2017/10/10
アーティスト、ミュージシャンとして確かなキャリアを有する5人が集まり、2012年に結成されたla la larks。実力派のモダン・ポップ・ロックバンドであり、これまでライブを重視した活動でバンドの基盤を強化し、アニメやゲームの主題歌/エンディング曲にも起用されて人気を獲得してきた。そんな彼らが結成5周年の節目となる今年、ついに1stアルバム『Culture Vulture』をリリースした。今作を完成させるまでに貫いてきた姿勢、大切にしてきたことなど、核となる思いを噛み締めるようにたっぷりと語ってくれたボーカルの内村友美。彼女自身、School Food Punishmentを経て、このla la larksで音楽活動をリスタート。敏腕プロデューサー/アレンジャーの江口亮をはじめ、元GO!GO!7188のドラム・ターキー、元Sadsのベース・クボタケイスケ、THE YOUTHやLOST IN TIMEなどで活躍するギター・三井律郎と出会い、5年かけて丁寧に創り上げてきたのは、今の時代に稀有な理想のバンド像のようにも感じられた。
―― 結成から5周年を迎えて、いかがですか?
「あっという間でしたね。でも、思い返せば、いろんなことがあったなと…」
―― la la larksは、そもそもコンセプトありきでスタートしたんですか?
「いや、全くそうではないですね。自分が(以前組んでいた)School Food Punishment(以下、S.F.P.)を活動休止した時に、音楽活動自体、しばらくお休みしようと思っていたんです。当時、S.F.P.のプロデューサーで、今はla la larksのメンバーの江口さんが、『(音楽は)やめないで、ライブだけは続けた方がいいよ。一回、止まっちゃうと、次始める時にすぐに動けなくなっちゃうから』って。そう言われても、すぐには乗り気になれなかったんですけど。『バンドを組むっていうことじゃなくて、その名(=la la larks)の下に、いろんなミュージシャンが集ってライブをしていくという形でもいいんじゃないかと。その第一回目のライブのボーカルとしてやってみないか?』と、提案してくれて、まずはライブから始めたんです」
―― 内村さん自身、当初はそんなにガッツリバンドを組んで長く続けようっていう感じではなかったんですね?
「はい、最初の一回のライブだけ歌うつもりでしたね…」
―― それがここまで、5年も続けられたのは?
「その最初のライブのリハーサルをした時、すごく楽しくて。音楽やり始めた時のことを思い出すような感じで。いざ、ライブをしてみたら、やっぱり楽しくて。お客さんも喜んでくれたし。賛否両論あると思ったんですけど、これは一回のライブだけでやめてしまうのはもったいないなと。楽しいと思わせてくれたメンバーと一緒に、本当のバンドとしてずっとやっていくよ!っていう意思表明をちゃんとみんなにした方がいいんじゃないかなと思って。自分から、これを正式なバンドにしてくれませんか?って、メンバーに伝えたんです」
―― 内村さんの方から?
「はい、それから早5年ですね(笑)」
―― バンドとしてはすごく良い流れですよね。
「江口さんも、そうなるのを見越してたのかもしれないですけどね。きっと、愛があって、そうしてくれたんだと思うんです」
―― 内村さん以外のメンバーも、それぞれキャリアが長く実力派のミュージシャンが揃ってますよね。一緒にやる中で刺激されることも多かったんですか?
「そうですね。ちょっと安心するっていうのもあるんですけど。江口さんは前のバンドのプロデューサーで、ギターの三井さんはS.F.P.のサポートギターをしてくれていた方なので。ターキーさんは自分が高校の時にコピーしていたバンド(GO!GO!7188)の人で、本当に格上の存在だったので、そんな人と一緒にやれているというのはすごく嬉しかったです。クボタさんは元Sadsの人で、怖いイメージだったんですけど(笑)。実際はすごくやさしい人でした。そんなメンバーが揃っていて、最初はどうしよう?って思ったけど、いざ演奏してみたらすごく楽しかったんです」
―― ここまで、「楽しい!」っていう言葉がたくさん出てきてますね。
「そう、そういう思いで始めたので、それが曲がってほしくないなと思ってて。そのためには、ちゃんと順を追って活動していきたくて。まず曲を作って、それを人に聴いてほしいからライブをする。それは、自分がそこで演奏したり歌ったりするのが楽しいからやっていて、“楽しいからやっている”っていうのがすごく大事だなと思ったんです。それでお客さんがいっぱい集まるようになってきたら、会場も大きくしていって。ライブでやっている曲を家でも聴きたいという人が増えてきたらCDを作りたいって。そうやって、自分たちのお客さんの気持ちや状況とちゃんと比例していくように、このバンドが一歩一歩進んでいけるといいなと思ったんです。バンド組んだから、とりあえずアルバムを作るっていうことではなくて。そうやって、本当に順を追って確かめるようにやってきたことで、自分もわかったことがいっぱいあって」
―― それは例えば?
