エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 関西版

2016/02/15

【インタビュー:Suchmos】1月に2nd E.P.『LOVE & VICE』をリリースしたSuchmos。ボーカルであり、フロントマンのYONCEにバンドのバックグラウンドや現在の意識を訊いた。

LOVE&VICE_A写

 

図1

図2

 

 

―― Suchmosのみなさんは今でも地元に住んでいるんですか?

 

「そうですね。俺は最近、実家に戻って、生まれ育った神奈川の海側の茅ヶ崎っていうところに住んでます。俺以外は全員横浜の港北区ですね」

 

―― 東京には移住したいとか思わない?

 

「別に無理に東京に出る必要もないしなぁ、っていう感覚でやってますね」

 

―― 自分たちのペースを守りたいから?

 

「自分の住む町がやっぱり落ち着くんですよね。しばらくここから離れるのは嫌だぁって、たぶんメンバーもそんな感じで」

 

―― ライブのMCでも、「茅ヶ崎から来ました」っていつも言ってますよね。地元への思い入れを強く感じます。

 

「地元の友達と遊ぶ機会のほうが多いし。東京のバンドというよりは、あくまで、横浜・茅ヶ崎のバンドとして見られたいという気持ちがあるので。そこはちゃんと発信していきたいなって思ってます。東京より神奈川のほうがいいしっていう自負があるから」

 

―― そこにいるからこそ生まれる感性や音楽がSuchmosに反映されているんですね?

 

「特別意識してるわけではないんですけど、なんらかの影響は絶対に受けてるなとは思ってて。渋谷に繰り出しても、終電でなんとかして帰ってくるようにしてるんですけど。だんだん俺の地元に近づくにつれて、マイペースな人が増えてくるというか、のんびりとした時間が流れるんです。それを味わっちゃうと、東京にいる時間は別に長くなくていいやっていう気持ちになっちゃって…」

 

―― 東京発の音楽やカルチャーを客観的に捉えることもできるのでは?

 

「それはありますね。ちょっと冷めた視線で見てるというか…。それが本当に正しくてかっこいいものかどうか、疑問符を抱きながら眺めているって感じですね。俺の周りにも、“いいものは自分で探したい!”っていう人が多い気がしますね」

 

―― 2nd E.P.『LOVE & VICE』のリード曲『STAY TUNE』では東京発のものをシニカルに歌ってますよね。

 

「『STAY TUNE』の歌詞の中に“東京”ってワードが入ってるんですけど。神奈川の海沿いから東京を眺めてる時の目線で歌ってるっていうイメージ。東京という磁場が人を狂わせちゃってるんじゃないのっていうものの考え方をしてたんです」

 

―― そこにのみ込まれて、狂わされるんじゃなくて、もっと自分の感覚を研ぎ澄まして、自分でチョイスしろっていう思いを感じます。

 

「そうですね。それは自分たちのような東京の周りにいる人間ならではの考え方なのかなって思いますね。“東京に行ったら勝ち”っていう考え方をしがちな気がしてて…。それに対して、ちょっと挑発をしてみたって感じですね」

 

―― そういった姿勢はヒップホップの人に近いような…。

 

「スタンスもそうだし、バンドの成り立ちも、比較的ヒップホップクルーに近いと思います。前作でも、KANDY TOWNというヒップホップクルーの呂布くんに、一曲のってもらってたりしてたんで。今後もいろんな交流をもっと深めていきたいなぁと思うんですよ」

 

―― 2nd E.P.のタイトル『LOVE & VICE』っていうのは、何を表しているんですか?

 

「相反する言葉なんですけど、“VICE”って悪癖とか、汚点、欠点みたいな意味で。Suchmosの6人は音楽と人に対する深い愛情を持ちつつ、ダメな部分も全員が全員持ってるので、それを含めて今のSuchmosなんだよっていうのをパッケージして一枚出したいねって。それを楽しんでくれっていう作品で、そういう意味を込めて『LOVE & VICE』ってタイトルになりました」

 

―― ちなみに、バンドのリーダーというのは?

 

「各分野のリーダーがいます。例えば、DJのKCEEはファッションリーダーです。ベースのHSUは音楽の理論的な部分も詳しい、ドラムは名ドライバーって感じで、全員で補い合っていて、シチュエーションによってリーダーが変わるんです」

 

―― そもそもこの6人はどういう集まりなんですか?

