エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 関西版

2016/11/25

【インタビュー:瀧川ありさ】1stアルバム『at film.』をリリースした瀧川ありさがここに至るまでの道のりと歌に込めた人生観を語る。

瀧川ありさ「at film.」(メイン)

 

図1

図2

 

 

―― 現在はシンガーソングライターとしてソロで活動されていますが、10代の頃はバンドをやっていたそうですね。

 

「歌うことは小学生の頃からずっと好きで、歌手になりたいなと思っていたんですけど。歌番組を見ていても、だんだん歌ってる人よりバックバンドが気になるようになってきて。音作りにも興味がわいてきたんです。それで、中学になって軽音楽部でバンドを組みました」

 

―― バンドはどれぐらいやっていたんですか?

 

「8年弱ぐらいです。でも、バンドが解散しまして、1年ぐらい引きこもってました。21、2歳ぐらいの頃ですね。その頃は空っぽな日々で、歌うこともしてなくて…。歌わなくなったら、生きている意味が見出せないぐらいになってしまって、音楽もぜんぜん聞いてなかったんです」

 

―― そこからどんな風に自分を取り戻していったんですか?

 

「ある時、ふと耳にした音楽で初期衝動みたいなものを思い出したんです。たしか、昔、バンドを始めた頃に聞いてた曲だったと思います。曲は一人でも打ち込みで作れるので、もう一回ちゃんと音楽を作ろうと思って。それで一人でデモを作るようになったんです。バンドをやってた時は、みんなが幸せだったらそれが幸せみたいなスタンスだったので、ソロにも興味がわかなかったんですけど…。よくよく考えてみれば、一人で歌っていても、誰かを幸せにできるんじゃないかなって。そこから一人でも歌い続けなきゃなっていう覚悟が決まりましたね。自分のためっていうより、誰かのためになりたいがために、もう一回歌おうって思いなおして、今日まで来ました」

 

―― ということは、バンドであれ、ソロであれ、瀧川さんが歌う目的はずっと変わらないんですね?

 

「そうですね。もちろん、自分が歌ってた時は自分も幸せだったなっていうのは根底にあるんですけど。でも、バンドを経験して、聞き手がいないと音楽って自己満足では何も面白くないっていうことを学んだので。聞いてくれる人のための音楽をちゃんと作っていかなきゃなって。そういうふうに意識が変わりましたね」

 

―― オリジナル曲を作り出したのは、中学でバンドを始めた時から?

 

「13歳の時から作ってますね。当時は思春期で、日常のモヤモヤしてることを吐き出せる場だったので、希望とか、ぜんぜん歌ったことがなかったし、とにかく、音楽は負の感情をさらす場みたいな存在だったんです。でも、ただ負の感情を歌ってるだけじゃ誰も聞かないよなってことに10代後半で気づいて…。聴いてくれる人が明日の糧になるような音楽とは何なのかなっていうことを考えるようになったんです。そのためには、ちゃんと希望を歌えること、生きることに光を見出せる人にこそ、歌を作る資格があるんだなって思って。だから、メジャーデビューしてから希望を歌えるようになってきたのが一番の変化ですね」

 

―― 一曲一曲から風景が浮かびあがるような作風が印象的です。

 

「ちっちゃい頃から空想するのが好きだったんですよ。東京で生まれて、無意識に都会から逃げたかったんでしょうね。田園風景とか、その中にある鉄塔とか、そういう景色に憧れてたんだと思います。だから、自分で曲を書き始めたらそういう景色がよく出てくるようになっちゃったのかなと」

 

―― そんな瀧川さんが歌詞を書く上で影響を受けた人は?

 

「はっぴいえんどの歌詞の詩集とか、ユーミンさんや山下達郎さん、80年代の日本語ロックの歌詞はずっと読みあさってました…。それをすごい楽しみながら自分の中にインプットしていって、やっと詩というものが書けるようになったのかなと思います」

 

―― そうだったんですね。1stアルバム『at film.』の前半はシングル曲が並んでいて、後半ではまた違ったタイプの内省的な曲が聴けますが、アルバムだからこそ入れたかった曲というのは?

