エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス 福岡版

2016/11/24

11/26(土)公開・映画『疾風ロンド』吉田照幸監督にインタビュー

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発売されるやいなや、わずか10日間で100万部超えを記録した東野圭吾の小説「疾風ロンド」。映像化は不可能と言われた本作のメガホンを取ったのは、吉田照幸監督。NHKで放送され、それまでの同局のイメージを覆し話題となった「サラリーマンNEO」や、「じぇ!じぇ!じぇ!」という言葉と共に日本中をブームに巻き込み、異例の高視聴率を記録したNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の演出を担当。本作でも、その卓越したセンス、演出力を十二分に発揮。息をもつかせぬサスペンスの中に、コミカルなエッセンスを吹き込み、誰しもが楽しめる映画として昇華。吉田監督に映画について語ってもらった。

 

 

――『疾風ロンド』は東野圭吾作品の中でも比較的コメディ要素が強い作品ですが、映画でもコメディ要素、サスペンス要素が見事に融合していて、とても楽しく拝見させて頂きました。

「日本の映画の中で、そういった原作であってもサスペンス要素だけになってしまっているものが多いなと感じていたんです。僕はイギリス映画が好きで、イギリス映画のクライムものって笑いが随所に入っているものが多いんです。ずっと緊張しているとどうしてもテンポが一定になってしまうけど、笑いで緩めることによってテンポが出るんですよね。今回は笑いを融合させる理由の一つはエンターテインメント作品としてもう一層何か上を目指すということ、そしてサスペンスの疾走感を成り立たせるための笑いにしようと思ったんです。その笑いも取ってつけたような笑いをやってしまうと緊張感も止めてしまうので、キャラクターたちを端から観ると面白いという笑いを作っていきました。一回緩ませておくとレンジが緩んでいる分、盛り上がり方が広くなっていくんです。笑う演出と構造をすごく意識して演出しました」

 

――そうなんですね。

「すごく頭良さそうでしょう?こういう顔を見ていなかったらすごくキレキレな発言なんだけど、実物に会うとみんなガッカリするんですよね()。この帽子も何で被っているか分かりますか?地味すぎて、監督だって気付いてもらえないんです()

 

――()。作品の中でも阿部さんを筆頭にその笑いを生み出す個性的なキャラクターたちのキャスティングはどのように行われたんでしょうか?

「台本を直しているときにまず一番最初に浮かんだのは阿部さんでした。どこか不器用そうな魅力、そして、あんな大きな人が怒られたり、穴に落ちたりするだけで面白いんですよね。あとは親子関係の人間ドラマも描きたかったので、面白くもあり、そういった演技もできる人となると限られてくるんですよ。阿部さん以外の方のキャスティングは、この作品にあまり間がある芝居をされると違うと思ったので、軽妙なお芝居をされる方ということが基準になったと思います」

 

――すごく納得です。

「大倉さん演じる根津のキャラクターは本当にカッコ良くあって欲しかったんです。栗林(阿部)のすごく分かりやすい嘘も信じてしまうバカなんだけど、真っ直ぐなんですよ。問答無用にカッコ良いっていうキャラクターは役者さんというより、アイドルで役者さんもやっている方が良かったんです。大島さんはスノーボードができるんですよ。スポーツ映画って、やったことがない役者がやると立ち姿でも違っていて集中できなくなるんですよね。でも、さすがに9歳からやっていたから林の中にも平気で入っていって滑るんです。その上で、役と年齢も近くて、これは僕の意見ですが、自分がこの先どこに行こうかという目標を模索しているところがピッタリだと思ったんです」

 

――約1ヶ月半、雪山での撮影だったそうですが、天候にも左右された撮影だったのではないですか?

「そうですね。さっきこっちを撮っていて逆側を撮ろうとしたら吹雪いていたり…が茶飯事でした。足跡がついたら消して行かなきゃいけないし、トイレに行くにも30分かかるし…ですが、スキー場なので楽しい空気が流れているんですよね。そんな中でやっていたので、楽しかったですね。あとは、天候に左右されると分かっていたので、いきなり吹雪いてしまってシーンが繋がらなくなって続けられなくなってしまったこところも、普通は別日に撮影するんですが、別のシーンが撮影できるんじゃないかと台本にないものを撮ったりしています。大倉さん、大島さんをムロさんがリフトに乗って尾行しているシーンはそうやって生まれたシーンです」

 

――ムロツヨシさんと大島さんのスノーボードでのチェイスは臨場感があって本当にハラハラしました。

「このシーンが映像化は不可能だと言われていた最たる理由なんです。本当に滑っている人を撮影するのは無理なんですが、ここがないとこの映画は成り立たないんですよ。このシーンを盛り上げるために3つぐらい撮り方を変えようとは思っていたけど、全然アイデアが浮かばなかったんです。空撮でカットを変えてなんてたくさんあるし…そんな時、カメラマンとの打ち合わせでつい口に出たのが、前日にYoutubeで見た素人の方が撮った野沢温泉を滑りながらGoProで撮影した映像だったんです。思わず言ってしまったことだったんですが、“それは見たことないね”って言われて。自撮り棒の先にカメラをつけて2人が滑っていくのを地元のスキーヤーの方に撮影してもらったんです」

 

――そうなんですか!?

「そうなんです。撮影する人が一番難しいんですよ。でも、地元の方は山を知り尽くしているので、ギリギリを攻めて撮影してくれました。終わった後に観たらカッコ良くてビックリしました」

 

 

 

STORY

拡散すれば大量死となる危険な違法生物兵器「K-55」が医科学研究所より盗まれる。犯人から届いた脅迫メールには三億円の要求と「K-55」が隠された場所を示すテディベアの写真が添付されていた。犯人は研究所を解雇された葛原という元研究員。慌てふためく主任研究員・栗林と所長の元に、警察から一本の電話が。

「葛原が、死んだ…?!」

違法生物兵器であるが故、何としても秘密裏に処理しなければならない。しかも、残り4日で大惨事が起きてしまう事が判明。その無理難題を押しつけられた栗林は、わずかな手がかりである葛原の遺品から辿り着いた、日本最大級の野沢温泉スキー場へと捜索に向かった。しかし、20年降りのスキーに大苦戦する栗林は、豪快に転倒し足首の靱帯を損傷してしまう…。彼を救助したパトロール隊員・根津とスノーボードクロス選手の千晶は栗林の奇行に疑念を抱くも、咄嗟に出た嘘がきっかけで捜査に協力してくれる事になる。だが、広大なスキー場での捜査は困難を極め、刻一刻とタイムリミットが迫ってくる。さらに、ドドメ色の帽子を被った怪しい男がその一部始終を伺っていた…。真実をひた隠し、様々な人物を巻き込んだ栗林は、果たして無事「K-55」を探し出すことが出来るのか?!事件は想像を超えたクライマックスを迎える!

 

 

 

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 ©2016「疾風ロンド」製作委員会

 

 

 

『疾風ロンド』

原作:「疾風ロンド」東野圭吾(実業之日本社)

監督:吉田照幸

出演:阿部寛、大倉忠義、大島優子、ムロツヨシ、濱田龍臣、柄本明、ほか

11/26()よりT・ジョイ博多、UCキャナルシティ13、イオンシネマ福岡、ほかにて公開

http://www.shippu-rondo-movie.jp/

 

 

 

 

 


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