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フライング・ポストマン・プレス

2014/07/01

【インタビュー】7/10(木)上演スタート! 舞台『母に欲す』出演の女優・土村 芳が考える“母性”と作品に懸ける想い

「観た方が、いい意味で裏切られるような舞台。

観た後に残る気持ちをゆっくり咀嚼していただきたい」

 

 

土村芳

 

 

『恋の渦』や『愛の渦』などを世に送り出した鬼才・三浦大輔の新作舞台『母に欲す』で、厳しいオーディションを勝ち抜き、出演を決めた女優の土村芳。物語の捉え方から、稽古で見た三浦大輔のこだわり、そして、物語の核となる“母性”について話を聞いた。

 

 


 

 

――三浦大輔さんが作・演出を手がける新作舞台で、池松壮亮さん演じる弟・隆司の彼女、里美役。オーディションでこの大役を射止めたそうですね。オーディションではどんなことをしたんですか?

 

「三浦さんがこれまで手がけられた作品の中から、いくつかのシーンを演じさせてもらいました。舞台なので、イメージ的に大きな演技が求められるのかなと思っていたんですが、演技に入る前に三浦さんから“台詞の言い回しは言いやすいように変えていいよ。作り過ぎず、自然な感じで”と言葉をかけられて。そこに確かにいる人から自然に出てくる言葉を大切にしたいという、三浦さんの想いからの言葉だと思います」

 

――稽古中も、三浦さんから“自然に”という指示を受けることは多いんですか?

 

「言葉にして言われることはそう多くないんですが、例えば、動きを付ける時、三浦さんはご自身が役になりきって動線を考えられるんです。それもやっぱり、“キャラクターとしてより自然なもの”を探す三浦さんの姿勢なのかなと。ただ声の出し方については、オーディションの時とは少し違うものが求められていると思います。必要以上に声を張ってという感じではなく、“一つひとつ、流れないように”という指示をよくいただいていますね」

 

――初めて台本を読んだ時には、どう思いました?

 

「本当にすごいと思いました。三浦さんの作品は、『愛の渦』と『ボーイズ・オン・ザ・ラン』を観ていたんですけど、人間の深層心理、本性というか…そういう部分を物語の中でリアルに表現されるので。思わずハッとさせられる場面も多くて、“これを生身の人間が演じたらどんなことになるんだろう?”と、興奮してしまいました」

 

――この物語では“息子にとっての母親、母性”を生々しく鮮烈に描いていますよね。女性である土村さんが考える母性とはどんなものですか?

 

「最初に思い浮かぶのは“包容力”という言葉です。この舞台の中で、私が演じる里美は恋人の隆司が辛い時に、“私を頼って”という気持ちをちょっとズレたやり方で押しつけたりしますが、そういうものは本当の“包容力”とは言えないと思っていて。でも、じゃあ何が本当の包容力かと言えば…まだよくわからないというのが本音なんですけど(笑)」

 

――これまで、自分自身の中に“母性”を見出したことは?

 

「最近、姉に子どもが産まれたんです。その赤ちゃんを初めて胸に抱いた時にはやっぱり感動して、なんだか胸がじんとしましたね。命ってすごいなって改めて感じて。そう言えば中学生の時、胎児に関する授業があったんです。等身大の赤ちゃんの人形を使って、一人ひとり抱いてみるということをしたんですが、赤ちゃんの人形って、リアル過ぎて怖かったりしますよね(笑)? 正直、クラスメートが抱いている時には“なんか…怖い”と思っていたんですが、私の番になっていざ抱いてみたら、“落としちゃいけない”という気持ちが自然に湧き出て、自分自身に驚いたことを覚えています。これが母性というものなのかなって、その時少し考えました。ただ、あくまで子どもに対する母性なんですよね。男性に対しては、今まで一度も母性を抱いて接したことがありません(笑)」

 

――今回演じる里美で考えてみるとどうでしょう? 里美の中に“母性”はあるんでしょうか?

 

「すごく明るくて人懐っこくていい子ではあると思いますが…まだ母にはなれない存在。女性ではなく、まだ女の子という感じだと思います。恋人としてはいいけれど、結婚する相手としてはちょっと違うかな…と隆司にも思われているんじゃないかな(笑)。池松さんと峯田さん(裕一)が演じる兄弟にとって、義理の母になる智子(片岡礼子)が母性の象徴とすれば、里美はその対極にいるような人ですね」

 

――恋人役で池松さんと向き合って、俳優としてどんな印象を抱きましたか?

