エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 関西版

2019/09/26

【インタビュー:映画『惡の華』】伊藤健太郎と玉城ティナが語る『惡の華』の本質、そしてふたりが目覚めたこととは?

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――今作は原作ファンも多い人気漫画の実写化となりますが、原作自体はどういう作品と捉えていましたか?

 

伊藤「僕はなんとなく内容は知ってはいましたが、原作の漫画をちゃんと読むのは今回が初めてでした。漫画の表紙に“クソムシが”とか書かれているから、ちょっと手に取りづらいところもあったけど、意外と誰でも共感できるというか、わかる部分がたくさん詰まっている作品だなと思って面白かったです」

 

玉城「原作は高校生の時に読んでいましたが、二十歳を超えてから俯瞰で見られるようになって気付くこともありました。春日は仲村に振り回されてるように見えるけど、実は春日が振り回してるんじゃないかなとか。仲村のピュアさみたいなものも、今回読み直してから気付いたので年を重ねていってからの方がより響くのかなと…。そういう意味ではこの『惡の華』は、大人になればなるほど共感性の高い作品なんじゃないかなと思いました」

 

――出演が決まった時はどのような心境でしたか?

 

伊藤「すごくうれしかったです。本当に面白い映画になるだろうなと思いました。今まで自分が演じたことのない役柄だったので、自分としても得るものがすごくたくさんあるだろうなって。今これをやるべきだと思いました。実際、井口監督とご一緒できたことはすごく財産になりましたし、共演者のみなさんも素敵な方々ばかりだったので、とても楽しかったです」

 

玉城「あの原作の世界観をどんな風に実写化するんだろう? って思ったし、なかでも圧倒的なキャラクターである仲村佐和を演じられるというのはすごく楽しみでした。わくわくしました」

 

――伊藤さんは“演じたことがない役柄”だったとのことですが、撮影が始まって、どのようなところでスイッチが入りましたか?

 

伊藤「クランクインして最初に撮影したシーンが、(クラスのマドンナ・佐伯奈々子の)ブルマを嗅ぐシーンだったんです。そこで、漠然と描いていた春日がちゃんと自分の中にバチッとハマりました。もともとは違うシーンを初めに撮影する予定だったのですが、天気の問題であのシーンからの撮影になってよかったなと思いました」

 

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――もちろん“ブルマを嗅ぐ”というのは初めての体験ですよね(笑)。

 

伊藤「初めて…です(笑)。僕の場合、自分が経験したことや実際に見たことじゃないと演じるのがなかなか難しいし、限界があるんですけど、あのシーンをやったことで春日のことを理解できた部分もたくさんありました」

 

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――玉城さんは仲村さんの役に本当に同化しているように見えました。どのような気持ちで演じましたか?

 

玉城「仲村は感情の表現の仕方が独特なので、漫画だけでは伝わらなかったことを映画版でより見せられるように、観客の方に対してわかりやすい部分も増えればいいなと思って演じました」

 

――仲村さんが発する過激な台詞は映画を観終わった後も耳にこびりつくほど強烈でしたが、いちばん難しかったことは?

  

玉城「うーん…、これまで口にしたことがないような音のつながり方の台詞だったので、最初はどういう風に音として発せられるかなって、考えることばかりでした。でも、本読みを終えて、伊藤さんとなんとなく道筋を立ててからは割とやりやすかったですね」

 

――演技する中で何か意識したことはありますか?

  

玉城「自分でガチガチに決め込んで現場に行かないということかな。仲村って、エキセントリックに強さみたいなものを出そうと思えばいくらでも出せるんですけど、そこだけじゃないっていう部分を伝えたくて。切なさだったり弱さだったり、ちょっとした寂しさみたいなものも出せるように心掛けました。そのために、声もそのシーンごとの正解を探っていました」

 

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――確かに、仲村さんって怖さや不気味さが前面に出ていますが、その奥にある哀しみも痛いほど伝わってきました。ちなみに、撮影中のエピソードや印象に残っていることは?

 

玉城「仲村の良さを出すのはすごく難しくって…。監督とふたりで話し合ったりすることもあったんですけど、そういう時に伊藤さんだけちょっと離れたところにいてくれたりしたので。良い意味でほっておいてくれたのが逆に私はうれしかったですね」

  

伊藤「(撮影時は)結構寒かったので、裸になるシーンとか水を浴びるシーンは大変だなと思うこともありました。でも、それより春日と仲村の(心の)距離感が近くなったり離れたりする感情表現で、ちょっと難しいなと思うところはたくさんあって。最初は、そんなことになると思わなかったんですが、徐々に青春映画を撮っている時とあまり変わらない感覚が芽生えてきたというか…。この映画は実は普遍的なことをやっているんだなと思いました」

 

――撮影現場はどんな雰囲気でしたか?

