エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 関西版

2010/08/09

5年ぶりのフルアルバムをリリースしたDOBERMANにインタビュー

1st以上に初期衝動あふれる

5年振りのフルアルバムを発表

 

 

……今作『未来のスポーツ』はフルアルバムとしては5年ぶりですが、こんなDOBERMANを待っていたって言いたいぐらい。開かれてて勢いがあって痛快な内容です。今作に至るまで、’08年に結成10周年の節目を経てきたことも大きいのでは?

 

吉田田(Vo.)「10周年の時のライヴで、10年やってきたことをずるずる引きずるんじゃなくて、次のステージに行きたいっていうことを言ってたんですけど、今回歌詞は今までの自分がやってきたことに蹴りをつけて次の所に行くぞ!っていう気持ちをすごく持って書きましたね」


……内容に関して、何かコンセプトはあったんでしょうか?


吉田田「今回は特にないですね。コンセプト的にやるとあんまり良くないね。嘘っぽいものができ上がるような気がする。コンセプトっていうのは後付けじゃなくて、やってるうちに出てくるんですよ、絶対に。それで全体を通してアルバムを聴くと、今の自分の置かれている環境とか、前作とは変わってきてる心持ちが意識しなくても出てるはず。それがコンセプトとなっていけばいいなと」


……今作の中では平井さんが作曲してる『ピコピコ』が他とは違うタイプの曲で、歌詞も含めて面白かったんですけど。これはどのようにできてきたんですか?


吉田田「僕、あんまり自分の思ったことは書けへんけど、この曲に関しては、歌詞に出てくるケンタちゃんは実在する人物で、よく一緒に山ん中走り回って探検してた地元の幼なじみなんですけど、中学校ぐらいから会わなくなったので、ケンタちゃんどうしてるかなって思って。そんな歌書いてみようかなと。すごい普通のことを、初めて書いたかもしれない。メンバーも俺のこと信用してくれてるし、俺もメンバーのこと信用してるから、ここらで俺のこと歌ってもいいかなと思って。今までは、DOBERMANのことを歌い、DOBERMANの歌詞を書こうとしてたけど今回そういう自分のことを初めて書いてみたら、メンバーも「いいねえ!」って言ってくれて。曲自体も今までのDOBERMANのゴリゴリな感じと違ってユルいし。ちょっとリラックスした曲があってもいいかなと。俺がこういう歌詞を書いても、NO!っていうのはもうないなっていう安心感の中で書けるんですよ。もう10年以上一緒にやってて、しっかりした信頼関係があるからね。すごくないですか? メンバーチェンジなしですよ」


……それはDOBERMANのライヴを観ていても感じることです。その結束力の強さがあってこそのあのエネルギッシュなステージだなと。


タクロウ(G.& Har.)「なんか、形や物を崇拝するのはうちのメンバーは苦手やと思うから。結局、連れな感じがすごい大事で。でもそいつらメンバーに対してカッコつけたいっていうところが根本的にあって。今まで気付いてなかったけど、最近そうかなって思うようになってきましたね」
吉田田「タクロウが、今回でき上がった時に、「何にも辿り着きたくなかったんちゃうかな」みたいなこと言ってて。その意味を考えててんけど。カッコいいとされてるものとか、大きいものの安心感の中で、そこに辿り着きたくないみたいなことかなと。ちょっとヒネくれもんなんやろうね」


……それはDOBERMANというバンドが元々持ってる性質のような気もします。


吉田田「そうそうそう。それは一作目から持ってるのやろうな。それで、DOBERMANって、2トーンじゃなくてネオスカやとか、言われるけど、もうそんなことはどうでもいいなと。で、1stアルバムが一番良かったとか言うなよ!って書いといてください(笑)」


……今が一番いい!と思えるものがDOBERMANの今作にはあると思います。


吉田田「たぶん先入観なく聴いたら、1stアルバム『ザラザラテクスチャー』よりよっぽどザラザラしてるし、初期衝動あると思いますよ」


……何がそうさせるんでしょうね?


吉田田「パターン化してないからやね。ひとつのジャンルの音楽をやり続けてる人もカッコいいと思うけど、俺らはどんどんどんどん変化していくのを受け入れて行こうっていう姿勢でやってるから」
平井「スカっていうのは、その単語を自分らでは意識してないぐらい染みついてるもので、勝手に出てくるから」
吉田田「どんどん自由になっていってるね。
Yusuke「僕の中では、スカって味付け程度で、ほとんど意識してないし、全然好き勝手やってますね」


……今作のタイトルに、『未来のスポーツ』と付けた理由は?


吉田田「『バルバルトの丘』っていう曲の中の、「老人は床に這い蹲り、未来のスポーツを考えている」っていう一節から付けたんですけど。その老人の姿を想像すると、すごいロマンチックやけど陰りがあって、“未来のスポーツ”っていう世界一短いSF小説みたいなイメージ。記事にしにくいと思うけど…、俺は、強烈にガーンときて、これしかない! と。新しい境地に言ったぞ!と思ったんやけど」


……DOBERMANの新発明的な?


吉田田「そうやね(笑)。スポーツなんかどうでもいいんですけど、この『未来のスポーツ』って聞いて一筋縄ではいかんなって感じで、未来のスポーツを考えてる姿ってなんか夢が膨らむでしょ? 単語が示してる意味なんかどうでもよくて、その一節が持ってるパワーみたいなものは大事にしてますね。それは歌詞全体を通してそうなんですけど」


……それが面白いと感じるんでしょうね。既存のJ-POPのフォーマットにはない魅力があって。かといって難しいものではなく。


吉田田「J-POPのフォーマットに合ったものは聴いた人が安心するかもしれないけど、そうはなりたくないっていうのが根付いてしまってるんやろうね。でもキャッチーなものにしたいと思ってるし、リスナーを無視したくないと思ってるから独りよがりなものにならないようにしようとしたいなと思ってて」
平井「いっぱいいろんな人に聴いてほしいですね。例えばこの曲を野外のデカい会場でやったらどうなるんやろうなって思いながら作ってるから」
Yusuke(G.)「前のアルバムから5年ぐらい空いていたので、不安って結構あったんですよ。でも、できてみたら、より一層DOBERMAN色が強くなって、それぞれが書いてきた曲も良い感じにバランスが取れたので。良いアルバムができたと思って満足しています」


……各楽曲とも、すごくダイレクトにくるし、気持ちを突き動かされる感じがします。


吉田田「ここでしゃべってることは奥の方にあることだけど、実際の音はもっと直接的で、スピーカーからワンパンチで出てくるようなそんな曲ばっかりやと思うから。腕組んで聴かんでも、ドーンとくるはずです」


●プロフィール
DOBERMAN(ドーベルマン)
SKAをベースに独特の感性と幅広い音楽性で他とは一線を画す9人組。’98年に結成、翌年からライヴ活動を開始。これまでにスカパラ、奥田民生、スペシャルズらと共演。欧州や韓国でのライヴも成功させている。


new album
『未来のスポーツ』


2,100円(tax in)
CTRL-0005
※now on sale


●ライヴ情報
<SUNSET LIVE 2010 18th>
9/5(日)福岡 芥屋(けや)海水浴場・キャンプ場
http://www.beachcafesunset.com/live/index.html




interview & writing by A.Nonaka


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