エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 福岡版

2017/03/30

映画『3月のライオン』-棋士を通じて描く、神木隆之介のドキュメンタリー

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連載10年を迎える国民的ベストセラーコミックを実写映画化した『3月のライオン』。将棋のプロ棋士・桐山零と彼を巡る人々が、愛を求め、迷いためらい、ひるみながらも、それぞれの闘いへと突き進む群像劇。その前編公開を記念して、メガホンを取った大友啓史監督、主演の神木隆之介、そして前編主題歌を務めたぼくのりりっくのぼうよみの3人が福岡の舞台挨拶に登壇!貴重な撮影エピソードを交えながら緊張感漂う本作とは異なり、笑いの絶えない温かいイベントとなった。

 

 

……撮影中の神木さんの印象はいかがでしたか?

大友啓史(以下、大友)「もうこのままですよ。ビックリするくらいニュートラルで、緊張感のあるシーンの前でもいつもと変わらずで、ちょっとニヤニヤしながら(笑)。その状態からしれっとやって、しれっとOKみたいな感じで…なんで、できるの?(笑)」

神木隆之介(以下、神木)「カチンコの「ヨーイ、パンッ」って音が鳴った瞬間にスイッチが入るんです。それでシーンが終わったらいつもの自分に戻るような。だから本番直前まで「どうしますぅ〜?」みたいな、ちょっとヘラヘラしている感じになっちゃうんでしょうね(笑)」

大友「本番に入る前、力が入り過ぎないように、そういう佇まいをされる役者さんも多いんだけど、これくらい若くてやれる人は彼しかいないですね。僕ら世代のベテラン俳優だと、力の抜き方を知っている達者な方はいますけど、大半はきちんと準備して「邪魔しないで」ってムードを発する人が多いです。だから彼は本当に稀なタイプですね」

神木「そういう方にとっては、「ちょっと静かにしてほしい!」って思われてますよね(笑)」

 

……幅広い世代の超豪華キャストとなりましたが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

神木「すごく楽しかったです。ひとつの映画を撮っているんだけど、そんな気がしない現場でした。三姉妹とのシーンがあったり、棋士の方々との対峙があったりして、それぞれの現場でそれぞれの色にあった雰囲気が漂っていて、すごく楽しく撮影させていただきました」

 

……ぼくのりりっくぼうよみさんは撮影現場には?

ぼくのりりっくのぼうよみ(以下、ぼくりり)「僕は完全に撮影が終わってから、ラフ段階の映像を観させていただきました。もちろん主題歌は映画に合わせて書きましたが、一お客さんとしてすごく良い映画だなと思って観ている感じでした。だから公開前の前夜祭放送イベントで零の部屋に入ってみると、映画のワンシーンに自分がいるような、良い意味での違和感があって新鮮でしたね」

 

……実際にご覧になってお気に入りのシーンはどのあたりですか?

ぼくりり「神木さん演じる零が街中を走り抜けた後、叫ぶシーンがあるんです。それがすごく印象的で、実はそこからインスピレーションを得て、曲を作ったところもあるので、その辺りを意識して観ていただけたら面白いと思います」

 

……撮影中、特に苦労されたことは?

神木「苦労したのは、冒頭で歩くシーンがありまして、ただただ歩くんです。それは家から将棋の対局をするために将棋会館へ向かうシーンなんですけど、難しかったです。普段の日常で歩いている時って無意識に人や車を目で追っているけど、どこを見ようとか思って歩いていないじゃないですか。それをいざ芝居で表現する時、一体、彼はどこを見て歩いているのかを、すごく考えて悩みましたね。そういう意味でも、ぜひ注目してほしいです」

大友「日常のシーンって中々撮れないんです。劇的なものを切り取って非日常を描くのがドラマや映画なんだけど、この映画って全体的に日常なんです。棋士の方にとっては対局することは、日常の延長線上にある闘いなんです。例えるなら僕らのすぐ隣に住んでいる人たちの暮らしを切り取っている感覚。だからスペシャルなものを撮っている意識はなく、ある意味、神木隆之介という若くしてプロになった俳優と、若くして棋士になった桐山零の人生が、どこかで重なるんじゃないかという勝手な想定と思い込みのもと「神木隆之介のドキュメンタリーを撮るぞ!」って想いを最初に言って撮影に臨みましたね」

神木「言われましたね!僕は「ははぁ〜」ってなっていましたけど(笑)」

 

……将棋の指し方はどのくらいの期間、練習されましたか?

神木「プロの棋士の方に付いていただいて、3ヶ月くらいレッスンしました。最初は、ひたすら指して、指してを繰り返す練習でしたが、途中から実践も交えて、戦法や囲い方を習いながら実際の対局のようにやらせてもらって。特に難しさを感じたのは、棋士の方は子供の頃から駒に触れていて、僕らが普通にペンや箸を持つような感覚で駒を持って指すんです。それをやらなきゃいけないということが、とても苦労しました」

大友「クランクインする頃には、プロの棋士から見ても、それに恥じないレベルまで、キャストの皆さんは仕上がっていました。驚いたのは、その駒を指す音を試しに一度、プロの音に入れ替えてみたら表情が出なくなったんです。要するに演者のみんなは、駒を置く音ひとつとっても、ちゃんと芝居しているから表情が出るんだなと。だから音を全部元に戻して、高音を抑えたり、低音を上げたり、俳優陣が指してくれた駒の音をより特徴付けるような調整作業を、一手一手すごく丁寧にやりました。だから音にも注目してほしいですね」

 

……それでは最後にメッセージをお願いします。

大友「この作品は将棋の闘いだけではなく、川本家の豊かな食卓や日常、四季折々の風景、苦悩や葛藤、思いを背負ったそれぞれのキャラクターたちと、すごく豊かで多様な物語です。前後編で1本の映画を撮っていますが、3本、4本の映画を撮っているような感覚があるほど、奥行きのある人間ドラマです。ぜひ劇場で、ご覧ください」

神木「この映画は自信を持って僕らの代表作だと言える作品になっているので、それを皆さんに楽しんでいただけたら嬉しいです!」

 

 

 

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STORY

中学生でプロ棋士としてデビューした桐山零は、東京の下町にひとりで暮している。幼い頃に交通事故で家族を失い、父の友人である棋士の幸田に引き取られたが、自分のせいで幸田家に亀裂が入り、家を出るしか方法がなかったからだ。深い孤独を抱えてすがりつくように将棋を指し続けていたある日、 零は近隣の町に住む川本家の三姉妹と出会い、彼女たちとのにぎやかな食卓に居場所を見出していく。温かな支えを胸に、闘いへと飛び込む零。若手No.1 を決める新人戦、最高峰を決める獅子王戦――それは、様々な人生を背負った棋士たちが、頭脳と肉体と精神のすべてを賭ける壮絶な闘いだった。

 

『3月のライオン』

監督:大友啓史 原作:羽海野チカ「3月のライオン」(白泉社刊・ヤングアニマル連載)

出演:神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷将太、清原果耶、他

※<前編>公開中、<後編>4/22(土)より全国公開

http://www.3lion-movie.com/index.php

 

 (C)2017映画「3月のライオン」製作委員会

 


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