 

「『17番地』とか、ボーッと一点を見つめちゃう感じのちょっと暗い曲ですかね」

 

―― 『17番地』、いいですね。ふっと入り込んで聴いてしまいます。

 

「私は他のアーティストさんでもアルバム曲ってすごい好きなので、アルバムでしかできないことっていうのは意識しました。『プラネタリウム』なんかもそうですね。『Sugar』もシングル曲とは違って、あえてミニマムな感じに作っています。アルバムだからこそできることっていうのはそういうバランスかなと」

 

―― そのへんの楽曲はいつ頃できたんですか?

 

「『Sugar』と『プラネタリウム』は今年になってからですね。アルバムのタイミングで書き下ろした曲です。『17番地』や『日々モノクローム』はさっきお話しした21、2歳の時の曲ですね。あと、『BOY’S CHRONICLE』は二十歳頃の曲です。『BOY’S CHRONICLE』を書き終わったあとに、何かが折れたんだと思います。だからよくも悪くも青臭くて大事な曲です」

 

―― その『BOY’S CHRONICLE』の中で歌っている、「僕たちは誰かの運命軌道上」というのは何を意味しているんですか?

 

「これが自分の人生観ですね。ふと出てきたフレーズなんですけど。例えば、母親との関係においては、私は母親の運命軌道上にずっと乗っかってるんですよ。その時は独りになりすぎて、そういうことばっか考えてて。誰の運命軌道上にも乗れないって、人として生きてる意味がないから、ひとりでも多くの軌道上に乗ることが人生なんだなって。誰かの日々にクロスすることで、これが生きるということなんだなっていうことに気づいたんです」

 

―― 自分の人生って、自分が中心だと思いがちですが?

 

「私は自分の人生、自分を主役に考えれなくて。ずっと、誰かの後ろなんですよ。誰かと誰かが幸せそうにしているのを後ろから見てるっていうのが、私の生きてる感覚なんです。ちっちゃい頃はそれが嫌で毎日泣いてたんですけど。でも、今はその視点でしか描けないことがあるんじゃないかと、やっと思えるようになりました。生きづらいけど、この感覚だからこそ書ける歌があると、今は信じてやっています」

 

―― この『BOY’S CHRONICLE』を2曲目にしたのはなぜですか?

 

「このアルバムは『Season』から始まるんですけど、それがプロローグだとして、本当の始まりは『BOY’S CHRONICLE』からなんです。私的に2曲目って、アルバムの最初って気がするんですよ。それで、意を決して、自分をさらさないといけないなと思って。一回、恥をさらすというか…、こっちがさらさないと、聞き手はかしこまるので。本当に青かった自分の覚悟をひとつ提示してから始めようと思って、2曲目にしました」

 

―― 『色褪せない瞳』なんかは歌詞の端々で強い思いが感じられます。

 

「『色褪せない瞳』は“こう在りたい”っていう願望でもありますね。ちゃんと歌う人間として自分がぶれてちゃいけないなって思うんで。だから、曲の中に意志は入れます。ただ、自分に言いきかせてるんです。『Sugar』もそうですけど、ちゃんと頑張って立っていたいと…」

 

―― 強くないからこそ、自分に言い聞かせてると?

 

「そうです。弱すぎるので。どうしたら強くなれるんだろうって思って、曲を書いてるかもしれないですね」

 

―― では、こうして、1stアルバムとして完成したことで得られたことはなんですか?

 

「そうですね…、このアルバムを作って、やっと自分を肯定できた気がします。昔から、私はみんなの輪に入れなかったんですよ。素直に飛び込めればいいのに、自分が邪魔だと思われてるような被害妄想があって…。そういう自分が嫌で、音楽がないと自分に自信がないし、人と関われない。それが一番現れてるのが最後の『花束』という曲ですね。この曲が書けたことで吹っ切れたというか、自分を否定しないようにしようと。ダメなところも一生自分で付き合っていくしかないので。そんなこのアルバムをみなさんに聴いてもらえることが、自分の一番の救いですね」

 

―― 聴いてくれている人がいることを実感するのはどんな時ですか?

