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フライング・ポストマン・プレス 福岡版

2018/06/11

『OVER DRIVE』メガホンを取った羽住英一郎監督へインタビュー!

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公道を全開走行で駆け抜ける最も過酷な自動車競技『ラリー』の世界を舞台に、若者たちの熱い愛と絆を描いた映画『OVER DRIVE』がついに公開。主人公のチーフメカニック・檜山篤洋を演じるのは、同世代の中でもその活躍が目覚ましい俳優、東出昌大。その弟にして天才ドライバー・直純役には、国内外の多数の映画に出演し脚光を浴びる新田真剣佑。さらに、森川葵、北村匠海、町田啓太など次世代を担うフレッシュな顔ぶれが集結。福岡・北九州市内でも数多くのシーンが撮影された今作、中でも門司港周辺を爆走する大迫力のラリーシーンは必見だ。

 

メガホンを取るのは、『海猿』『MOZU』『暗殺教室』など数々の大ヒット作品を手掛けた羽住英一郎。誰も経験したことのないエンターテインメントの新領域を作り上げた羽住監督に本作への想いを訊いた。

 

……監督が長年温めてきた企画だそうですが、なぜラリーを舞台にされようと?

「もともとモータースポーツを観るのが好きでしたし、ハリウッドの映画も子供の頃から好きだったので。最初はラリーを舞台にハリウッドのようなエンターテイメントを日本でもできないかと思っていました。でも、近年のハリウッド作品がちょっと大味な印象が強くなってきていたので、ただハリウッドを真似るものではなく、スケール感とかスペクタクルはありながら、もっと日本人の琴線に触れるようなものが作れないかなと。それで日本のものづくりや仲間との絆を盛り込んで撮ってみたいと思いました」

 

……兄弟の確執とそれを乗り越える成長、そしてスピカレーシングチームの絆に胸を熱くしました。

「本来、日本の方が好むのは、解散の危機にあるチームが再生するような物語ですが、ちょっと日本っぽくなり過ぎちゃうかなと(笑)。やはりモータースポーツというのは一流のドライバーとメカニックが集まって、0.1秒を競い合い1位だけを目指すような世界ですから、それをリアルに表現したかった思いはあります」

 

……実際のラリー選手権のシーズンを追っていくようなドキュメンタリータッチの構成も新鮮でした。

「テレビでモータースポーツの総集編とかあって、それを観るのも大好きで。総集編はシーズンをギュッと凝縮して、しかもドラマ性が強くなる。今回の作品をそういうものに近付けたいと思いました。だからラリー入門編的なものではなく、ラリーを知らない人でも伝わる何かが生まれるようなことを意識しました」

 

……その中で、新田さんが演じられた天才ドライバー・直純は身勝手なところがありながらも、その悪い部分に惹かれるような魅力がありましたね。

「世界最高峰WRC(世界ラリー選手権)のドライバーたちって、レーシングスーツを脱ぐとピタッとしたインナースーツを着ているから、鍛え抜かれた体がすごく印象的なんです。新田くんにはその写真を最初に見せて、「こういう体にしてほしい」と伝えたら「分かりました」といって、その後バキバキになっていました。あと彼はアメリカ育ちなので仕草が日本人離れしているんですけど、これがかっこよくて。ラリーって命懸けのスポーツなので、そのエモーショナルな感情表現もクイックに反応できるし、すごくマッチしていました」

 

……対して東出さんは、真面目な性格で周囲の信頼も熱いメカニック・篤洋役で、そのコントラストが印象的でした。

「キャスティングする時に、まず東出くんにその愚直なイメージがあったし、自分のことをあまりベラベラと話さない不器用な性格を感じていて、分かりやすく言えば、ちょっと昭和的で。それでメカニックの方に付いていただいて一から勉強してもらいました」

 

……メカニック監修をされた日本が誇るベテランメカニックの三枝豊和氏をして「あんたたち、そこまでやるか」と言わしめた結束力や絆が、映画を超えたところにもあるように感じましたが、監督が思うその原動力とは?

「僕はキャストの皆には「バカが好きだから」と常々話していて。「バカ」というのは尊敬の念を込めて言う言葉なんだけど、この映画に関わっていただいた方々は“メカニック・ラリーバカ”だし、我々スタッフは“映画バカ”だし、だから俳優陣には、“役者バカ”であってほしいと話しました。そうすることで本物に近付くし、これまでほとんど車をいじったことのなかった東出くんが、三枝さんの指導のもと、整備士役の皆と一緒に劇中車のヤリスを一旦バラしてまた組み立てていくことで、どんどん好きになって楽しくなっていく姿を見ると「バカだな〜」と嬉しくなって。北九州では合宿しながらの撮影だったので、皆もより集中できて“バカ”になれたと思うし、良い空気感でした」

 

……北九州のラリーシーンは、門司港の市街地を走るマシンが新鮮で。

「WRCは世界中の色んな土地を転戦するんですが、全日本の大会ではどうしても許可が必要なので(できる場所が)限られてくるんです。だからラリー好きとして、「ここでラリーできたら面白いだろうな」と思う場所、例えば、首都高だったり、市街地だったりを取り入れてみました。道路を封鎖しての撮影がほとんどで大変でしたが、最新鋭のドローンなども駆使して実際のラリーでは観ることができない映像を、スクリーンで観ることができるので自分も嬉しいです」

 

……本作のテーマは“決して諦めない心の強さ”だとおっしゃられていましたが、改めてその想いをお聞かせください。

「この作品で描いているのは、一流の舞台で限界や逆境にあっても諦めずに乗り越えていくラリーのプロフェッショナルの姿ですが、それは観ている皆さんにも置き換えられると思うんです。例えば学生さんであれば学校生活だったり、受験生であれば受験だったり、他にも恋愛や家庭、仕事でもそうですが、何かの壁にぶち当たっている人がこの映画を見て前向きになれる、一歩を踏み出せるような作品になったら良いなと思っています。でも一番は、ラリーや車好きとか関係なく、アミューズメントパークでアトラクションを体感するような気持ちで、純粋に楽しんでいただけたら嬉しいです」

 

 

STORY

ラリー競技の最高峰とされるWRC(世界ラリー選手権)の登竜門であるレースに挑むスピカレーシングファクトリー。国内トップクラスのチームが火花を散らす中、スピカの所属ドライバー檜山直純(新田真剣佑)は攻めの走りこそが勝利の決め手と信じて無謀な走行を繰り返す。彼の兄でチーフメカニック兼エンジニアの篤洋(東出昌大)と直純は、ラウンドごとに衝突し、チームは険悪な空気に包まれる。ある日、直純のマネジメントを務めることになったエージェントの遠藤ひかる(森川葵)がやってくるのだが…。

 

『OVER DRIVE』’18年/日/105分

監督:羽住英一郎

出演:東出昌大、新田真剣佑、森川葵、北村匠海、町田啓太、要潤、吉田鋼太郎

※大ヒット公開中

http://overdrive-movie.jp/

 

Ⓒ2018「OVER DRIVE」製作委員会

 


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