エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 福岡版

2017/06/13

映画『美しい星』主演のリリー・フランキー、吉田大八監督が九州に凱旋!

 4.美しい星

 

日本文学を代表する文豪・三島由紀夫が1962年に発表した異色のSF小説を映画化した『美しい星』。学生時代から映画化を夢見ていた吉田大八監督の悲願が実現した作品。一見、ごく普通の家族が、ある日突然、宇宙人に覚醒するという奇抜な設定とスピリットはそのままに、舞台を現代に置き換えて大胆な脚色を加えて完成。三島由紀夫の世界観と吉田大八監督の感性が融合した意欲作。主演にリリー・フランキーを迎え、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、そして佐々木蔵之介など豪華な面々が結集した、五感を刺激するまったく新しい吉田大八流の人間ドラマ。公開2週目となる6/4に、九州出身のリリー・フランキー、吉田大八監督が来福。こういった機会では、滅多にお目にかかれないリリーも登壇するとあって、会場には多くのファンが詰めかけ、賑やかな舞台挨拶となった。

 

 

……まずは会場の皆さんにご挨拶をお願いします。

吉田「本作の監督を務めました吉田大八です。本日は楽しく過ごせたらと思います」

リリー「公開2週目にも関わらず、たくさんの方にお集まりいただいて…もしかしたら亀梨君が来ると思っていらした方もいたかもしれませんが、ふたりとも九州出身なので、ぜひ舞台挨拶に行きたいということで実現しました。ちょっと今、福岡に着いた瞬間から、黄砂で喉がガラガラにやられていますが、よろしくお願いします」

 

……(笑)。大変な中ですが、よろしくお願いします。この作品は監督が学生時代から切望していた小説の映画化だったそうですね。

吉田「いつも「何を撮りたい?」と聞かれると、必ず「『美しい星』をやりたい」と言ってました。三島さんの原作はハードルが高くて、なかなか前へ進めなかったのですが、今回は色んなタイミングが味方してくれて。主人公の大杉重一郎と自分が同い年で、前から一緒に仕事をしたかったリリーさんも同い年で、そんな巡り合わせもあって実現できたんだと思います」

リリー「映画だと歳っぽく見えますが、ジョニー・デップと同い年ですからね。ブラッド・ピッドもタメです。マイケル・ジョーダンに限っては一個下ですからね」

(会場爆笑)

 

……この小説のどういったところに魅力を感じられましたか?

吉田「大学時代に友達に勧められて読んで、衝撃を受けたんです。一言で言うと“すごく変な小説”。読んでいて何回も裏切られるような感覚があって。普通の小説のように階段を一歩一歩登るのではなく、急に飛んだり、急に落ちたりして終始振り回されるような感じがありました。当時、僕が好きだった映画や漫画、音楽や舞台のエッセンスがこれほど凝縮されているものに触れたことがなかった。単純に「かっこいいな」と憧れました。いつか、もっと近づきたいなと」

 

……リリーさんは、三島作品ということに何か特別な思いがありましたか?

リリー「三島由紀夫は文豪という以上にポップスターという特別な存在ですから。三島由紀夫原作の映画は中々日本にない中で、それに出演できる上に監督は大八さんということが嬉しかったです。この話がある前に、知り合いが「豊饒の海」の初版4巻揃ったものを「古道具屋で1000円だったからあげる」ってくれたんです。それで「いいの?こんな高い物もらって」って言ってた一週間後に大八さんから台本が送られてきたんです。そんな巡り合わせも感じましたね。「三島由紀夫の原作だから難しい話なのか」と思われがちですが、ご覧になると分かりますが、相当ポップな映画だし、純粋に「これ、かっこいい」と思ってもらえる作品です。でも三島由紀夫自身もそういう人物であったことを再認識できる映画でもあります」

 

……今作で舞台を現代に置き換えていますが、その理由は?