 

「元々ドラムとDJが実の兄弟で。ギターのTAIKINGとドラムのOKが幼稚園の入園日に出会ってからの友達。それから、ギターのTAIKINGとベースのHSUが小学校で一緒になって以来の仲で。俺がDJのKCEEと高校時代からの知り合いで、各々がやってたバンドで対バンとかするうちに仲良くなって。鍵盤はベースのHSUの大学の後輩。付き合いの長さに差はあるけど、みんなで音楽聴いたり、映画見に行ったり、古着屋いったり、風呂いったりしてて。それで、自然とあうんの呼吸みたいなものが生まれるようになったんです」

 

―― メンバーのファッションも、東京発とは違う、独特のオシャレさを醸し出してますね。

 

「アー写なんかは私服で撮ってるんです。そもそも新品の服って、メンバー誰も着てないんじゃないかなっていう感じなんですよ(笑)。飾らないでいたいっていう部分が強くて。人が用意した似合わないものを着るんじゃなくて、それでデカい舞台に立てるような人間、男たちになりたいよねっていう話は結構よくしてます」

 

―― たしかに、格好はラフな感じですけど、ステージに立った時は決してユルくないですよね。そこは意識をしているんですか?

 

「ショーマンシップが絶対に大事だなと思ってます。ローリングストーンズがビシっと立ち姿もばっちりで、音出す前からすでにかっこいいっていう感じで登場したり、オアシスなんかもそうで。そういうロックスター的なものに対する憧れを強く持ってますね。そのためには、その人自身が持っている雰囲気だったりオーラが重要なんだなって思うんですよ。ステージに立つ以上は絶対かっこよくいなきゃっていうのは心がけている部分ではあります」

 

―― YONCEさんはデヴィッド・ボウイもお好きだったとか。

 

「『ジギースターダスト』はめちゃくちゃ聞いてました。高校生くらいの頃、その影響で12弦ギター買っちゃったぐらいハマってて。(今日は)阪急電車で京都から大阪にきたんですけど。昔、デヴィッド・ボウイが(写真を)撮ってたところで、一枚撮ってもらいました(笑)」

 

―― いいですね(笑)。デヴィッド・ボウイは『ヤング・アメリカンズ』っていうアルバムで、それまでのグラムロックからソウルミュージックを大胆に取り入れたスタイルに激変したんですけど。Suchmosも何か通じるものがあるのかなと?

 

「僕は、作風が変わっていくことのほうが健全だなと思ってます。デヴィッド・ボウイもそうだし、ビートルズしかり、プライマル・スクリームもそう。どんどんどんどん音楽性が変わっていくじゃないですか。でも、日本のアーティストに関しては、ブレイクしたときの印象のままを維持しないといけないっていう、暗黙の了解のようなものを常日頃から感じてるんです。単純にガキのころから日本のアーティストを見ててそう感じてたんですけど。そういうのがなければ、もっと豊かな音楽文化がこの国に栄えてたのかなと思うとちょっと悲しく思うことがあります」

 

―― これからSuchmosの音楽性はまだまだ変わっていきそうですか?

 

「今自分たちがSuchmosっていうバンドとしてのアーティスト性やヒストリーを作っていくんだとしたら、ひとつの音楽性に軸足を置くんじゃなくて、どんどんチャレンジングな姿勢で音楽やっていかないとなって、最近思うようになりました。特に『THE BAY』の時に、“ブラックミュージック”、“シティーポップ”っていう文脈で括られちゃってたんで、ちょっと悔しい思いがあったんですよ。別にそんなもんじゃねえんだけどなぁって。そういう部分への意趣返しみたいなことが『STAY TUNE』に込めていたりもします。それは特に俺が詩を書く人間として、表現していきたいテーマのひとつなのかなって。別にけなすとか、ディスるとかではなく、“それ違うぞ!”くらいの、警告を鳴らすくらいの感覚で言及し続けたいことだなと思ってますね」

 

―― そういうカウンター精神がリリックに込められていると?

 

「リリックもそうだし、サウンド面でも。今はちょっとブラックミュージックのエッセンスを含んだロックみたいなところにたどり着こうとしてる段階にいて。それが、今回の『LOVE & VICE』でも挑戦してる部分なんですけど。ある意味、つかみどころのない作風で音楽を続けていくことこそがバンドの音楽っていうものを形作っていくのかなと思ってて。例えば、ビートルズっぽさって何?って言われたら、具体的に答えられないじゃないですか。正直アルバムごとにサウンドも違えば、歌ってることも全く違うし。そうなるのが一番理想なのかなって気がしてて」

 

―― 音楽性に関しては、Suchmosって他にはない異種交配によって生まれたバンドのように思えます。

 

「そうかもしれないですね。元々洋楽のコテコテのロックを聴いて育ったのが俺とドラムのOKぐらいで。最近、ニルヴァーナとかレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなんかをメンバーに啓蒙してて。ようやく、“いいねぇ”ってなってきたところなんですけど…」

 

―― ニルヴァーナのようなグランジやレイジみたいな過激なものまで聴いてたんですね!