「バンドをやっていく上で、キラキラしたことは本当に一部分で。それまでの雑務が(笑)すごく多いけど、それをどれだけ丁寧にやるかで、届き方が違ったりするっていうのを実感しながらこの5年間、進んでこれたんです。だから、今回の1stアルバムもすごく実感を伴いながら、“ちゃんといい作品ができたな”って思えて。それは初めての感覚でしたね」
―― それだけの思いが結実したのが、8月30日にリリースされた1stアルバム『Culture Vulture』なんですね。なかなかそこまで丁寧に時間をかけて制作できるバンドの方が少ないかもしれないですね。
「はい。バンドは気力と体力が必要ですね。活動する時にいい状況を続けるっていうのがすごい大事ですね。そのためにいろんな人と信頼関係を築き続けていくことも大事だし、それを結果に結び付けないと。ライブをやってもお客さんガラガラで、物販も全然売れない状態だと、いくらバンドが楽しくても、現実的には続けていけなくなっちゃうので。そういうことも含めてバンドをちゃんとやっていくっていうことを、この5年でしっかりやってこれた気がしますね」
―― 一曲一曲で、すごく凝ったサウンドスケープが楽しめます。
「タイアップの曲とライブ用に作ってる曲ではちょっと毛色が違ったりするので、曲順によっては混じらないかなと思ったんですけど、曲順を工夫してみたら、結構いい具合になっていて、シングルの曲も新鮮に聴けると思います。ポップでもあるしロックでもあるし、うちはジャンルが特定されないというか…。だからこそなんでもやれる気がします。『Self』『さよならワルツ』『loop』とかは、もともとずっとライブで演奏してきた曲だったんですけど、今回レコーディングするにあたって、新たにアレンジしています」
―― 『loop』は洗練された都会的な雰囲気です。
「そうですね、自分たちにとっても新しいタイプの曲になってますね。今までもライブではやってた曲なんですけど、今回のレコーディングでは新たに弦やブラスを入れました」
―― 『Self』は結構初期の頃にできた曲なんですか?
「最初のライブぐらいからずっとやってる曲ですね。今回収録しているものはライブでやってきたそのままの始まり方と終わり方になっているので。ずっとライブに来てくれていた方にはわかると思いますが、そうじゃない方にも楽しめるようになっていると思います」
―― このバンドのテーマ曲のような意識でやってこられたとか?
「はい。実際、ライブをした時に、お客さんの反応が一番良かった曲ですし、気に入ってくれる人がすごく多くて。盛り上がる曲なので、今までもライブでやることが多かったですね。ライブではほとんど毎回やっていると思います。歌詞の内容も、最初の頃はそれが精一杯の前向きさだと思ってたんですけど、今歌うとそれをすごく自然に歌えるというか…。その前向きさが普通のことになっていて、自分の中のニュートラルが一段上がったような感じで。その曲が、より自然にla la larksの中にあるようになったなっていう感じですね」
―― 最初の頃は、ご自身を駆り立てるように歌ってたのかもしれないですけど、このバンドで活動することで得てきた自信がそうさせるのかも?
「そうですね。本当に、“大丈夫だ”って言えるようになったという気がします」
―― そういう曲が最後に入っているというのは、とてもグッときます。
「そう、この5年間を象徴しているような感じがしてて。曲順決める時に、最後は『Self』で終わりたいなって思っていたんです」
―― 歌詞は内村さんが主に書かれているんですか?