吉田「当時とは世界を巡る情勢も変わってるし、家族のあり方そのものも当然50年前とは変わってきてるじゃないですか。この作品はSFではありますが、家族のドラマでもあるので、現代の観客にリアリティを持って観てほしいという思いで、設定から見直して作っていきました」

リリー「たぶん三島由紀夫も生きていたら、「この脚本、良いじゃないか」って言うと思いますよ」

吉田「三島さんの文章に、好きなセリフはいっぱいあるけど、そのまま使ったらどんな俳優でも絶対言葉に負けちゃうと思ったので、好きだからこそ、あえて削いでいく作業は大変でした。でもクライマックスのお父さんと娘の病室での場面では残してますね。一原作ファンとして、あそこだけは原作通りにやりたい、やれると感じて」

リリー「あそこは戯曲的で舞台のようなセリフ回しでしたよね」

 

……公開して一週間が過ぎましたが、色んな感想が出ているそうですね。

吉田「ちょっとテンションが尋常じゃない感想が多いですね(笑)。ツイッターを読んでいるうちに自分も興奮してきます。色んな要素が詰まっているから、観た人の色んな部分を刺激するのかなと思います」

リリー「普通は公開一週目を過ぎると徐々にお客さんが減り始めますが、逆に増えてきているので皆さんが何かしらを感じてもらって、広がっているんだと思います。監督のこれまでの作品の中でも“桐島パターン”と呼ばれている現象が起きてます。映画を観終わった後に、「すごく温かい気持ちになった」「泣いた」と言う人もいれば、「よく分からないけど、面白くて大笑いした」という人もいて、感想がこれほど違う映画も珍しいと思います」

吉田「わからないところで立ち止まらずに、必ずどこかでまた合流できるので身を任せて、最後まで音楽を楽しむような感覚で観ていただきたいです」

 

……確かに音楽を観ているようなリズム感や疾走感がありました。

リリー「監督の演出が指揮者っぽくて。語尾の上げ方とか音の全体を調律しながら演出している感じで、撮影中は「すごく細かいな」と思っていたけど、出来上がった作品を観てみると「あ、こういうことか」とハッとさせられましたね」

吉田「単純に動機があって、気持ちがあって、そのセリフを吐く必然性があるというだけだと、同じものを目指すには足りない気がして。僕の場合、気持ちはとりあえず置いといて、例えば「最後の一文字だけを強く言ってほしい」という言い方をすることがあります。それが通じない俳優さんもいますが、今回はリリーさんも、亀梨君も音楽をやっていて、通じる俳優さんが多かった。だから、映画自体から音楽を感じたと言われるのが一番嬉しいです」

リリー「周りからも「日本映画に“良い映画”はたくさんあるけど、“かっこいい映画”は少ないので、こういう映画をまた撮ってください」と言われることが多かったですね」

 

……感動にも“裏切り”があるような演出が吉田監督らしい作品でした。

リリー「泣きたい時に泣けないし、泣かないでいい場面で泣かなきゃいけないので、涙を振り絞って大変でした。「火星のクレーターを見ながら、故郷を思い出して泣け」って言われて「トム・ハンクスでも泣けないよ!」と思いながら(笑)」

吉田「思う存分やらせていただきました(笑)」

 

3.美しい星

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……大杉家の家族役でご一緒したキャストのお三方の印象は?

リリー「亀梨君と中嶋さんは初めてで、逆に橋本愛ちゃんはしょっちゅうご一緒していて。家族が揃うシーンは少ないですが、けっこうリアルな家族になっていると思います。もちろん、亀梨君と橋本愛ちゃんが俺の子供っていうリアリティは、ルックス的にないですけど(笑)。冒頭、家族の誕生日のシーンから始まりますが、普通の描き方だと家族らしい和気あいあいとした感じになるけど、大八さんの場合、「この年齢の誰かの誕生日って仕方なく集まってやるもんだな」というアットホームじゃなく生々しい感じとか。あとお母さんだけ原作と違って地球人ですが、このお母さんが面白くて笑えます。「やっぱオカンという地球が一番デカいんだな」ということを思い知らされます。夫や子供たちが、火星人だ、金星人だと次々と言い出す完全にイかれた家族じゃないですか(笑)。でも地球人として存在するお母さんはまったくビビらないんです。娘が変なこと言い出しても「地球人でも、金星人でも、そういうのはちゃんとしなきゃ」って言うんです(笑)。全部オカンという地球に取り込むような。それも見どころですね」

