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フライング・ポストマン・プレス

2016/12/22

【インタビュー】12/24(土)より公開! ヒリつく青春群像劇『太陽を掴め』監督:中村祐太郎、主演:吉村界人が語る「気持ちをカタチにする」ということ

「吉村君の鋭さや熱さは、ヤットの心を形成する上で大切な要素」(中村監督)
「言葉にできない想いみたいなのを形にした映画なんだと思う」(吉村)

 

吉村界人アー写

 

 

 

東京に生きる若者たちのヒリヒリした日常を熱量高く描く青春群像劇『太陽を掴め』が公開される。監督はこれが劇場デビュー作となる若干26歳の新鋭・中村祐太郎、主人公の“激情迸る”バンドマンに扮したのは伸び盛りの俳優・吉村界人。日本映画界が熱い視線を注ぐ新たな才能たちが集い、作り上げた本作。その撮影の裏側を、監督と主演俳優が語る。

 

 


 

――中村(祐太郎)監督と吉村(界人)さん、おふたりが撮影前に作品について言葉を交わすことはあったのでしょうか。

吉村「結構話しました。僕が演じさせてもらう役がバンドマンということで、一緒にカラオケに行ったりして」
中村「そうだったね」
吉村「その時に“ふだん思っていることを聞かせてくれ”と監督に言われたんです。それで恋愛のことや人生のこと…そんなひとりの人間として今考えていることを話して」

 

――その時の吉村さんの言葉を、ヤットというキャラクターを構築する際に参考にすることもありましたか?

中村「取り入れました。脚本を書いている時は基本的にずっと、吉村君のことを考えていましたね。吉村君がプライベートの時に見せてくる鋭さや熱さみたいなものは、ヤットの心を形成する上で大切な要素になっていて。例えば、映画の中でヤットが高校の同級生のユミカ(岸井ゆきの)に告白するシーンがありますが、そこは“吉村君ならこんなふうに言いそう”と想像しながら書いたものなんです。撮影に入る前に、吉村君と多くの時間を共にしていなかったら描けなかったシーンだと思います」

 

――演じた吉村さんはいかがでしょうか? ヤットの言動を共感を持って受け止められました?

吉村「気持ちの部分ではありましたが、行動の部分では自分とは違うと思うところもありました。僕自身の考えがベースになったキャラクターとは言え、かなり飛躍させているところがありますから。例えば、自分自身の中に熱い何かがあったとして、僕はそれをグッと押し殺してしまうタイプなのですが、ヤットは思いっきり爆発させるんです」
中村「ああ、確かにヤットはそうだよね。現実に生きていると、なかなかヤットみたいに爆発はさせられないそこは、現実的なところだよね」
吉村「そう。あと純粋にステージの上で、たくさんの人の前で歌を歌うなんてもちろんやったことがないですし。僕、あんまりライブハウスにも行ったことがないんですよ」

 

――そうは思えないほど、ライブシーンが本格的でした。あのパフォーマンスはかなり研究された上でのものなんですか?

吉村「いや、実はライブ映像とかはあえて観なかったんです。尊敬しているジョン・レノンやボブ・ディラン、尾崎豊さん、甲本ヒロトさんのインタビュー動画をインターネットで観たりはしたのですが」

 

――ライブ映像ではなく、インタビュー動画というのはどうしてですか?

吉村「例えば、尾崎豊さんのライブ映像を観たとして。あの尾崎さんの髪の毛をかき上げながら歌うところなんて、やっぱり恰好いいのでマネしたくなるんですよ。今回の映画のライブシーンは長いもので約7分カメラを回しっ放し。その長回しの中で“次はあの動きをやってみよう”などと考えながらやると絶対にカメラにバレるだろうし、無駄なものが多くなってボヤけるだろうと思いまして。それでライブ映像は避けようと。インタビューには印象的な言葉がたくさんありましたが、なかでも甲本さんが話していた“うまく歌うとかじゃなくて、とにかく届かせるのみ”という言葉は撮影中もずっと頭にありました。僕も自分を貫いて届かせるのみだと、その一心でライブシーンを演じました」
中村「強い言葉ってストンと直接心に入ってきて、残ったりするものだよね。僕も自分を奮い立たせたい時には矢沢永吉さんのインタビュー動画を観たりするんです。そうするとメッチャやる気になるんですよ(笑)。特に吉村君は役者ですからね。“気持ちが入る”というのは重要なことだと思います。尾崎さんや甲本さんの言葉を入れたことで、現場ですんなりと“そういう人になれる”というところはあるんだと思う」

 

 

 

『太陽を掴め』メイン

 

 

 

――共演者の方の話も聞かせてください。ヤットとユミカ(岸井ゆきの)、タクマ(浅香航大)の関係性が物語の主軸ですが、岸井さん、浅香さんとの共演シーンで印象深いものは?

