エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス

2016/01/27

【インタビュー】最高傑作にしてラストアルバムが完成。そして、”Galileo Galile終了”へ。

音楽とGalileo Galileiを天秤にかけ、

音楽が勝ってよかったと思ってる。

 

Galileo Galilei「クライマー」

 

 

4枚目のニューアルバム『Sea and The Darkness』とそのツアーをもって、“Galileo Galileiの終了”が突如発表された。あまりにも大きな決断をしたメンバーに率直に尋ねてみた。その理由と経緯、ラストアルバムにして大傑作『Sea and The Darkness』について。

いつも以上に丁寧に言葉を選びながらの答えから伝わってきたのは、長い間“飲み込まれそうな海”にいたこと。そして誰よりも音楽を愛し、人生を賭けて鳴らしていく潔い覚悟だった———。

 

 


 

 

俺らが音楽を続けるために決めたことなので、

とても前向きです。

 

 

———深海を漂うような美しいアルバムを前に突然のお話。えっと、バンドは解散ということでしょうか?

 

尾崎雄貴(以下、雄貴)「Galileo Galileiは終了します。…うん、“終了”という言葉が一番相応しい。“解散”だとその後、音楽を続けるかどうかわからないイメージですが、僕らは音楽を止めるつもりはないので」

 

———音楽を止めるつもりがないのは新譜を聴いて確信していました。では、“Galileo Galilei終了”の経緯を教えてください。

 

雄貴「いろんな想いを抱えながらこの3年間考えていました。もうほぼずっと。考え始めたのは、アルバム『PORTAL』(’12)を作り終えたあたりからです」

 

———『PORTAL』あたりから、いわゆる“爽やかでポップ”な音楽とは一線を画していった印象があります。バンドのパブリックイメージがしんどくなってきたとか?

 

雄貴「それも理由のひとつではあるけどメインではないです。それより自分たちの音楽への想いの方がずっと強い」

 

———ささくれみたいな違和感はメンバーと共有していたんですか?

 

雄貴「はい。ずっと俺から話をしてました。迷っているというより、そうなるだろうと確信してた部分もあったので」

 

——今回の決断は前向きな決断ですよね?

 

雄貴「とても前向きです。俺らが音楽を続けるために決めたことなので。でもあんまり大きな決断感がないのは、ずっと考えてきたことだからかな。今はそれがじわじわと現実になった感覚です。このメンバーと音楽をやりたくないとかは一切なく、逆に今は結束力が強くなってますね」

 

———バンドを終わらせることに怖さはなかったですか?

 

雄貴「怖さはもちろんありますよ。そして、これからすごく大変だろうなっていうことも感じてます」

 

佐孝仁司(以下、仁司)「Galileo Galileiが終了したら僕らが音楽を止めたと思う人もいっぱいいるだろうし、新しいバンドを結成したとしても昔のバンド名で呼ばれるだろうしね」

 

尾崎和樹(以下、和樹)「クリス(POP ETC)からは今なお何度も止められてるよね(笑)」

 

———まだ間に合いますよ(笑)。

 

雄貴「(笑)。怖い気持ちもそりゃあるけど、音楽とGalileo Galileiを天秤にかけ、音楽が勝ってよかったと思ってるんです」

 

 

 

おもちゃの車を気に入ってるし、乗り心地も最高

でもそれに乗ってる自分たちが恥ずかしくもある

 

 

———今は正直清々しい気持ちですか?

 

雄貴「うーん…なかなか説明が難しいのですが、このバンドは10代の頃に遊びからスタートしたバンドです。遊びでやってたら「閃光ライオット」(’08年)に優勝してメジャーデビュー、音楽が俺らの職業になった。他にやりたいことなんてなかったし、ずっと遊びの延長だったんですよ。例えるなら、おもちゃの車に乗り込んで、その車でずっと進んできたのが今」

 

———おもちゃの車だと壊れるし、高速道路に乗れないですね。

 

雄貴「まさに。成長して大きくなったのに、ギュウギュウになりながら今も乗ってる。この車を気に入ってるし、乗り心地も最高なんだけど、それと同時に子どものおもちゃに乗ってる自分たちが恥ずかしくもあって。このまま乗り続けていたら、いつかケンカを始めたり誰かが転げ落ちたりする。だからそうなる前におもちゃの車を降りて置いていこうっていう感じが一番当てはまると思います」

 

———佐孝さんは少し前から東京に住まれていますが、そのことも影響あるのでしょうか?

 

仁司「東京に住むことによって人ともっと関わって音楽をやっていきたいと思ったんです。他の人のミックスの仕事をやってみたり、ベースを弾く場所も増やしたかったので。バンドは離れていてもできますしね。上京して気持ちは前を向いてます。以前は人に会うとエネルギーを吸い取られるし、あまり情報も入れたくなかったんですが、今は大丈夫。1歩前に進めましたね」

 

———このアルバムはラストアルバムの前提で作ったのですか?