 

……暁子役の橋本愛さんがやっていた宇宙船を呼ぶポーズも印象的で。

リリー「愛ちゃんがやってると、(宇宙船が)本当に来そうですもんね(笑)」

吉田「映画館でも映画を観ながらやっている人がけっこういるらしいです」

リリー「愛ちゃんが浜辺でUFOを見ているシーンは、もはやPV風で。大八さんは『桐島、部活やめるってよ』の時から、愛ちゃんを「きれいに撮ってるなぁ」と思ってましたけど、橋本愛を綺麗に撮らせたら、監督の右に出る人はいませんね (笑)。でもこの年齢でも深みのある芝居ができる女優さんで、20歳くらいで色んな側面に説得力をもたせてくれる方なので、何回共演しても「この人はすごいな」と思います」

 

8.美しい星

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……重一郎やその家族に共感する部分はありましたか?

リリー「監督の皮肉が効いているところになるんですが、最初は地球人としてバラバラだった家族が、地球人じゃなくなっていったことで結局、地球人の家族としてまとまっていく感じが、僕が好きな家族の面持ちでした」

 

……リリーさんが演じられた重一郎は、お天気キャスターで、四人家族のお父さんで、火星人という役でしたね。

リリー「お天気キャスターで、お父さんで、火星人で、不倫してる(笑)。火星人は、役作りしようがなかったですね。お天気キャスターはTBSの森田さんのところで見学したり、天気の読み方を教えてもらったりしました」

 

……リリーさんのお芝居ではあまり見られない普通の家族のお父さん役でしたが。

リリー「普通に仕事をしていて、家庭があるという、俺にとっては火星よりも遠い存在の役でした」

(会場笑)

 

……それでは最後に、メッセージをお願いします。

リリー「すごく珍しい日本映画ができたなと思っています。僕は若い頃、「映画って面白いな」と思い、そこから映画が好きになっていきましけど、そんな映画が今の時代には中々ないと感じている時に、吉田監督がこんなかっこいい映画を作ってくださったので、ぜひ劇場でご覧ください」

 

……ありがとうございました!それでは時間も迫ってまいりましたので…。

リリー「…。でも、こうやって舞台挨拶をやる機会が今後あるかどうか、ねぇ…。何かありますか?」

吉田「え?まだ、あるんじゃないの…何で?」

リリー「もし、これが最後の舞台挨拶になるなら、もうちょっと喋りたいなと思って…」

……時間も押していますので(汗)。では、これにて舞台挨拶を終了させていただきます!吉田監督、リリー・フランキーさんありがとうございました!(笑)

(少し寂しげに会場を後にするリリーの姿に会場から笑い)

 

7.美しい星

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

STORY

“当たらない”お天気キャスターの父・重一郎、野心溢れるフリーターの息子・一雄、美人すぎて周囲から浮いている女子大生の娘・暁子、心の空虚をもて余す主婦の母・伊余子。そんな大杉一家が、ある日突然、火星人、水星人、金星人、地球人として覚醒。“美しい星・地球”を救う使命を託される。ひとたび目覚めた彼らは生き生きと奮闘を重ねるが、やがて世間を巻き込む騒動を引き起こし、それぞれに傷ついていく。なぜ、彼らは目覚めたのか?本当に、目覚めたのか?そんな一家の前に一人の男が現れ、地球に救う価値などあるのかと問いかける。

 

 

WEB第二弾メイン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『美しい星』’17年/日/127分

監督:吉田大八

原作:三島由紀夫『美しい星』新潮文庫刊

出演:リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、他

※TOHOシネマズ天神、T・ジョイ博多、他にて公開中

http://gaga.ne.jp/hoshi/

 

©2017「美しい星」製作委員会


PR
2017.11.20号
monthly cover artist
デジタルブックを立ち読みする

フライング・ポストマン・プレス HOME

fppshop
FPP×AFRO FUKUOKA