エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 関西版

2012/09/04

人間力ある歌でぶちかます! ハードコアがルーツの超新星出現

一度その声、パフォーマンスに触れると無性に心掴まれる。7月にミニアルバム『第三惑星交響曲』でデビューしたばかりの石崎ひゅーい。近年のJ-POPシーンには存在しなかった突然変異型の彼は一体何者なのか? バックグランドから掘り下げてインタビュー。



――これまでの活動やバックグラウンドについてお聞きしたいのですが。


「中学校の時はSPEEDとシャ乱Qがすごい好きでした。中3の時にボーカルに誘われて、最初はハイスタのコピーバンドみたいなのをやっていましたね。茨城県の水戸に住んでいたんですけど、ハードコアの超盛り上がってるシーンがあって。そこに入れてもらったんですよ。高一ぐらいからオリジナルを作り始めて、ミクスチャーとかオルタナみたいな音楽やってました。そのバンドを大学1年ぐらいまでやっていたけど、だんだん英語で叫んでるみたいなのが嫌になって。大学に入ってから新しいバンドを組んだんです。その頃から自分で曲を作って日本語で歌を書きたいと思い始めました」


――音楽性も変わってきたんですか?

「そうですね。ハードコアより自然と歌モノに寄ってきて。レディオヘッドとかU2とか、イギリスっぽい音に日本語の歌がのってるような感じでしたね」


――ひゅーいさんにとって音楽的に核となっているものは?

「うちの母親がデヴィッド・ボウイとかトム・ウェイツなんかが好きだったので、幼い頃は家でずっとそんな音楽が流れてて。意識してなかったけど、そういうのがちょっとあるのかなという気がしてます」


――デヴィッド・ボウイやトム・ウェイツからの影響というのは、自分のどういうところに現れていると思いますか?


「デヴィッド・ボウイは『ジギースターダスト』っていうアルバムが好きで、ああいう世界観や歌詞もすごいおもしろいなと思ったので。そういうのは自分の歌詞にも直接的に影響受けてるなと思いますね。最終的にトム・ウェイツみたいな歌手になりたいんですよ。ちょっと歌うだけで、その人の人生観みたいなものがわかっちゃうような、そういう歌手にはなりたいなと。大変だろうけど」


――日本のアーティストでは?


「日本人では玉置浩二さんや井上陽水さんがすごい好きですね。吉田拓郎さんも好きだし、あの頃の年代の人が好きですね。フォークから歌謡曲の間っていうか。いろいろ聞いた中で、ここ最近、これだ!っていう、好きな感じがだんだん見えてきましたね」


――ライブでは体全体で表現するようなエモーショナルなパフォーマンスが印象的ですが、ああいうスタイルはどのように身に付けてきたんでしょうか?


「あれも高校のハードコアのシーンでやってきたのが一番でかいんですけど。歌う以前に、みんなパフォーマンスするみたいな感じでライブをやってる人たちが多くて。それに影響されてやってたから、それが今でも自然に残っちゃってるっていうか。ほんとはもっと落ち着いて歌いたいなと、いつもそう思ってるんですけど。結局、ああなっちゃうんですよ(笑)」


――7月にリリースされたデビューミニアルバム『第三惑星交響曲』に収録されている曲はいつ頃作られた曲ですか?


「『第三惑星交響曲』以外は去年の夏ぐらいにできた曲です」


――『第三惑星交響曲』というのは、ひゅーいさんにとっても特別な一曲?


「そうですね。これは4年ぐらい前に亡くなったに書いてあげた曲で。僕、いろんなところで一番影響受けているのがお母さんなんですよ。お母さんそのものにすごい影響を受けていて。ほんと

に変な人で全部すべてにおいて影響を受けてたから。惑星とか星みたいな言葉も全部、母親譲りいうか」


――この『第三惑星交響曲』はお母さんが亡くなられてから作った曲?


「そうです。この曲の前に、一曲違う曲を作っていたんですけど。お母さんが死んだことが超悲しいっていう曲を作ってしまって、どうもしっくりこなくて。死に対してこういうことを言いたいわけじゃないなと思って書いたのが『第三惑星交響曲』だったんです」


――確かに、外に向けて気持ちが開かれているというか、高揚感がある曲ですよね。その、すごく個人的な思いから生まれている曲を、なぜ今回デビュー曲にしたんでしょうか?


