エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 関西版

2017/06/29

【インタビュー:UNCHAIN】新作『from Zero to “F”』をリリースしたUNCHAINのボーカル・谷川正憲が自然体で語る結成21年目の思い。

[A写]UNCHAIN「from Zero to “F”」

 

図1

図2

 

 

―― バンド結成から昨年で20周年を迎えましたね。現在21年目に入って、どんなことを実感していますか?

 

「そうですね…、続けてきたからこそのバンド感みたいなものもあると思うんですけど。ずっと倦怠感みたいなものとの戦いみたいな感じもあって(苦笑)。ギターの佐藤が正式加入する前の頃とか、みんな無言でスタジオ入って、一言も喋らないで出て行くみたいな(笑)。それが10年前なんですけど、今は、逆にすごく喋るようになってて(笑)」

 

―― それは何かきっかけがあって?

 

「うーん…、なんですかね、しいて言うなら、2年前にデビュー10周年記念で、『10fold』というアルバムをロサンゼルスでレコーディングしてきたんですけど。みんな英語が喋れないから怖くて、ずっと4人で一緒に行動してたんです(笑)。それでまたちょっと仲良くなった(笑)。普段は仕事以外ではほとんど一緒にいることがないんですけど。そのロサンゼルスに居た2週間はずっと一緒にご飯食べたりしてたので。バンドは仕事でもあるんですけど、友達の延長みたいな部分もどっかに残ってて。家族よりもずっと一緒にいる時間は長いですし。自分たちは、本当にいい意味でも悪い意味でも、何も変わってないんですよね」

 

―― 解散なんて考えたことはないですか?

 

「そうですね。もうここまでくると、音楽性の違いとか言ってられないというか、そういうものはとっくに超えてしまっていて。解散する理由がないですね。音楽性なんて、僕たちは最初から結構違ってたし。だからこそ面白いと思ってやってきたので」

 

―― 20年もやってると、他のメンバーとやるっていうことがイメージできないのでは?

 

「あ、それもありますね。ちょいちょい他の人とユニットをやったりもしてるんですけど。全然感覚が違いますし、それはそれで面白いんですけど。UNCHAINが母艦としてあるからこそおもしろくて。UNCHAINの半分ってことで、“半チェイン”として佐藤と谷川でやってるユニットがあるんですけど。それもUNCHAINがあるからこそできることなんで」

 

―― ひとつのバンドを20年、30年と継続していくのは本当に難しいと思うし、UNCHAINのように20年続けてきたからこそ出せるバンドサウンドというのは新しい次元に突入していると思います。そもそもUNCHAINって、2000年代前半の“グルーヴ・ロック”っていう新しい波の中から出てきましたよね。最近でこそ、ブラックミュージック的なグルーヴを駆使するバンドが人気を呼んでいますが、そういうバンドの先駆け的な存在だったのでは?

 

「ああ、そんなことを言われたりしますね。でもうちは、けっこう、(ブラックテイストを)ロックバンドとして昇華してやってきてて。めっちゃいろんな方向に手を出してきたので。未だに定まってない部分もありますからね。今回のアルバムもけっこうそうじゃないですか?(笑)。むしろ定めないことがUNCHAINみたいなのもあったので。もちろん、アシッドジャズとか、ソウルミュージックっていうのが一番芯の部分にあるっていうのは変わらないんですけど」

 

―― 例えば、これまでに何枚かカバーアルバムを出していたり、昨年はコラボレーションアルバムをリリースされていますが。そういう作品を通してバンドの外部のアーティストや作品と関わってきたことが、バンドに何か作用しているようなことは?

 

「そうですね。去年出た、『20th Sessions』では、いろんな体験をさせてもらって。やっぱ、アーティストさん一人一人で全然センスが違ってて、面白かったですね。中でも、鬼束(ちひろ)さんが印象的でした。まさか一緒にやってもらえると思ってなかったんですけど。その前に、一回ライブを観に来てくださってたので。ダメもとでオファーしてみたんです。鬼束さんは今まで誰ともコラボはやったことがなくて、歌詞を提供したこともなかったそうで。UNCHAINが初めてだったみたいです」

 

―― 今作『from Zero to “F”』にも、鬼束さんが作詞された『甘い晩餐』という曲が収録されていて。確かに、鬼束さんとのコラボはUNCHAINにとって今までにない化学反応のようなものが感じられました。

 

「そうですね。他のアーティストの爆発的なエネルギーに触れることによって、こっちも感化されたりするんですよね。一つのすごいアイデアが生まれた時に、それに対して、また新しい別のものが生まれてくるっていう連鎖みたいなことが起きることがよくあって。鬼束さんの時もそうだし、今回のロサンゼルスでやったセッションもそんな感じで曲が生まれて行ったんですよね。トップライナー(*メロディーラインを作る人)の人に渡すリズムトラックを向こうで急遽作ることになったんですけど。そのトラックの上にメロディーを乗せていくトップライナーさんは、ノリとテンションだけでスピーディーに作業するんです。1曲目の『Fresher』ができるのに1時間かかってないんですよ。そういうのが初体験すぎて…。ヒラメキがヒラメキを生むみたいな爆発的なスピード感でできるっていうすごい体験をしてきました」

 

―― そういう作り方をしたのは今回が初めて?

