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2014/01/31

【インタビュー】2/1公開の映画『僕は友達が少ない』でヒロインを好演! 女優・北乃きいが思う映画の魅力と女優観

「私たち世代の“リアル”がギュッと詰まっている

改めて“友だちっていいな”と思える映画です」

 

 

 北乃きい

撮影:石川信介

 

 最新映画『僕は友達が少ない』で、キャラクターが強過ぎるが故に“友達がいない”女子高生を演じている北乃きい。没頭した役作りについて、そして“女優として”の意識について。奇想天外でありながら実は“リアル”な物語の魅力とともに語ってくれた。

 


 

――『僕は友達が少ない』の脚本を読んだ時、どんなことを感じましたか?

 

「最初に感じたのは、“すごくト書きが少ない”ということでした。例えば、4ページぐらいセリフが続いたとしても、その中にほとんどト書きがなかったりするんです。後半になるにつれて情景描写が多くなり、ト書きが増えていくんですが、物語の冒頭から3分の2ぐらいはほぼセリフだけで進んでいく感じでした。そういう脚本だと、現場で動いてみないことにはわからないんです。“こういう言葉だったら、こんな動きがあるのかな”とか、いつも以上に考えました。共演者の方がどんな動きをするのか、それを現場で確認することも楽しかったです。みんなで作っているという感じがすごくしましたね」

 

――スタッフや共演者と、現場ですり合わせ、物語を作り上げていったと。

 

「はい。だから、リハーサルは通常より多めで。監督が“全員が主役”として描こうとされていたこともあると思います。もちろん瀬戸(康史)さん演じる小鷹という主人公はいるんですが、私が演じた夜空も他の隣人部のメンバーも、みんなの個性が前に出ている感じ。それぞれのキャラクターを活かすため、いろいろ動きを工夫していたからこそ、撮影に時間がかかったのかなと」

 

――北乃さん演じる夜空は、隣人部を作り、周囲の人々を巻き込んで“友だち作り”をめざす女子高生。いつもハエ叩きを持っていたり、口調も個性的だったり、かなり“キャラの立った”女の子です。

 

「そうですね。だから今回は、見た目の作り込みは特にこだわりました。例えば、制服ひとつとっても、それぞれのサイズに合わせて作った特注品なんです。その人によってスカートの長さを変えたり、夜空の場合は、ニーハイを履いているんですが、飾りのラインも数ミリ単位で調整していって。ちなみに、隣人部の部員の星奈を演じた大谷(澪)さんは、ブラジャーの衣装合わせもあったそうです。かなり胸元の露出の高い女の子という設定だったので(笑)。ワイシャツのカットも、胸をはだけた時にきれいに見えるようになっていたり」

 

――(笑)。夜空のヘアスタイルも細やかに作り込まれていましたね。

 

「私はショートだったので、半カツラを付けて原案の夜空のヘアスタイルに近付けました。半カツラを付けた時にベストのヘアスタイルになるようにしていたので、カツラを取ってしまうとすごい中途半端な“姫カット”になっていて(笑)。すごく長いカツラだったので、そのままトイレに行くとかなり気を遣わないといけなくて大変だったんですが(笑)、ここはこだわるところだなと思っていたので」

 

――普段から“作り込んで”演じることが多いんですか?

 

「普段はそんなにないほうだと思います。ただ、『ライフ』というドラマに出演させていただいた時には、自分が原作のマンガの大ファンだったこともあって、登場人物にも思い入れが強く、自分からいろいろ提案させていただきました。演じた歩の原作の画を拡大コピーして持っていって、忠実にそれに合わせて髪を切ってもらったり。30cmは切りましたね。あと、眉毛の形や角度、まつげの感じも原作の歩に近付くよう、作り込みました。私自身が原作ファンだったから、どうしてもそこはこだわりたかったんです。その感覚はこの映画でも同じですね。これだけの人気作の映画化なわけですから、やるからには原案の夜空にできるだけ近付きたかったんです」

 

――『僕は友達が少ない』の原案もだいぶ読み込んだんですか?

 

「実は未だに読んではいません。監督に止められて。夜空たちのイラストだけ見て、ビジュアルだけ知っているという感じで、物語の内容は知らなかったんですが、一度だけテレビでアニメを観たことがあって。自分が思っていた夜空とは、ちょっと違っていましたね」

 

――北乃さんが思う夜空は、どんな女の子なのでしょう。

 

「はっちゃけているようで、実は中身は純粋な女の子なのかなと思います。私、いつもは演じる役を自分と似ているかどうかで表現したりはしないんですが、夜空に関してはプライベートの私に近いなと思います。たぶん、“北乃きい”よりも、夜空のほうが私に近いと思う」

 

――つまり、自分自身と“北乃きい”という女優は別物ということ?

