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フライング・ポストマン・プレス

2014/10/01

【インタビュー】10/24(金)~26(日)開催! 舞台『DEDICATED 2014 OTHERS』出演の首藤康之、中村恩恵、りょうが語る新しい表現の形

 

「自分の周りにいる“他者たち”を考えるきっかけになれば」(首藤)

「アクティングと身体表現とが並列になり、出会う時のおもしろさ」(中村)

「“言葉ではない部分で表現すること”に挑戦できるのはうれしい」(りょう)

 

 

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 カメラマン:大河内禎

 

 

 

 

’11年によりスタートした首藤康之プロデュースのダンス公演シリーズ『DEDICATED』。この第3弾公演が10/24(金)から26(日)までKAATで上演される。“他者たち”をテーマに、小野寺修二演出による『ジキル&ハイド』、そして、KAATアーティスティック・スーパーバイザーの白井晃演出による『出口なし』の2作連続上演。今回、『出口なし』の稽古場にお邪魔して、出演するダンサーの首藤康之、中村恩恵ふたりのダンサーと、女優のりょうの3人に話を聞いた。“身体表現”と“芝居”とが溶け合う、新しい形の表現とは――。

 

 


 

 

 

――今回上演する『出口なし』の稽古では、一度演劇用の台本を作った上で“身体表現へと変えられる台詞を抜いていく”という作業をされていると伺いました。こういった作業は経験がありましたか?

 

首藤康之(以下:首藤)「いや、3人とも初めての経験だと思います」

りょう「いつもは台詞があるのが普通なので、その台詞を身体表現に変えていくという作業は、私も今までやったことがありません」

中村恩恵(以下:中村)「私も初めてです。舞踊表現にできることと、言葉が表現できることというのは、違うんだと、今回つくづく感じています。“舞台で演じている”ということは同じなので近いもののように感じるけれど、アプローチの仕方はまったく違うものなんだと思いました」

首藤「それは思いますね、本当に。いつもとはまったく違うアプローチなのでハードルが高いんですが、おもしろい作業だと感じています」

中村「そう、確かにハードルは高いですよね(笑)。でも“言葉が中心になるアクティング”と身体表現とが並列になり、出会う時のおもしろさ。そういうものがありますね」

りょう「私は“40年前にこの作品に参加させていただくことがわかっていればよかったのに”と思うぐらい、今はとにかくイッパイイッパイ(笑)です。お芝居の時には“台詞はなるべく少ないほうがいい”と感じたりするんですが、今回ばかりは“なるべく台詞が多いほうがいいかな”と(笑)」

 

―― 一同笑。

 

りょう「台詞を抜いた部分は、身体的に表現しなければいけないということ。経験のない自分がどこまでできるのかと正直不安はあります。でも、“言葉ではない部分で表現をすること”は私自身、ずっと興味を持っていたことなので、今回そこに挑戦できるのはとてもうれしいですね。基本も何もできていないので、首藤さんと恩恵さんにいろいろと教わって、いい形にできたらと思っています」

 

――それにしても、ダンサーと女優が一緒になって“身体表現”と“芝居”の両方を用いて作品を作り上げるというのは、ユニークな試みですね。

 

首藤「自分でもおもしろいなって思います(笑)。りょうさんは女優さんで、恩恵さんは舞踊を極めていらっしゃる方。僕はと言えば、最近はいろんなところを行ったり来たりしている(笑)。実は自分の中では、舞踊もお芝居も、カテゴリー分けはあまりしていないんです。もちろん自分のベースは舞踊ですが、時にはお芝居したりと、いろんなことをやっていきたいな、と。それぞれ違う力を持つ3人が集まって、それぞれの力を交換しながら、いい作品に仕上げていきたいですね。それこそ今回の『出口なし』に登場する3人のキャラクターたちのように、お互いを見ながら作っていけたらと」

 

――そもそも、今回サルトル原作の『出口なし』をモチーフに選んだ理由とは?

 

首藤「20代の頃にヨーロッパで、モーリス・ベジャールさん振付の『3人のソナタ』というタイトルで上演された作品を観た時に衝撃を受けて、いつかやってみたいと思っていたんです。観た後で調べたら、サルトルの『出口なし』を原作とした演目ということがわかった。すぐ読んでみたんですが、若い頃は正直意味がわからなかったですね(笑)。でも僕も40代モなって、わかってきた部分もあります。『出口なし』ではガルサン(首藤)、エステル(中村)、イネス(りょう)の3人がある部屋に連れて来られ、出て行くこともできなくなってしまう。そういう状況ですから、自分以外の“他者”を意識せずにはいられないわけです。でもそれは今自分たちが生きている世界にも通じること。みんな、他者の中で生きていますから。外見はそれこそ鏡を覗けばわかりますが、意外と精神的な部分は他者と話をする中で、“自分はこんなことを考えていたんだ”と気付いたりするもの。この作品が、自分の周りにいる“他者たち”を考えるきっかけになればと思っています」

 

――稽古中、3人で言葉を交わすことで、“知らなかった自分”を見出すこともありますか?