 

「初めてですね。今までは曲を作る時に頭でうーーんって考えて作ってたんです。その、うーーんが全くなくて。バッとできましたね。僕もたまに30分ぐらいでできる時があるんですけど。そういう瞬発力でできたものって力があるなって。その究極版って感じがしましたね。そんな風に向こうで作ってきたのが『Fresher』『Back To Zero』『Dangerous』『Sunday Morning』ですね。日本に帰ってきてアレンジして、バックトラックを練り直して完成させました。今までとは180度違う作り方だったんですけど。新鮮な体験ができたので、とても良かったと思います。そういう形で海外の人とやるのも初めてだったので」

 

―― 今作には初期の頃を思い出す『Underground Love』のような英語の曲もありますが、今のUNCHAINには日本語の曲の方にオリジナリティ(強み)を感じます。

 

「そう言っていただけると嬉しいですね。『Fresher』とか『Back to Zero』は、日本語で歌詞を書くようになってからの集大成的な感じがあって。2曲ともトップライナーと一緒に作ったことで、すごい気持ちが乗って歌詞が書けましたね」

 

―― 『Dangerous』のような、レゲエフレイバーが入った曲は初めてですか?

 

「ほぼ初めてかもしれないですね。レゲエ風って感じで、風味だけを入れるのが最近のトレンドでもあって。ライトな感じでいいなって」

 

―― 『So Good,So Good』はファンクなノリがカッコイイです!

 

「この曲はスティーヴィー・ワンダーが元になっていて。スティーヴィーも超ファンキーなんで、そのファンクネスを抽出したというか。ジャジーでソウルフルというより、ロック寄りに消化したっていう感じですね。歌詞は谷くんにぶっ飛んだものを書いてもらいました」

 

―― アルバム全体の構成も効果的ですね。ちょっとダークな『Walkin’ Dead』の次に『Sunday Morning』を聞くと気分が浄化されるようで。そういう明と暗のコントラストがすごくはっきりしてて、明るいポジティブな面とその裏にあるダークな要素が織り合わさって一曲一曲が際立って聴こえてきます。

 

「ありがとうございます。いつも、めっちゃ明るいアルバム作ろうって思ってるんですけど。全曲ハッピーな曲を作ろうって思ってたら、これぐらいの感じになるんですよね。UNCHAINがもともと持っているのは、明と暗で言えば、暗の方かもしれないですね。だから、めっちゃ明るいアルバムを作ろうと思ってても、ちょっと暗が出てきちゃうっていうのはあるかもしれない。自分を演じるというのが苦手で、どうしても自然体でいたいなと思ってるんで、そうなっちゃうのかもしれないですね」

 

―― ラストの『You & I』はすごく優しい余韻が残る一曲です。

 

「人間って、相手(友達でも恋人でも家族でも)のことを誰よりも俺は分かると思ったとしても、半分だけなんじゃないかと思ったんです。だから、歌詞の中に、“半分だけ”っていうワードがいっぱい出てくるんですけど。50%どころか、数パーセントぐらいしかわかりあえる部分ってないかもしれない…。人間関係ってそういうもんじゃないかなと。だからこそ人と人が分かり合えた時に喜び合えることは素敵だなって。そういう思いを歌にしました」

 

―― 確かにそうですよね、じ〜んときてしまいます。ところで、アルバムタイトル『from Zero to “F”』にある、“Zero”には“原点回帰”という思いも込められているそうですね。

 

「原点回帰の意味もあるんですけど、“Zero”にはもう一つ“ニュートラル”っていう意味ももたせています。“ニュートラルである”ということに僕は重きを置いているんです。UNCHAINの音楽性は振れ幅が大きいですけど、必ず心を真ん中に戻して、ニュートラル状態にしたいなと思っているんです。流行り廃りとか関係なく、リスナーさんも、もう一回ニュートラル状態になってもらって、UNCHAINを聴いてほしいっていう思いも込めているんです」

 

―― 先入観を抱かずに聴いてほしいと?

 

「そうですね。心を真ん中にして、良いものは良い!って、いつでも言える状態にしておいてほしいなと思って。3曲目の『Back To Zero』もそういう思いで書いてますね。『バガボンド』っていう宮本武蔵が主人公の漫画がすごい好きで、その影響もあって(笑)。武蔵は自分のエゴが強すぎて狂気的になって、本当に強い人に勝てなかったんですけど。そんな自分を抑えて、気持ちを真ん中にするっていうことを会得していくんです。真ん中に入れば、自分が正しいと思う方向にちゃんと向き合えるから。それは僕が常に思っていることですね」

 

―― 『from Zero to “F”』の“F”というのも気になります。

 

「“Fresh”とか、“Future”、“Free”、“Four”、“Fools”とか、いろいろあるんですけど。聴く人それぞれの、“F”があっていいなと。だから、“F”というのは本当になんでもよくて、その人の目標でもいいですし、好きなものでもなんでも。ぶっちゃけ“F”がつかないことでもいいぐらいで」

 

―― ちなみに、“Fools”というのは?