 

雄貴「最後だとわかって作ってましたが、“ラストアルバムだからこうしよう”ということはまったくなかったですね。もしラストアルバムじゃなくてもこの作品ができ上がっただろうし、それはメンバーが大人になったってことですね」

 

———今作のジャケットとタイトルから、たったひとりで宇宙に旅立たされたライカ犬を想像しました。

 

雄貴「メンバーとは長年一緒に暮らしてきたし、仁司は幼馴染みで和樹は兄弟。3人とも同じ暗さを持ってるんです。そしてこのアルバムはジャケットも含めて全部、俺らが抱えてきた孤独や恐怖、死生観が出た作品になりました」

 

———『Sea and The Darkness』というアルバムタイトルの意味は?

 

雄貴「俺らが感じてきた孤独や悲しみは、“ひとりでポツン”としているものではなく、もみくちゃにされるような激動の中にある孤独と悲しみ。頭と心がどうにかなりそうな、どこに連れて行かれるかわからない恐怖の中にいたので、このタイトルはぴったりだと思ったんです。誰もが抱えている陰の部分は人それぞれ違うけど、俺の陰は“飲み込まれそうな海”みたいだった」

 

———イラストの犬も印象的ですね。

 

雄貴「たまたま見つけたショートアニメでJohn cody kimという人の作品に出てくるスタンリー。スタンリーは離れてしまった飼い主の少年を探して走ってるんだけど、“何か”から逃げてるようにも見えて。その感じが俺らと重なったんです。学生時代は苦手なことから逃げ、バンドを始めてからは取り巻く環境やイメージから逃げに逃げ、でもそれがバンドのエネルギーでもあった。そして俺らは逃げながら本当の自分たちを探すことをずっと繰り返してきたんです。それはすごく孤独だし、走っているから“ひとりでポツン”じゃない。まさにイラストの通りですね」

 

 

 

今作には怒り悲しみ孤独、悔しさ寂しさ

音楽や人に対しての愛が全部詰まっている

 

 

———今作は死生観が出た歌詞も多かったですね。

 

雄貴「今回初めてGalileo Galileiではなく、“尾崎雄貴”として表現できたと思ってます。今回の作品は俺自身。でも先ほど話したようにラストだからそうしたわけじゃなく、俺らが好きなバンドや音楽のエネルギーを感じるのが、“俺ってこういう人間なんだよ”っていう、その人の根幹が感じられる部分。だからこそ、今回はGalileo Galileiというバンドやイメージを一切言い訳にしなくなかったんです」

 

和樹「中学生の頃から兄ちゃんがノートに書いている歌詞をこっそり盗み見してました。その頃からずっと兄ちゃんの歌詞が好きだったので。今回の歌詞は全体的に“これぞ尾崎雄貴だ”って思う。特に『鳥と鳥』とかね」

 

仁司「これまでバンドの方向性としては自分たちの人間性を出すというより、鳴らしたいサウンドが先行してました。だけど俺らが好きな’70年代のバンドは、“俺はこうだ!”っていうエネルギーが満ち溢れていて、聴く人もすごいパワーをもらう。音楽にはそんなエネルギーとパワーがあるからこそ、曲の根本にあるものときちんと対峙しなきゃいけないんです。ライトで軽いものが受け入れられがちだけど、俺らが好むのはそこじゃないので」

 

———ラストアルバムが本当に素晴らしい作品で、バンドの誠意を感じます。

 

雄貴「ありがとうございます。……でも少しだけ寂しいことを言うと、“俺自身だ”って言いつつも、俺ら自身がこのアルバムをまだ理解しきれてないかもしれない」

 

———言葉にできない感情だからこそ音で表現していることに対して尋ねるインタビューは時に無粋だと感じるんですが、今回は特に感じます。

 

雄貴「それはうれしいですね。サウンドとして読み解けるものになったと感じているので。歌詞、メロディ、アレンジ、すべて当たり前に最高のものを作ったので音を信じています。だから後は音にすべて任せられる。説明は不要なんです。今作には怒り悲しみ孤独、悔しさや寂しさと同時に、音楽やメンバー、聴いてくれた人に対しての愛が全部詰まっていると確信しています。なんと言われようともそこは揺るがない。それは俺が俺であるように」

 

 

Galileo Galilei(ガリレオ・ガリレイ)

メンバーは、尾崎雄貴(Vo.&G.)、尾崎和樹(Dr.)、佐孝仁司(B.)。’07年、北海道・稚内にて尾崎兄弟と幼じみであった佐孝で結成。’10年に『ハマナスの花』でメジャーデビューをする。1/27に4枚目のアルバムリリース後、3/1からはバンド史上最多の全国ツアーがスタート。

http://galileogalilei.jp

 

 

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