 

首藤「初めての顔合わせですから、これまでのことを話したりもしていて。それで自分の過去を振り返ったりすると、ふと見えてくることはありますね。昔とは違う考え方が自分の中に芽生えていることに気付いたり」

中村「私は今はまだ自分のことに精一杯で、そこまで気付く余裕はないかも(笑)」

りょう「私はずっと“わかりやすい表現”を避けながらお芝居をしてきたところがあるんです。簡単に言えば、“こういうキャラクターだと絶対髪の毛が長いよね”みたいな決めつけに対して、“ちょっと待ってよ”というような。最初の頃に首藤さんと白井さんに、“なんで声をかけてくださったんですか?”とお聞きしたら、“表現がちょっと普通じゃないから”と答えてくださったのが、すごくうれしくて(笑)。当たり前でない表現ができたらいいなと思いながらやってきたことを、わかってくださっているのではないかと。今、稽古をしながら、自分でも改めて“私、こういうことをやりたかったんだ”と認識しました」

 

――稽古中、演出の白井さんが“心象を身体表現に置き換える”とおっしゃっていましたが、みなさんは演じる役を通して、どんな身体表現をしていきたいと思っていますか?

 

りょう「どこまでできるのかはわかりませんが、第一に私はこの作品では“この人はここにいる”ということが見せられればいいと思っています。ただ舞台の上に立っているだけでも、“ちゃんとイネスが立っている”というふうに見せたいですね」

中村「私がいつもやっている舞踊は、身体言語として扱われる、つまり言葉として扱われるものです。でも白井さんは恐らく、踊りの“言語化されない部分”を言語化されないまま身体表現にしたいと思っていらっしゃるのではないか、と。どんな表現になるのかは…今模索中です。ただいつも同じではなく、その時々で使い分けなければいけないのかなと思っています」

首藤「僕も、“ゼスチャーでもない、舞踊でもない、そういう身体表現ってどんなものになるんだろう?”と考えながら、答えを探しているところです。恩恵さんが最初におっしゃった通りで、お芝居と舞踊ではアプローチの仕方がまったく違いますが、実は僕は、“本当は同じものなんじゃないか”とどこかで思っているところもある。つまり、表現のエッセンスとしては同じなのではないか、と。『DEDICATED』は、もともと自分の想いを捧げたいと思って始めたもの。いろんな表現で、想いを伝えられたらと思っています」

 

 

 


 

 

 

【profile

首藤康之(しゅとう やすゆき)

http://www.sayatei.com

15歳で東京バレエ団入団。19歳で主役デビュー。これまでモーリス・ベジャール等、世界的振付家の作品に多数主演。04年に東京バレエ団退団後は浅野忠信監督の映画『トーリ』に出演するなど、活動の幅を広げる。’11年より自身プロデュースの『DEDICATED』シリーズをスタートさせ、現在は3回目の公演を控えている。

 

 

中村恩恵(なかむら めぐみ)

http://www.sayatei.com

1988年ローザンヌ国際バレエコンクール・プロフェッショナル賞受賞。その後はヨーロッパを拠点に活躍、’07年に拠点を日本へと移し、新国立劇場バレエ団、Kバレエカンパニーなど多くの公演に振付家として作品を提供。『The Well-Tempered』、『Shakespeare THE SONNETS』など、首藤康之との創作活動も積極的に行っている。

 

 

りょう

http://www.ken-on.co.jp/ryo/

10代からモデルとして活躍し、ドラマ『ロングバケーション』(’96)で女優デビュー。以後、映画、舞台、ドラマと幅広く活躍する他、手芸本『RYO’S DRAWER』シリーズの出版など、多彩な活動を展開。現在はBS日テレ『ホテルの窓から』(毎週木曜21:00~)のナレーションも務めている。

 

 

 

【最新出演作】

『DEDICATED 2014 OTHERS

http://www.kaat.jp/d/dedicated_others

開催日時:10/24(金)~26(日)

会場:KAAT神奈川県芸術劇場<ホール>

チケット料金:一般S席¥7,500、一般A席¥6,000、他

※チケット発売中。詳しくは公式サイトへ!

 

上演作品:

●『ジキル&ハイド』

原作:R.L.スティーブンソン

構成・演出:小野寺修二 

出演:首藤康之

 

●『出口なし』

原作:J.P.サルトル

構成・演出:白井晃

出演:首藤康之、中村恩恵、りょう

 


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