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フライング・ポストマン・プレス 福岡版

2017/05/12

博多座の6月演目は中村芝翫の襲名披露公演!

メイン写真

 

成駒屋の大名跡である八代目・中村芝翫襲名披露『六月博多座大歌舞伎』がいよいよ6/2()に初日を迎える。八代目を襲名する芝翫に加え、長男の国生が四代目中村橋之助、二男の宗生が三代目中村福之助、三男の宜生が四代目中村歌之助を継ぎ、史上初の親子4人同時襲名を華やかな顔ぶれ、演目で送る。本公演に先駆け中村芝翫さん、中村橋之助さん、中村福之助さんが来福し会見を行った。

 

 

――橋之助という名前を息子さんが受け継がれたお気持ちを教えてください。

芝翫「昨年の10月、11月に東京の歌舞伎座を皮切りに、襲名披露をはじめさせて頂きました。長い時間を橋之助という名前と共に歩んできたので愛着はすごくありました。襲名の際に名前を渡したときには何も思いませんでしたが、10月の初日公演で僕の口上の後に「父の前名である橋之助を四代目として…」と言ったときにすごく嫉妬をしましたね。でも、それはワサビが鼻にツンとくるような一瞬の嫉妬でした。空の上でうちの父もそう思ってるんじゃないかな()。襲名から数ヶ月経ってだんだん橋之助、福之助、歌之介になってきたように感じます」

 

――芝翫を襲名された後、覚悟や気持ちに変化はありますか?

芝翫「やはり襲名する前の方が大きかったですね。約1年間、準備期間がありましたので、その間に僕が芝翫でいいのかなと思ったりもしました。襲名の初日は手足が震える緊張なんかは可愛いと思えるほどのものでした」

 

――立役(男役の総称)での芝翫の名前を襲名されるにあたりどういった芝翫像を作っていきたいですか?

芝翫「どうしても父とその前の大叔父が女方でしたので、芝翫という名は女方のイメージが強いですが、僕は女方ができないものですから。息子が2人、孫もこんなにいるのに父の芸である女方を誰も伝承していないということは胸の痛むところではあります。うちの3兄弟の中で誰か女方をやって欲しいなという気持ちはありましたが、橋之助はこのように身体がガッシリしているので無理だなと思い、昨年の夏に福之助にやらせてみたんですが、これっぽっちも女方の気持ちは彼にはなかったですね()。そういった中で、歌之介が女方を勉強してみたいと言い出したんです。父の芸を伝承すると言ってもその父はもういない訳ですが、幸い、踊りに関しては姉の中村梅彌が中村流の家元をしており小さなときからこの子たちに踊りを教えてくれていますので、歌之介が学んでくれたらいいなと思っています。芝翫という受け継いだ今、僕にとって勘三郎、三津五郎のお兄さん2人がいなくなったことが一番辛いことです。常に僕の前を走っていて、距離が近くなると離されて…。ずっと前にいてくれた2人がいなくなってしまったということで放心状態になったときもありましたが、お兄さんたちの真似はできないし、穴は埋められないかもしれないですが、父もやってきたように歌舞伎界全体のことを考えていかなくてはいけない立場であると思っています」

 

――橋之助さん、福之助さんは憧れていた演目「車引」にご出演するお気持ちはいかがですか?

橋之助「車引の梅王丸は言葉に表せないぐらい憧れていた役です。45年前に三津五郎のおじ様が梅王丸、父が松王丸、七之助の兄さんが桜丸を演じていたときに僕もその公演を観て、いつかやりたい!と憧れ、夜家に帰ってリビングでマネをしてみたりしていたんです。花道で刀を刺されたりする舞台での姿はもちろん、楽屋で三津五郎のおじ様に太いチューブのような帯をお弟子さんたちが足をかけながら結ぶ姿…憧れていたお役を自分がとうとう演じることが実現するということで本当に嬉しいです。」

福之助「先日衣裳を身につけて写真を撮影した際に菊之助の兄さんが後ろについてくださって隈取の描き方を教えてくださいました。1月に演じた役の隈取とは全然違っていたので、お稽古が始まっていない今の時点で吸収しなきゃと思うことがたくさんありました。また、憧れていたお役をやるということは今までとは違って緊張というより楽しみが強い気持ちで初日を迎えられそうです」

 

――息子さんたちにアドバイスなどはされるのでしょうか?

芝翫「女方同士、立役同士というものはどうしてもぶつかるんですよ。僕は基本的には息子たちに稽古をしません。どこの家でも同じことだと思いますが、他人から言われると素直に受け入れられることも、自分の父親に言われると反発したくなったりしますよね。ですから、息子たちはいろんな先輩のところに習いに行って、多くの鳥居をくぐることが大切なんじゃないかなと思っています。おかげさまでうちの3兄弟は仲が良いので兄弟同士でいろんなことを話し合いながらやっていって欲しいですね」

 

――ご兄弟での稽古はいかがでしょうか?

橋之助「父も母も頭ごなしに歌舞伎をやれというわけではなく、自分がやりたいことをやれという家だったので、僕は高校生のときに歌舞伎に出たいですとお願いをし、福之助は今しかできない学生生活を大切にしたいとあまり舞台に出ていなかったんです。一番下の歌之介はまだ中学生でしたし。襲名が始まる前は経験値が2人よりあるので、稽古でも僕が2人に言ってばかりでしたが、襲名後、一歩通行だったのがディスカッションできるようになってきました」

福之助「ちゃんとお芝居を始めてまだ1年ぐらいなので、僕から兄にアドバイスをするということはめったにありませんが、毎日、家でご飯のときにも連獅子の映像を見ながら“明日はこう合わせよう”など話して、稽古にも一緒に行き、帰りも同じですし、この襲名期間は家族でいる時間が長く、たくさんのことを勉強しています。兄弟3人同時に襲名するということはとても心強いです」

橋之助「良い意味で芝居についての喧嘩が増えましたね。これから3人で助け合いながらやっていけたら、成駒屋も強くなるし、歌舞伎界の戦力にもなるなと思っています」

 

 

『六月博多座大歌舞伎』

期間:6/2()26()

会場:博多座(福岡市博多区下川端2-1)

()092-263-5555

http://www.hakataza.co.jp/


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