「歌詞は私ですね。それを相談することが多いのはクボタ(ケイスケ)さんですね。今でもちゃんとリスナーの耳で音楽を聴ける人なんで。例えば、自分は、最初から最後まで、“わかんない”って言って終わりたい歌詞を書いて、それをクボタさんに見てもらった時に、“こういう曲があってもいいんだけど、この一歩先を行ってほしいんだよね”って。“実際の内村友美さんは、‘わかんない’で終わりたいかもしれないけど、その先の光を見せてくれるみたいな存在であってほしい。みんなが求める内村友美さんはそうじゃないんじゃないかな”って言われて。ああ、なるほどって。そういう見方をしてくれるメンバーがいるというのはすごく嬉しいというか、歌詞を書く上でも本当に指針になるんですよね。今回、『Massive Passive』と『Reset』はアルバムに向けて新しく書き下ろした曲で。その歌詞も、ちゃんとマインドが一歩先に行けてるかどうか、そういうところまで見てくれるので、助かっています」
―― それだけ、バンドのメンバーとの信頼関係がしっかり築けているっていうことですよね?
「今はもう本当に家族みたいな存在なので、みんな信頼してます。今のメンバーには何を言われても受け止められますね。自分の心境や状況も含めて見てくれてるから、納得しやすいですね」
―― 詩的な表現でメタファーを織り込んで唄っている曲もあれば、ストレートな意志を感じる曲もあります。どんなことを意識して書いているんですか?
「言葉を綺麗にまとめたい時と、直接届けたい時があるので。それを昔よりは調節するようになりましたね。特に、10曲目の『Reset』なんかは、『Culture Vulture』を作っている“今の私”っていうのがすごく出る曲だと思ったので、やっぱちゃんと成長している姿を見せたいと思いましたね。お客さんにも、メンバーにも育ててもらったし。そういう自分が書けることが、みんなに対するアンサーになると思ったので。それが、ライブで歌った時、ちゃんと言葉として伝わるといいなと思ったんです。なので、あまり比喩を入れすぎないようにして、大事なことは直接伝わるように工夫しています」
―― それ以外では?
「うーん、今までは“辛いけど、頑張る”っていう歌詞が多かったんです。辛いけど頑張るっていうことだけじゃなくて、今回書いた2曲に関しては、辛いのも頑張るのも当たり前で。生きるってそういうことでしょって。その中で自分がより成長していきたい、よりよくあろうとすることはすごく自然なことで。その自然な流れに任せていきたいなっていうことをかければいいなと。『Massive Passive』とかはそういうメッセージで書きたいなと思ってましたね。『Massive Passive』自体は、楽曲的にちょっと複雑に聞こえるので、あんまり単純な言葉が似合わなくて。ちょっと難しめな言葉になっているんですけど。Dメロとか、大事なところはスッと伝わるようにと思って。言葉の伝わりやすさにも緩急をつけるようにしています」
―― 内村さんの声のファン、声が好きな方がたくさんいらっしゃると思いますが。ご自身で何かイメージしていることはありますか?
「背筋は伸ばしていようと思ってます。姿勢が悪いと、歌もよくないし、なるべく聴く人の気を散らせないような佇まいに居られるようにしています」
―― ところで、ジャケ写のアイデアなんかはどんなところから?
「これはもう、パッと見てカッコイイかどうかだけで判断してもらえばいいと思っていて。ジャケットを決める時に、せっかくアルバムを作るんだから、アルバムとしてカッコイイジャケットであってほしいと思っていて。自分たちの世代は、CDで買って、しばらく飾っちゃうような感じだったんで。パッと見た時にカッコよくて飾りたくなるようなデザインになりました」
―― アルバムタイトルのアイデアはどういったところから?