 

「俺、このバンドがまだ立ち上げ当初ぐらいの時期に、ちょうど職場が潰れちゃって。失業保険を申請しに行く時、レイジとかビートルズの『レボリューション9』とかを聴きながら通ってました。ぜってー負けねえ!って、闘うぞ!っていうスタンスで(笑)」

 

―― それでステージに立ってるときも自然にアグレッシヴな面が出てくるんですね。

 

「“闘う”ってあんまりキレイな言葉じゃないですけど、やっぱり生きてる以上、何かしらとは闘ってるわけじゃないですか。別にそれを俺が見に来てくれた人たちにアジテートするわけじゃないんですけど、それに近いことを今、俺はやらなきゃ!と思っているというか。お金払って、貴重な時間さいてくれている人を前にして、そういう人たちに何も与えずに帰らせるのは、かなり失礼なことだなと思うんです。何か持って帰れるもののひとつに、“明日からがんばって闘っていこう”っていう気持ちだったり、“今日は帰ってゆっくり寝よう”とか、“映画一本借りて見てみよ”うとか、何か感慨深いものを残せれば、今のところ100点かなって自分では思ってます。その中のひとつに“闘う”って言葉があってもいいんじゃないかなって」

 

―― そういうロックのスピリットが芯にあるから、Suchmosって耳に心地いいだけじゃない痛快さや鋭さがあるんですね。

 

「そういう風に見えてたらいいですね。俺の地元(茅ヶ崎)でレゲエとかダブをやってる人たちって、歌ってる内容は超レベルミュージックばっかりで。そういうのをお金に関係なくただ歌いたくて、ひたすら歌っている人たちを、俺はすごい尊敬してるんです。そういうものを全国的に広めていく人間でありたいなと思ってるんですよ。それこそ地元の先輩の桑田佳祐さんとか、結構キワドイことを平気で歌詞カードに載せてるじゃないですか。それを見て、このラインオッケーなら、俺が言ってるこれも大丈夫だっていうふうに考えてて。放送コードを超えないギリギリの訴え方とか、告発の仕方みたいなのを今後もやっていきたいなと思いますね」

 

―― 「告発の仕方」って、そこまで考えていたとは…。

 

「(笑)、ちょっと重たい言い方にはなっちゃいますけど、まだ自分自身が音楽でめちゃくちゃに稼いで、お金持ちになったわけでもないんで。“世界に平和を!”みたいなことは、今の俺には歌えないなぁと思って。それより、実際自分が生きてて感じる不満を歌うのが、聴いてる人にとっても誠実だなと俺は思うんですよね」

 

―― 聴き手を責めているわけじゃなくて、何か覚醒してほしいという感じ?

 

「まさしくその通りです。別に歌詞の意味が分からなくてもいいし…。でも、俺の言葉がきっかけになって、“それ、確かに思ってたわ!”ってなればいいから。俺、間口はどれだけ広くてもいいなって思ってて。カジュアルに聴いてくれてもいいし、オシャレな音楽として届けば、それでも全然いい。とにかく、いろんな人の耳に届いて、どんどんでっかいステージにのぼって行きたいなぁっていう気持ちが今は強いですね」

 

―― なるほどね。ここまで主にストイックで硬派な面をお聞きしてきたので、ちょっとセクシーな部分もお聞きしたいなと(笑)。今回のEPのカップリング曲『FACE』とか、『BODY』なんかはどんなふうにできてきた曲なんですか?

 

「『FACE』は、真っ当にセクシーなリリックって感じですね。実は曲自体、詞とメロディーは結成初期にできた曲なんですよ。それを改めてリアレンジしてみようかと。そこからコードとリズムを全く変えて、新たにリフもつけて、今の形になったんですよ。だから、詞は二年以上前に書いたので、まだ一人暮らしをしてた時代で…。恋人と、ちょっといちゃついてるくらいの感じなんですかね(笑)。最近そういう色気のあるのを書いてないんですけど(笑)。頭ひねって、なんとかして生み出すって時もあれば、気づいたら書きあがってたってパターンもあって。『FACE』とかはそういう風にできた曲だったと思います」

 

―― レゲエフレーバーも漂ってきますね。

 

「最初、かなりヒップホップのトラックみたいな質感だったんですけど。それをライブでやるのはキツいねって話になって。あと、単純にあんまりこういうドープな曲はライブで演奏するの楽しくないから、ちょっといい感じにしようぜって。ようやくライブで演奏できる仕様になりました」

 

―― では、この曲なんかは純粋に音楽の気持ちよさに浸ってくれって感じ?