 

「自分の知らないところで、誰かが聴いてくれて、“いいな”って心でつぶやいてくれていれば、それが一番うれしいですけど。やっぱりライブをやっていると一番生きてる感じがするし、こんな幸せなことあるのかなって思います。曲を聴いてもらえても、そこからライブに行くってなると、またワンステップハードルが高くなると思うので。来てくれた人と共有できるライブは大事にしていきたいです」

 

―― ライブの世界観で大切にしていることは?

 

「風景が見える楽曲を描いているので、ステージを見ながら、みなさんの頭の中に映画が流れるようなライブができることが理想ですね」

 

―― 来年の1月18日から全国ツアーがスタートしますね。

 

「1stアルバムに伴うワンマンなので、本当に盛りだくさんな内容になると思います。今回は私がギター&ボーカルで、もう一人のギター、鍵盤、ベース、ドラムという5人編成です。バンドと一緒なので、ハンドマイクだけで歌う曲も何曲かあると思うし、弾き語りもするかもしれないし、私自身もいろんな面をお見せできるかなと思っています。バンドって言うのは二度と同じ演奏ができないので、その時しか見れない景色をぜひ見に来てほしいですね」

 

interview & Writing by Amy Nonaka

 

 

 

 

 

 

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瀧川ありさ(タキガワ アリサ)

 

1991年、東京生まれのシンガーソングライター。奥田民生率いるユニコーンをはじめ、CHEMISTRY、ゴスペラーズ、最近では西野カナといった人気アーティストを発掘してきた、伝説のスカウトが惚れたグロッシーヴォイスと、風景を描くように紡ぎだされる歌詞とメロディーが魅力。2015年3月、アニメ「七つの大罪」のエンディングテーマ「Season」でメジャーデビュー。同年、「SUMMER SONIC 2015」へ初出演を果たす。11月にはアニメ「終物語」のエンディングテーマとしてロングヒット中の3rdシングル「さよならのゆくえ」をリリース。女子高生100人が選ぶ「クルコレランキング」で、デビュー曲から3作連続で1位を獲得。さらに、「第30回日本ゴールドディスク大賞」新人賞獲得。2016年4月6日には、自身初となるバラード曲である4thシングル「Again」をリリース。そして、11月2日に1stアルバム『at film.』(エーティーフィルム)をリリース。2017年1月18日から、『ワンマンライブツアー2017 “at film.”』が開催される。

 

オフィシャルHP : http://www.takigawaalisa.com/

 

 

 

 

 

『at film.』

 

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<初回生産限定盤>

¥3,333+税

SECL-2064 ~ SECL-2065

 

■CD+DVD(全PV&特典映像収録)

■三方背スリーブケース付

[初回仕様]

■フォトカード全3種類のうち1種をランダム封入

 

 

H1_2

 

<通常版>

¥2,963+税

SECL-2066

 

[初回仕様]

■フォトカード全3種類のうち1種をランダム封入

 

 

※now on sale

 

 

 

 

★ワンマンライブツアー2017 “at film.”開催決定!

 

2017年1月18日(水)福岡・INSA

開場18:00 開演18:30

[問合せ]キョードー西日本 092-714-0159

 

2017年1月20日(金)名古屋・SPADE BOX

開場18:00 開演18:30

[問合せ]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

 

2017年1月21日(土)大阪・ESAKA MUSE

開場17:00 開演17:30

[問合せ]キョードーインフォメーション 0570-200-888

 

2017年2月4日(土)東京・渋谷DUO –Music Exchange-

開場17:00 開演17:30

[問合せ]H.I.P. 03-3475-9999

 

 

料金:全公演 ¥3,500 (税込・入場時別途ドリンク代) ※整理番号付き

チケット一般発売:2016年11月26日 (土)

 

 

 

 

 

 


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