「タイトルは、単純に語呂がよくていいたくなるような感じがいいなと。意味は、“教養マニア”っていう皮肉な感じもいいかなって(笑)。5周年の思いをそこに込めたとかではないですけどね(笑)。そこは楽曲の方を聞いてもらって。よく聞けば、ギミックがあったりコードもちょっと難しいかもしれないけど、パッと聴いた時にカッコよければ、それでいいと思っているので。単純に楽しんでもらえたらそれでいいかなと。深く聞きこんだり、調べてみれば、それはそれでまた面白いと思います」
―― ヘッドフォンで聴きながらじっくりその世界観に浸りたいですね。
「今回、エンジニアさんもこだわって作ってくれたので、トラックも一個一個違うんです。良いスピーカーや良いヘッドフォンで聴くといろんな発見があって、より深く楽しめると思います。リスナーの人にも“音がいい”って言われますね」
―― それをわかってくれるリスナーっていうのもいいですね。
「そうですね。そういう風に聴いてもらえると、本当に自分たちが5年間かけて大切にしてきたことがちゃんと伝わったのかなと思って嬉しかったですね。レーベルの特設サイトではバンドの5周年やアルバムに対する応援コメントもたくさん届いているので、それもぜひ見ていただけたらと思います。ちなみに、アルバムのレコーディング風景の動画もアップされています。この撮影は自分がやっているので、私はほとんど映ってないんですけどね(笑)」
―― 11月にはツアーも行われますね。
「今回のワンマンライブは全部で5公演ですね。広島と福岡にも初めて行きます。体調や喉も万全の状態にして臨みたいと思います!」
―― 楽しみにしています!ありがとうございました。
Interview & Writing & Photo by エイミー野中
「Massive Passive 」Music Video
「Culture Vulture」ダイジェスト映像 Vol.4
la la larks (ラララークス)
Vo. 内村友美(ex. School Food Punishment)
Key./Gt./ Cho. 江口亮(Stereo Fabrication of Youth ,MIM)
Gt. 三井律郎(THE YOUTH , LOST IN TIME)
Ba. クボタケイスケ (ex. Sads)
Dr. ターキー(ex. GO!GO!7188)
アーティスト・ミュージシャンとして確固たるキャリアを有するメンバー5人が集まり、2012年に結成されたモダン・ポップ・ロック・バンド。坂本真綾、ポルノグラフィティ、LiSA、さユり、いきものがかりなど数多くのアーティストのアレンジャー・プロデューサーとして活躍する江口をはじめ、ボーカル内村を除くメンバー全員が様々なアーティストのサポートを行いながらも、その軸足をla la larksに置いた活動を続けており、ありがちなキャリアミュージシャンの寄せ集めバンドとは一線を画している。CDリリースよりライブを重視する活動姿勢により徐々に認知度をあげていくなか、洗練されたサウンド、ドラマチックな楽曲は、ミュージシャンやクリエイターなど多方面から支持が厚く、注目を集め続けている。
1st Full Album『「Culture Vulture」リリース記念特設WEBサイト:
http://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/lalalarks/5th/
1st Full Album『Culture Vulture』
通常版(CD)
¥ 2,900 +tax
VTCL-60454
<収録曲>
01. Massive Passive(新曲)
02. 色彩 – Album Ver. -
03. ハレルヤ(TVアニメ「空戦魔導士候補生の教官」エンディングテーマ)
04. end of refrain
05. loop(新曲)
06. たりない(新曲)
07. さよならワルツ(新曲)
08. Q And A – Album Ver. -
09. 失う(新曲)
10. ego-izm(TVアニメ「M3~ソノ黑キ鋼~」エンディングテーマ)
11. Reset(新曲)
12. Self(新曲)
初回限定盤(CD+DVD)
¥ 3,500 +tax
VTZL-132
<初回限定盤DVD>
01. 「Massive Passive」Music Video
02. 「ハレルヤ」Music Video
03. 「ハレルヤ」Studio Live映像
※now on sale
★la la larks 1st ALBUM「Culture Vulture」リリースツアー 『 C.V.C 』
2017.11.3(金・祝) @東京・渋谷 WWW
open/start 17:00/18:00
Thank you! SOLD OUT!!
2017.11.5(日) @愛知・名古屋 ell.FITS ALL
open/start 17:00/17:30
チケット前売 ¥3,700(税込・ドリンク代別)
Info : ell.FITS ALL 052-211-3123
2017.11.7(火) @大阪・梅田 Zeela
open/start 18:30/19:00
チケット前売 ¥3,700(税込・ドリンク代別)
Info : GREENS 06-6882-1224(平日 11:00~19:00)
2017.11.10(金) @福岡・天神 the voodoo lounge
open/start 18:30/19:00
チケット前売 ¥3,700(税込・ドリンク代別)
Info : the voodoo lounge 092-732-4662
★追加公演 「Culture Vulture」リリースツアー『C.V.C』EXTRA EDITION
2017.11.9(木) @広島・セカンド・クラッチ
open/start 18:00/18:30
出演 : la la larks、EARNIE FROGs 、ZIPPY☆ZIPPER
チケット前売 ¥2,500 当日 \3,000(税込・ドリンク代別)
※チケット発売日:2017年10月7日(土)~
Info : セカンドクラッチ 082-249-7363