 

「ほんとそうですね。『FACE』『BODY』に関しては、自分たちのライブとか演奏するときの快楽を求めた結果生まれたアレンジなんですよ」

 

―― ところで、気になる次のアルバムに向けて新曲も出来つつあるんでしょうか?

 

「具体的に、次作がいつになるかちょっとまだなんとも言えないんですけど。とにかくどんどん曲はしたためている最中って感じですね」

 

―― 楽しみにしています!参考までに、今後活動していく上で、“こうはなりたくない”っていうような負のイメージってあります?

 

「自分がやってることが“つまんないな”とか、“寒いな”って思うようにはなりたくないですね。それ以外だったら、むしろなんでもいい。面白そうだったらなんでもやりたい!って感じですね」

 

―― テレビにも出る機会があったら、バンバン出ちゃう?

 

「そうですね、その…、つまんないテレビじゃなければっていう感じですけど(笑)」

 

interview & Writing by Amy Nonaka

 

 

 

 

 

 

 

 

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Suchmou(サチモス)

 

YONCE(Vo)HSU(Ba)OK(Dr)TAIKING(Gt)KCEE(Dj)TAIHEI(Key)の6人グループ。メンバー全員神奈川県育ち。Vo.YONCE.は湘南・茅ヶ崎生まれ。2013年1月結成され、都内ライブハウス、神奈川・湘南のイベントを中心に活動。FUJI ROCK FESTIVAL ’14「ROOKIE A GO-GO」2日目のトリを務め注目を集める。ロック、ソウル、ジャズ、ヒップホップからの影響をバンドに落としこみ、クールでモダンな高い演奏技術で支持を集め、2015年4月にはデビューE.P.「ESSENCE」がタワレコメン に、2015年7月には1st Full Album「THE BAY」をリリースしロングヒット中!Suchmosの由来は、スキャットのパイオニア、ルイ・アームストロングの愛称サッチモからパイオニアとなるべく引用。彼らは固まったジャンルをやろうとしているわけではない。あくまで“よい音楽”を追求している。

 

オフィシャルHP : http://www.suchmos.com/

 

 

 

2nd E.P. 『LOVE&VICE』

 

PECF-9022_E式W(125×140mm)

限定盤 [CD+DVD]

PECF-9022

¥2,000+tax

 

[CD収録曲]

01. STAY TUNE

02. FACE

03. BODY

04. S.G.S.2

 

[DVD収録曲]

01. YMM

02. Burn

03. Alright

04. Miree

05. GET LADY

06. GIRL Feat.呂布

07. Pacific

08. BODY

09.Life Easy

 

 

 scm_PECF-3159(通常)

通常盤 [CD]

PECF-3159

¥1,000+tax

 

[CD収録曲]

01. STAY TUNE

02. FACE

03. BODY

04. S.G.S.2

 

 

 

 

 

 

 

★関西エリア LIVE INFORMATION

 

『京音-KYOTO- 2016』

●日程 : 2月27日(土) ●会場 : KYOTO MUSE / 磔磔 ●料金 : 昼の部通し券 4,500円 (※初回入場時に別途ドリンク代必要。) 

【KYOTO MUSE】 OPEN 14:00 / START 14:30 ●出演 : ZAZEN BOYS、Nabowa、Suchmos、toconoma、落日飛車(台湾)、Homecomings、THE FULL TEENZ 

【磔磔】 OPEN 14:00 / START 15:00 ●出演 : GOMA meets AFRA、キセル、never young beach、Turntable Films、DENIMS、マイミーンズ

 

[チケット]

◇ローソンチケット 0570-084-005 (Lコード:57136) 

◇e+ http://eplus.jp 

◇チケットぴあ 0570-02-9999 (Pコード:285-140)

◇楽天チケット http://r-t.jp/ky-o-to

※お問い合わせ 京音-KYOTO- www.ky-o-to.com

 

 

『GRAPEVINE Present’s「SOMETHING SPECIAL Double Release Party」』 *SOLDOUT

●日程 : 2月27日(土) ●会場 : 梅田CLUB QUATTRO

 

 

『Suchmos 「TOUR LOVE&VICE」@大阪』 *SOLDOUT

●日程 : 4月16日(土) ●会場 : 大阪 梅田Shangri-la

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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