくれたりしてます」

 

――そもそも食べることはお好きですか?

 

「いちばん好きです。贅沢したいとかブランド物とかに全然興味なくて。楽しみって、やっぱり食べることなんです。本当はいろんなところへ食べに行きたいけど、ひとりでは行けなくて、友達と美味しいものを探して食べに行くのが好きです。私にとって“食べる=生きること”。幸せはやっぱり食べるところから来るんですよね」

 

Interview & Writing by エイミー野中

≪Profile≫
柴田淳 / しばたじゅん

shibatajun_photo

‘76年生まれ。東京都出身のシンガーソングライター。幼少の頃よりピアノのレッスンを受け、20歳の頃より作詞作曲を始める。 ‘01年10月デビュー。’18年10月に通算12枚目となるニューアルバム『ブライニクル』をリリース。シンガーソングライターとしての活動の他にも、楽曲提供、ナレーション、 ラジオパーソナリティなど幅広く活躍している。

 

≪Release Information≫
new album
『ブライニクル』

shibatajun_jk

3,240円(tax in)
VICL-65028
※now on sale

 

≪Live Information≫
「JUN SHIBATA CONCERT TOUR 2019 月夜PARTY vo.5 

〜お久しぶりっ子、6年ぶりっ子〜」
2019年
2/14(木) 大阪オリックス劇場
※関西公演以外のライブ情報はオフィシャルサイトをチェックしてください。

 

OFFICIAL WEBSITE
https://www.shibajun.jp

 

 

 

 


PR
2019.7.20号
monthly cover artist
デジタルブックを立ち読みする
  • facebook
  • twitter
  • instagram

フライング・ポストマン・プレス HOME