エンターテインメントフリーペーパー FLYING POSTMAN PRESS

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スペシャルインタビュー「サカナクション」

作為性をもっている東京と無作為だった札幌
その幅みたいなものがサカナクション

——なるほど。
「僕は常にカウンターでいたいんです。アイドルもロックも一緒くたになってるような状況で、そういうものとは違うところにいたい。じゃあ違うとこってどこなのっていうと、マジョリティの中のマイノリティ。クラスの中のひとりかふたりに深く刺さって、でも全国的に見たらマジョリティっていう。僕がそうだったから。そういうコンセプトを持って『新宝島』以降は一からやってみよう、と。なので新しいバンドを始めた感じに近いですね」
——なるほど。
「アマチュア時代に作った曲を今歌い直してみると、すごく歪なんですよ。誰にも向けてないから。つまり自分に向かって作っているというか、そもそも人に聴かせる前提じゃない。それってある種、無作為じゃないですか。でも今自分たちが東京に出てきてレコーディングをしたり、音楽を作る時には、無意識に作為性みたいなものが滲み出てくる。それが今回の作品のコンセプトになってるんです」
——今回は『グッドバイ』以降のシングルがほとんど収録されてますね。
「『グッドバイ/ユリイカ』『さよならエモーション/蓮の花』までは“郷愁”がコンセプトだったんですよ。『新宝島』以降、『多分、風』までは“作為性”がテーマ。つまり、自分の中で思っていたのは“東京と札幌”というコンセプトだったんです。札幌の時に無作為に潜っていた自分たちの感覚と、東京に出てきて無意識に作為性が生まれてきている感覚、タイアップとかをやって身に付いてきた技術。その振り幅みたいなものが今のサカナクションだってことを表現しようと思ったんですよね」
——このアルバムタイトル『834.194』は、札幌時代に通っていたスタジオと、東京で本作をレコーディングしたスタジオの距離を表しているとか。
「札幌の頃の僕らって、がむしゃらで無作為に潜ってたんですよ。”誰かに届けたい”じゃなくて、純粋な、ミュージシャンとして理想的な衝動だけで音楽をやっていた。でもその時は全然芽が出なかったんですよね。なんで評価されないのかって考え、作為性を身に付けていって、今東京のスタジオでレコーディングをしてる。作為性をもって潜っている東京のスタジオの時間と、無作為に潜っていた札幌のスタジオの時間。その幅みたいなものがサカナクション」
——帰れない過去?
「帰れないです。あの時には戻れない。でもそれは、みんなそうだと思う。みんながきっと戻れない場所を持っている」
スペシャルインタビュー「サカナクション」

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