 

「役者として、すごく消化の早い方だと思います。三浦さんの言葉の本質をサッと理解して、それを自分の中で噛み砕いて、的確に表現される。しかも、力が入っていないというか、スッと力が抜けている感じなのが、またすごいなって思います」

 

――峯田和伸さん演じる長男と、池松さん演じる次男。縁遠くなった兄弟が母の死によって久しぶりに顔を合わせ、感情をぶつけ合う。その感じがまたリアルで。

 

「本当にそうですよね。血が繋がっているから近いとは限らないものですよね。むしろ、大人になればなるほど、血が繋がっているからこそ、余計に遠くなってしまう兄弟も多いのではないかと思います。おふたりのシーンは、稽古を見ているだけでもすごく消耗してしまう。思わず力を入れて、前のめりになって演技を見てしまうから、なぜかおなかが空くんです(笑)。緊張の糸が常に張り詰めている感じというか。おふたりの醸し出す空気はあまりも“兄弟”で、あまりにもリアルなんです」

 

――すごい舞台になりそうですね。土村さん自身は、どんな舞台にしたいと思っていますか?

 

「自分の役については、まだ探り探りです。物語のクライマックスでは、最初とは違う里美の姿をお見せできるんですが、その場面もまだどうしようかと固まっていない状態ですね。これから稽古を重ねる中で、答えを見つけていきたいと思っています。三浦さんはこの舞台を“あたたかいホームドラマです”とおっしゃっていますが、その言葉のイメージのままでご覧いただくと、たぶん、いい意味で裏切られるのではないでしょうか(笑)。観た後、どうしても考えずにはいられない舞台になると思います。鑑賞後に残る気持ちを自宅に持ち帰り、ゆっくり咀嚼していただく。そういう楽しみ方ができるのではないかと思います」

 

 


 

 

勝手にPOSTMAN

 

自分が今「手紙を書きたい人」を思い浮かべてもらい、その人へのメッセージを語ってもらうコーナー。今回、彼女が手紙を送るのは幼い頃に所属していたという児童劇団での恩師。最近、急逝したという恩師に、今伝えたい言葉とは…?

 

 


 

 

浅沼先生へ

 

先日、舞台『銀河鉄道の夜』を観に来ていただいた時、

“よかったよ。昔のお前とは違うな。これからも貪欲にいけ!”と

言ってくださいましたね。

 

ひとことお礼を言いたい。

今回の舞台も観ていただきたい。

と思っていた矢先に、先生が急逝されたと聞きました。

 

お礼のひとことも言えなかった私ですが、

この舞台をかんばることが恩返しになるのかなと思っています。

 

貪欲に生きていこうと思います。

やってやりますよ!

見ていてください。

 

 

土村 芳

 


 

 

 【profile】

土村 芳(つちむら かほ)

http://www.hirata-office.jp/talent_profile/woman/kaho_tsutimura.html

90年、岩手県出身。舞台、映画、CMなどで活躍。’13年の林海象監督の映画『弥勒-MIROKU-』(全国順次公開中)、’14年の舞台『銀河鉄道の夜』で主演に起用される。本作が三浦大輔作品初参加。確かな演技力に、今後益々の活躍が期待される。

 

 

【最新出演舞台】

『母に欲す(ほっす)』

http://www.parco-play.com/web/program/hahanihossu/

母に欲す アップ

 

作・演出:三浦大輔 

出演:峯田和伸(銀杏BOYZ)、池松壮亮、土村 芳、米村亮太朗、古澤裕介、片岡礼子、田口トモロヲ

7/10(木)から29(火)まで東京 PARCO劇場にて、8/2(土)・3(日)大阪 森ノ宮ピロティホールにて上演

※チケット発売中。詳細はPARCO劇場公式サイト(http://www.parco-play.com)まで

 

STORY

菅原裕一(峯田和伸)は東京でひとり暮らし。35歳になっても定職に就かず、母に金を無心し、その金でデリヘルを呼ぶような親不幸極まりない生活を送っていた。そんな時、母の急逝の知らせが届く。慌てて帰省するも、弟の隆司(池松壮亮)からの度重なる電話に出なかったため、帰った時には既に葬儀も終わっている始末。罪悪感を抱えながら実家でしばらくの時間を過ごす裕一、母を喪った欠落感を恋人の里美(土村 芳)との結婚で埋めようとする弟の隆司。そして、父(田口トモロヲ)は妻の死から間もなく、再婚相手を家に連れてきて…。


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