 

玉城「割と体育会系の現場っていうか(笑)。春日に馬乗りになったり、ブルマを履かせたりする時も身体をものすごく使うし、大きな声を出したり、感情的なお芝居をするところも多くて体力的にちょっと辛かったところもありましたけど、それがある分、すっと(冷静に)なった時の落差もあって、そういうところに生まれる怖さみたいなものが自分の演技の良さにつながっていたらいいなと思います」

 

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――ところで、今作に出演して、何か目覚めたことがあればお聞きしたいです。

 

玉城「目覚めたこと(笑)、ふふふ、無事に目覚めずに…」

 

伊藤「ドMになりました」

 

玉城「(笑)大丈夫? “ドMになった”って見出しに書かれるかも」

 

――“変態的”なこと以外では? 

 

玉城「そうですね…、人生でいちばん漫画を読んでいたのは高校生の頃なんですけど、改めて漫画って面白いなと思いました。『惡の華』に限らず、改めて漫画を読むようになったりもしました。ヴィレッジヴァンガードに久々に行ってみたりとかして。高校生の時、めちゃくちゃ行ってたんで(笑)」

 

伊藤「僕も行ってた! 家の中の雑貨はほぼヴィレヴァンだった(笑)」

 

――伊藤さんが何か目覚めたことは?

 

伊藤「今回の『惡の華』は、桐生市(群馬県)で撮影したのですが(原作者の)押見先生が桐生市をイメージして書かれたそうで。結構原作そのまんま映像になっているんですよ。映像の中の景色が漫画とキレイにリンクしているのは面白いと思いましたし、原作ファンとしてはうれしいんだろうなと思いました」

 

――では最後に、これからこの映画を観にいく人に向けて一言お願いします。

 

伊藤「超ゴリゴリ青春映画! です(笑)」

 

玉城「(笑)そうね。私たちは“青春映画”だと思っていますし、どの世代の方にも届くような作品になっていると思います。“変態”だったり、“衝撃的”っていうワードはもちろん立ってるんですけど、それだけじゃないというか。思春期を通った方ならだれでもわかってくれる作品になったと思います。音楽もすごく良いので、ぜひ大きいスクリーンで観てほしいなと思います」

 

伊藤「やっぱ男の子だったら誰もが感じる感覚、願望みたいなものがすごく詰まっていて、春日と同じ目線で観てもらえたらより楽しめて、映画に没頭できると思います。ぜひ劇場で観てもらいたいです」

 

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 Interview & Writing by エイミー野中

 

伊藤健太郎さん

メイク:伊藤元(Crollar)、スタイリスト:高橋毅(Decoration)

 

玉城ティナさん

ヘアメイク :今井貴子、スタイリスト:松居瑠里

 

«PROFILE»

伊藤健太郎(いとうけんたろう)

’97年6月30日生まれ、東京都出身。ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(CX)で俳優デビュー。多数の話題作に出演し、’19年「第42回日本アカデミー賞新人俳優賞・話題賞 俳優部門賞」を受賞。ラジオ「伊藤健太郎のオールナイトニッポン0」ではパーソナリティを務め、舞台や情報番組MCなど活躍の場を広げている。

 

玉城ティナ(たましろてぃな)

’97年10月8日生まれ、沖縄県出身。’12年に講談社主催の「ミスiD(アイドル)2013」でグランプリを獲得。14歳で『ViVi』最年少専属モデルとなり、’18年に『ViVi』を卒業。『ダークシステム 恋の王者決定戦』(’14)のヒロインで女優デビューし、コメディからホラー、シリアスな人間ドラマまで幅広い役柄を演じている。

 

«MOVIE INFORMATION»

『惡の華』

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監督:井口昇

脚本:岡田麿里

原作:押見修造「惡の華」(講談社『別冊少年マガジン』所載)

主題歌:リーガルリリー「ハナヒカリ」

出演:伊藤健太郎、玉城ティナ、秋田汐梨/飯豊まりえ、他

配給:ファントム・フィルム

 

※9/27(金)よりTOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OS、他全国公開

 

«STORY»

中学生の春日高男は、ボードレールの詩集『惡の華』を心の拠り所に、息苦しい毎日をやり過ごしていた。ある日、春日は放課後の教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を見つけると、衝動的にそれを掴んで逃げ出した。その行動を目撃していたのはクラスの問題児・仲村佐和。彼女は秘密にする代わりに、春日にある契約を持ちかける。こうしてふたりの関係は新たな展開を見せていくが、佐伯奈々子も交えた三角関係がこじれてゆき、春日と仲村は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう…。閉塞感に満ちた場所から、“向こう側”を目指す彼らの未来に待ち受けるものは…。

 

YouTube Preview Image

 

 (C)押見修造/講談社 (C)2019映画『惡の華』製作委員会

 

OFFICIAL WEBSITE

http://akunohana-movie.jp/


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