吉村「岸井さんのほうは、ヤットとユミカが待ち合わせて一緒にごはんを食べにいく、というシーンが印象に残っています。それまではずっとメールでやり取りしていたふたりが、実際に会って話をする。そういう時ってちょっと固くなったりするじゃないですか」
中村「ああわかる(笑)。メールの人格と、実際に会った時の人格って違ったりするしね」
吉村「そう、そのぎこちない感じごとちゃんと出ていたなと思って。特別に相談しながらやっていたわけではなく、自然と通じ合っていたという感じがします」

 

――浅香さんとの共演シーンで印象深いものと言うと?

吉村「ヤットとタクマのケンカのシーンが印象深いです。激しい言葉をぶつけ合った後にただ見つめ合う。その沈黙の時間でいろんなものを伝え合えた。僕自身、すごく好きなシーンですね」
中村「ヤットが“正しいとか空気とかじゃねんだよ!”って言うところだね。確かにあそこは良かった。でも今改めて聞くと、すごい言葉だよね。ヤットの自分の尊重具合が出ているというか…ヤットのいいところが出ている言葉だと思う」

 

――中村監督の演出の印象も聞かせてください。

吉村「正直、よくわからないフレーズも多く、“どういうこと?”という時もありました(笑)。例えば、ヤットがユミカに告白するシーンでは“コスモを感じるんだよ”と監督が言っていて。“コスモってなんですか?”と聞いても、“コスモっていうか…コスモなんだよな”とそればかりだったんです(笑)」
中村「あそこは公園で撮ったんですけど、その時の光の感じもなんか良くて、“ここはふたりだけの空間だな”となんとなく思ったんです。そういうことを、“コスモ”という言葉にして伝えたかったでしょうね、今思うと(笑)。ふたりだけの公園、ふたりだけの小宇宙という意識で愛の告白をして欲しいと」
吉村「なるほど(笑)。でも、とは言っても監督の言葉は理屈じゃないというか…“気持ち”なんです。よくわからないけど気持ちはわかります、という感じ。僕は監督の演出が結構好きです」
中村「ありがとう」
吉村「この映画も、そういう、うまく言葉にできない想いみたいなものを形にした映画なんだと思います。それと“映画はその瞬間を記録したもの”とよく言いますが、まさにそういう作品でもあると思う。二度とはない時間が映っている映画だと思います」
中村「そうだね。あと僕から付け加えたいのは、登場人物たちのおしゃれも楽しんで欲しいということ。ヤットたちが着こなすストリート感溢れる衣装って言うの? ちょっと僕はファッションのことはわからないんですけど…」
吉村「わからないんだ(笑)?」
中村「わからないんだけど(笑)、メチャクチャ恰好いいことはわかります。そういう部分も含めて、ぜひ若い人たちに楽しんでもらいたいですね」

 

 


 

 

中村祐太郎(なかむら ゆうたろう)

 

’90年生まれ、東京都出身。多摩美術大学映像演劇学科在籍中に、『ぽんぽん』(’13)、『雲の屑』(’14)を監督し、いずれも東京学生映画祭でグランプリを獲得。その後『あんこまん』(’14)でMOOSIC LAB2014で三冠獲得。本作が劇場デビュー作となり、今後の飛躍が期待される。

 

 

吉村界人(よしむら かいと)


’93年生まれ、東京都出身。’14年に『ポルトレ PORTRAIT』で映画主演デビュー。今年は『ディストラクション・ベイビーズ』(’16)、『TOO YOUNG TOO DIE! 若くして死ぬ』(’16)などに出演。本作に続き、来年1/14には『牝猫たち』が公開。さらに『獣道』も来年に公開を控える。

 

 

【映画情報】
『太陽を掴め』
’16年/日/89分
監督・脚本:中村祐太郎
出演:吉村界人、浅香航大、岸井ゆきの、柳楽優弥(友情出演)、他
※12/24日(土)よりテアトル新宿他全国順次公開

(C)2016 UNDERDOG FILMS

 


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