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フライング・ポストマン・プレス 福岡版

2018/04/23

『聲の形』の山田尚子監督が最新作を携え、トークショーのため来福!

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映画『聲の形』で第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション賞をはじめ、数々の賞を受賞した京都アニメーションの監督・スタッフ制作の最新作『リズと青い鳥』がいよいよ4月21日より全国公開。吹奏楽に打ち込む高校生の青春を描いた武田綾乃の小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」をアニメーション映画化。吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美の2人の少女の儚く美しい一瞬を切り取った青春ストーリー。その公開を記念して、メガホンを取った山田尚子監督、そしてTVアニメシリーズ「響け!ユーフォニアム」に登場するキャラクター・チューバくんがトークショー付き特別上映会のために来福。ここでしか聞けない制作秘話や、作品に込めた想いを語るプレミアムなひとときとなった。

 

……まずチューバくんと同じ舞台に立った心境はいかがですか?

「最高です。かわいいですよね、チューバくん。実は私がデザインしたキャラクターで「響け!ユーフォニアム」で主人公の久美子が身に付けているんですが、いつかこうなること(着ぐるみ化)を夢見ていたので本当に嬉しいし感無量です」

 

……どういった経緯でこの作品が誕生したのですか?

「「響け!ユーフォニアム」というTVアニメで、シリーズ演出として関わらせていただいたのですが、その続編を石原立也監督が作るとなった時、その場にいらした原作者の武田綾乃さんが「新作のプロットがあるんです」とおっしゃったんです。それが新刊の「~波乱の第二楽章」だったんですが、それを読んでいる時に主人公の久美子たちの物語を描きつつ、みぞれ(オーボエ)と希美(フルート)のストーリーもすごくしっかり描かれていて、もしかしたらそのふたりの物語を深く描けたら素敵な作品ができるかもしれないとご提案しました。そもそも何もないところから始まっているので嬉しいです」

 

……そんな思い入れのある作品で苦労した点はありましたか?

「やはり「響け!ユーフォニアム」という物語がしっかりあるのでプレッシャーはありましたが、その作品があるからこそ夢中になって取り組むことができました。TVアニメとは絵柄のトーンが違ったり、フォーカスする場所を変えたりしていますが、それも完成された「響け!ユーフォニアム」があるからこそ、私は全力で少女たちの物語を撮りきろうと臨むことができたからです」

 

……その中でどんな工夫をされましたか?

「今回の作品は、それぞれのキャラクターの心の機微にフォーカスしていく話なので、髪の毛一本一本や瞳の揺れなどすごく大事になってくるし、そういうところを撮りこぼさない作風でいくことにキャラクターデザインの西屋さんも共鳴してくださって。すごく繊細な画になっていると思いますし、心の中にたくさん想いがあって、そこから彼女たちの動きが生まれてくるから、それを逃す手はないというか、絶対に撮りこぼしたくないなと思いました」

 

……その少女の気持ちにおいて、みぞれや希美の気持ちに入り込んで作られたのか、それとも客観的な目線のどちらでしたか?

「みぞれと希美の内緒話をこっそり覗かせてもらっているという感じで描いているので、観察する気持ちが大きかったです。ただ、お話している内容に対して理解もしていかなきゃいけないので、彼女たちの気持ちにもすごく寄り添いました。そこで理解した上で、今度は離れて観察に戻るという作業でした」

 

……もうひとつ特徴的なのが、みぞれと希美のお話と共に、リズと青い鳥の少女のファンタジーもありますよね。

「みぞれと希美がいる現実と、緑の森の世界を行き来する作品なのですが、リズたちの世界は本当におとぎ話でアニメーションがなせることをここに集約して昔ながらの手書きアニメーションを再現するような気持ちで臨みました。言ってしまえばCGを使わず、すべて手作業でやっていた頃の手法なのですが、このパートは石原監督がやってくださって、演出していただきながら私も勉強させていただく気持ちですごく楽しい時間でした。ファンタジーだからこそ世界を創っていくことが許されるので、FUNがめちゃくちゃ大きかったです」

 

……そのリズと青い鳥の少女の2役で本田望結さんが声を務められていますが、その理由を教えてください。

「この物語は、リズと青い鳥の少女というおとぎ話と、みぞれと希美の関係性を自分たちに置き換えていくような作品ですが、このリズと青い鳥の少女はどちらかに当てはまるわけではない気がしていたので、一人二役でいこうと最初から心に決めていました。それから純粋で率直にかわいらしい声をと考えていた時に、本多さんの顔がパッと浮かんできたのでオファーしたら、快くお受けいただいて。実際に声を吹き込んでもらうと、本当にぴったりで素晴らしかったです」

 

……音楽では「響け!ユーフォニアム」シリーズから離れて、『聲の形』でご一緒された、牛尾憲輔さんを起用されましたね。

「今回は『リズと青い鳥』としての世界をしっかり作りたかったので、一旦すべてゼロから組み直そうと思っていました。牛尾憲輔さんと『聲の形』でご一緒して、作ることに対する感覚にすごく共鳴できたので、この一回だけではもったいないと思っていたんです。私もまだ一緒にやりたいことがたくさんあったので、この機会にお声掛けさせていただいて。すごく繊細な音を付けてくださる方なので、少女の世界を作ったら素晴らしいだろうなとワクワクしました」

 

……この作品は高校生の少女たちが主人公で、その心情を描いた物語ではありますが、性別や世代も関係なく共感できる作品のように思いましたが、そんな

意識は監督もありましたか?

「それが一番大事なことだと思っています。ふたりの女の子の話ではあるけど、描いているのは人の心の普遍的な部分や機微だったりするので、どなたにでも起こりうる、また起こったことがある心の動きなので年齢や性別関係なく、共感できるというか、気持ちに引っ掛かる部分が必ずあると思います」

 

……それでは最後に一言メッセージをお願いします。

「この映画は音を体験する映画でもあるし、心を体験する映画でもあり、色んなことを体験できる映画だと思います。京都アニメーションが力を合わせて頑張りましたので、ぜひ劇場で楽しんでください」

 

 

 

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STORY

北宇治高等学校吹奏楽部所属の鎧塚みぞれと傘木希美は、それぞれオーボエとフルートを担当する親友同士。高校3年生の二人にとって最後の出場となるコンクールで選ばれた自由曲「リズと青い鳥」には、オーボエとフルート掛け合いのソロパートがあった。希美はその曲が自分たちのようだと無邪気に話していたが…。

 

『リズと青い鳥』’18年/日/90分

監督:山田尚子

原作:武田綾乃(宝島社文庫「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」)

※4/21(土)より全国公開

http://liz-bluebird.com/

 

Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会


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