 

「違います。どう違うかというのはうまく説明できないんですが…色が違うというか。10代の頃は仕事が終わり、家に帰ってきて玄関のドアノブを触った瞬間、素に戻るということがいつもだった。でも最近はちょっと変わってきたかな。いつ自分に還っているのか、自分でもよくわからないんです」

 

――役に入り込むあまりに、自分を見失ってしまう瞬間も?

 

「ひとつの役を演じている時、ずっとその役のままということも多々ありますね。それで本当の自分がどうしていたかがわからなくなってしまうんです。話し方、箸の持ち方、ごはんの食べ方、布団の敷き方、お風呂に入る時間まですべてが変わってしまうから。例えば、夜空を演じている時は、“笑わない女の子”という設定だったので、常に仏頂面でいなければいけなかった。一日中、笑わないということがこんなに大変なんだと、つくづく思いました。不器用なので、抜けにくいんです。“本当の自分”と自信を持って言えるのはお正月ぐらい(笑)。以前、ある人に松田優作さんのエピソードを教えてもらったんですが、松田さんは“365日24時間松田優作で居たいんだ”とおっしゃっていたそうなんです。それはすごいなと思いましたね。レディーガガも“山の中でもヒールを履く”と言っていたんですが、それはファンの方にがっかりされないようになんだと。私はこの仕事を始めて10年経ちますが、頭では“いつも北乃きいでいないと”と思いつつ、心と体が付いていけない時もあって」

 

――女優をやっていて、楽しいと思う瞬間もありますか?

 

「もちろん! 夜空を演じている時も、大変だったけれど楽しかったです。改めて“友だちっていいな”と思える映画になったと思います。私自身は観た後、“学生の頃にこの映画に出会っていたら、友だちとの関係も少し変わっていたかも”と思いました。青春コメディと言うよりは、ヒューマンドラマ。私たち世代の“リアル”がギュッと詰まった映画ですから、特に若い方には共感していただけるのではないかと思います」

 


 

 

 勝手にPOSTMAN

 

自分が今「手紙を書きたい人」を思い浮かべてもらい、その人へのメッセージを語ってもらうコーナー。今回、彼女が手紙を送るのは20年後の自分。まったく違う生き方をしているであろう43歳の自分に、今の自分が言いたいこととは?

  


 

20年後の私へ

 

たぶん、43歳の私には家族がいて、自分だけのために生きることは難しいと思います。

だから今の私は、自分の為に生きていきます!

自分のためにお金をかけ、自分を一番かわいがってあげたい。

きっと、今しかできないことだろうから。

 

43歳の私は“こんなことも言ってたんだ”って思うかな。

 

北乃きい

 

 


 

 

【PROFILE】

北乃きい(きたの きい)

http://www.web-foster.com/pc/artists/Kitano/Kie

 ’91年、神奈川県出身。’06年、NHK朝の連続テレビ小説『純情きらり』、ドラマ『14才の母』などに出演し、注目を集める。’07には映画『幸福な食卓』で日本アカデミー賞他各映画賞の新人賞を受賞。映画近作に『上京ものがたり』(’13)、『ヨコハマ物語』(’13)。3/2(日)にはテレビ朝日開局55周年記念スペシャルドラマ『家政婦は見た!』も放送予定。

 

 

【最新出演映画】

『僕は友達が少ない』

http://www.haganai-movie.jp/

『僕は友達が少ない』メインカット

© 2014映画「僕は友達が少ない」製作委員会

 

’14年/日/114分  PG-12

監督・脚本:及川拓郎

原案:平坂 読『僕は友達が少ない』(MF文庫J/株式会社KADOKAWA  メディアファクトリー刊)

出演:瀬戸康史・北乃きい/大谷 澪/高月彩良/神定まお/久保田紗友/山田萌々香/栗原 類/渡辺 大/石原良純

※2/1(土)より全国公開

 

【STORY】

ハーフで金髪、しかも目つきが悪い外見に加え、人見知りのため誤解を受けることが多い羽瀬川小鷹(瀬戸康史)は、聖クロニカ学園に転校して以来3カ月、友だちができずにいた。ある日、クラスメイトの三日月夜空(北乃きい)が空想上の友達“エア友達”と会話しているところに出くわしてしまった小鷹。実は夜空もまた、きつい性格から友達ができないでいた。夜空は友達作りの部活動“隣人部”を設立し、小鷹もなぜか入部することになり…。


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