 

「バカとか、若気の至り的な感じですね(笑)」

 

―― そういう思いもずっと持っていたいと?

 

「はい、20年と1年目なんで」

 

―― そんな気持ちとともに、これからUNCHAINはどんな音楽を生み出していきたいですか?

 

「聴いた人が心洗われるような音楽でありたいなと思ってます。アルバムのタイトルもそういう思いからつけました。Zeroになって、一旦ニュートラルになった状態から、それぞれの“F”へ、みんなで一緒に行こうぜと。そういう一体感を出したくて。何度でもリフレッシュして、そこに向かっていけるように」

 

―― ちなみに、このとても美しいアルバム・ジャケットのアイデアはどこから?

 

「これはデザイナーさんが10年前にロサンゼルスで偶然撮ってきた写真なんです。ちょうど、4羽の水鳥が写っていて、そこにピンクの傘を合成してくれたんです。傘って、本来は雨から身を守る道具なんですけど、頭上にかざしたピンクの傘に朝焼けの光が差し込むと、こうなるっていう。傘がスポットライトとなって、新しい効果を出しているんですね。水鳥はUNCHAINの4人のメンバーになぞられていて、UNCHAINの新しい時代の幕開けという意味合いを込めているんです」

 

―― このアルバムに伴うツアーもスタートしています。

 

「ツアーの初日がリリース前だったので、お客さんもライブに来て初めてアルバムの全貌が分かるっていう状態で。曲順もアルバム通りにやったんです。それがすごく面白くて。そういうのは初めてだったし、すごい貴重な夜でしたね。リリース後の実質的な初日は名古屋で、それも序盤から一体感が生まれてすごいよかったですね。その時はアルバム通りの曲順ではなかったんですけど、この『from Zero to “F”』が最大限に活きるセトリで行いました」

 

―― 大阪は7月7日の七夕の夜ということで、ますます楽しみです!

 

「やっぱ大阪で活動してきたバンドなんで、UNCHAINのホームですね。“ただいま!”といって、一緒に素敵な夜を作っていきたいですね。七夕ということで、ベースの谷くんあたりが、何かロマンチックなことを言うでしょう(笑)。彼はすごいロマンチストなんで…」

 

interview & Writing by Amy Nonaka

 

 

 

 

 

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UNCHAIN(アンチェイン)

 

ジャズやソウルミュージック、フュージョン、更にはシティポップス的なエッセンスまでを絶妙に ブレンドしたグルーヴィーなロックを鳴らす京都府出身の 4 ピース・バンド。 1996 年、中学の同級生だった谷川正憲(Vo/Gt)、谷浩彰(Ba/Cho)、 吉田昇吾(Dr)の 3 人で結成。後に1 年後輩の佐藤将文(Gt/Cho)が加入し 現在の編成となる。Vo 谷川の圧倒的な歌唱力と確かな演奏力は、国内ロックバンド勢の中でも 唯一無二の存在として独自の地位を確立している。2005 年インディーズ・デビューし、2 枚のミニアルバムをリリース後、 2007 年にメジャー・デビュー。2013年から2015年まで、3枚のカバーアルバムをリリース。2016 年に結成 20 周年目を迎え、3月にアルバム『with time』を、10月には『20th Sessions』と題したコラボレーションアルバムをリリース。2017年6月7日にニューアルバム『from Zero to “F”』リリース。同月2日から『from Zero to “F” Release TOUR2017』を開催中。

 

オフィシャルHP:http://virusoul.net/unchain/

 

 

 

 

 

『from Zero to “F”』

 

71-6969_2A_001@98_o_4P

 

¥2,778 + 税

CRCP-40516

 

<収録曲>

01. Fresher

02. 甘い晩餐

03. Back To Zero

04. Dangerous

05. Underground Love

06. Walkin’ Dead

07. Sunday Morning

08. Flowered

09. Tomorrow

10. What You Want

11. So Good, So Good

12. You & I

 

※now on sale

 

 

 

from Zero to “F” Release Tour 2017

 

■福岡公演

7/1(土) LIVE HOUSE CB

OPEN 18:00 / START 18:30

前売 ¥3,800 当日 ¥4,300(税込) ※整理番号付 ※ドリンク代別

スタンディング

Info : PROJECT FAMIRY 092-406-0855

 

■広島公演

7/2(日) CAVE-BE

OPEN 18:00 / START 18:30

前売 ¥3,800 当日 ¥4,300(税込) ※整理番号付 ※ドリンク代別

スタンディング

Info : 夢番地(広島) 082-249-3571

 

■大阪公演

7/7(金) 心斎橋JANUS

OPEN 18:30 / START 19:00

前売 ¥3,800 当日 ¥4,300(税込) ※整理番号付 ※ドリンク代別

スタンディング

Info : 夢番地(大阪) 06-6341-3525

 

■東京公演

7/9(日) Shibuya WWW X

OPEN 17:00 / START 18:00

前売 ¥3,800 当日 ¥4,300(税込) ※整理番号付 ※ドリンク代別

スタンディング

Info : ディスクガレージ 050-5533-0888

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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