「正直、あんまり自分でこの曲でデビューがいいってすごい主張して決めたわけじゃなくて。自然とこうなっていったんですよ。だからちょっと魔法がかかってるみたいな感じっていうか。だから、あんまりみんなにこの曲を聞かせたい!っていうわけではなくて。ただ母ちゃんを喜ばしてあげたいっていう、それだけなんですけど」


――でも結果的により多くの人に届く歌になってるんですよね。


「うん、そうなったらいいなとは思ってます。音楽の面白いところはたぶんそういうところだと思うので」


―–もしかしたら、石崎ひゅーいさんの代表曲になるような一曲なのでは?


「そうなったらいいですね。今はそういう気持ちです。」


――それ以外の4曲は去年の夏にできたということですが。


「去年の震災の後にバーッとできた曲なんです。みんないろいろな思いがたまってた時期だと思うんですけど。僕もたぶん同じで。できる時はメロディーと歌詞と一緒に出てきますね」


――出来てきた曲に共通項はありますか?


「なんか、インタビューを受けていく中で気付いたことなんですけど、「泣いてる」っていうのと「空」っていう言葉がすごい多いらしくて。でもよく考えてみたら、あの時(震災後)にみんなそういう感じだったのかなって」


――「空」っていうのは何なんでしょうね?


「「空」に向ってるっていうのはいろいろ意味があると思うんですけど。僕にとっては母ちゃんにみたいなところもあったりするのかな。あとは、暇だったんですよ、毎日何もすることなくて。ベランダで外

見てタバコ吸ってるみたいな感じだったので。そういう歌詞になっちゃったのかなって」


――『3329人』っていう曲は、自殺者の数なんですね。曲の最初にひゅーいさんが誰かに電話している音が入ってますが、これも暇だったから?


「そうです」

――誰かとつながりたいっていう思いで?


「そうです。でもみんな仕事してるし、誰も出てくれない」


――その誰ともつながれないっていう孤独感から自殺っていうところにつながっていくようなことを歌っているんでしょうか?


「そういうのも表現したいっていうのがあるかもしれないですね」


――それも去年できるべくしてできた一曲なんですね。


「たぶん、そうなんじゃないかと思ってます」


――全曲を聴いて、すごく人間性みたいなものを取り戻そうとしているようにも感じます。


「うん、すごいあると思います。けっこう人を見るのが好きで。僕が書くことってやっぱり人に対してのことかなと。一対一のものっていうか、人に対してのものっていうのは、自分の中で大きなテー

マみたいなものはあるのかもしれません」


――時代的にはどうでしょうか?そういうテーマで今、みんなに訴えたいっていうようなことは?


「わかんないけど、今のトップチャートみたいな音楽があんま好きじゃないっていうのもあって。偏ってるなと思うんですよ。あんまり人間臭くないなと思って。僕が好きだった90年代前半の頃って

いろんな人たちがごちゃまぜになってシーンを賑わせてたっていう印象があって、すごい良かったと思うんですよ。でも今は一辺倒すぎるなと思って。ぶちかましてやりたいみたいなのはありますね」


――そういう気持ちは大事ですよね。確かに、今、石崎ひゅーいっていうアーティストに出会うことで「はっとする」ような感覚ってありますね。無意識に求めていた人がここにいた!ってリスナーに思わせる何かを感じます。


「そうなりたいなと思います」


――デビューミニアルバム『第三惑星交響曲』を引っさげて、今後はどういった活動していきたいですか?


「ライブはどんどんやっていきたいですね。もっとレベルアップしていきます。がんばります!」


●石崎ひゅーいが語るGAME

「携帯のゲームで、MEGっていうちっちゃい猫ちゃんを成長させるゲームがあって、これはオススメです。たまごっちみたいな育成系ですね。なでてあげると喜だりして、だんだん育っていくんです。ツイッターと連動させておくと僕の代わりにつぶやいてくれるんですよ。「おなかが減った」って(笑)」


■PROFILE

石崎ひゅーい(いしざき ひゅーい)

’84年生まれ、茨城県出身。ひゅーいという名前は、母親が好きだったDavid Bowieの息子、Zowie(ゾーイ)をもじって名付けられた。’11年10月にMONKEY MAJIK主催のチャリティライブ『SEND 愛』のオープニングアクトを務め、会場を圧倒する。’12年3月に初の音源作品『第三惑星交響曲』を仙台限定でリリースし、タワーレコード仙台パルコ店インディーズチャート1位を獲得。7月25日にミニアルバム『第三惑星交響曲』でデビューした。



■  DISC INFO

mini album

『第三惑星交響曲』

ESCL-3941

¥1,835

※     now on sale

 interview & writing by Amy Nonaka


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